国民健康保険料と社会保険料の違い、スッキリ理解しよう!

「国民健康保険料」と「社会保険料」、どちらも毎月支払うものだけど、一体何が違うんだろう? この記事では、 国民健康保険料と社会保険料の違い を、分かりやすく、そしてどこよりも丁寧に解説します。毎日の生活に関わる大切なことだから、この機会にしっかり理解しておきましょう!

保険料の「入り口」と「出口」? 国民健康保険料と社会保険料の全体像

まず、大前提として、国民健康保険料と社会保険料は、どちらも「社会保険」という大きな枠組みの中の、それぞれ異なる制度によって徴収される保険料なんです。例えるなら、社会保険が大きな「お財布」で、国民健康保険料と社会保険料は、それぞれそのお財布から出ていく「お金の種類」というイメージです。 この違いを理解することが、制度全体を把握する第一歩となります。

国民健康保険料は、主に自営業の方や、会社に勤めていても社会保険に加入していない方などが加入する「国民健康保険」の保険料です。一方、社会保険料は、会社員や公務員など、会社や組織に所属している人が加入する「健康保険(協会けんぽ、組合健保など)」「厚生年金保険」「雇用保険」「介護保険」といった、複数の社会保険制度の保険料の合計を指すことが多いです。ですから、そもそも「誰が」加入する保険なのか、という点で大きな違いがあります。

以下に、それぞれの保険料がどのような制度で徴収されるか、簡単な表でまとめました。

保険料の種類 主な加入対象者 関連する保険制度
国民健康保険料 自営業者、フリーランス、退職者(一定条件あり)など 国民健康保険
社会保険料 会社員、公務員など 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険など

国民健康保険料の「中身」を探る!

国民健康保険料は、お住まいの市区町村が運営する国民健康保険に加入している人が支払う保険料です。この保険料は、主に以下の3つの要素で決まります。

  • 医療分保険料: 国民健康保険の加入者全員が、医療給付を受けるために支払う保険料です。
  • 後期高齢者支援金分保険料: 高齢者医療制度(後期高齢者医療制度)を支えるために、国民健康保険の加入者全員が負担する保険料です。
  • 介護分保険料: 40歳から64歳までの国民健康保険の加入者が、介護サービスを受けるために支払う保険料です。

それぞれの料率は、お住まいの市区町村によって定められます。つまり、住んでいる場所によって、国民健康保険料の金額は変わってくるということです。計算方法も、所得に応じて計算される「所得割」と、加入者一人あたりに均等にかかる「均等割」を組み合わせて計算されるのが一般的です。

国民健康保険料の納付方法には、主に以下の2つがあります。

  1. 普通徴収: 年6回(または年10回、年12回など)、口座振替や納付書で直接市区町村に納める方法です。
  2. 特別徴収: 年金から天引きされる方法です。年金収入が一定額以上の場合に適用されます。

社会保険料、その「構成要素」を分解!

社会保険料は、先ほども触れたように、複数の社会保険制度の保険料の合計です。会社員の方などが支払う社会保険料には、主に以下のようなものが含まれています。 これらをまとめて「社会保険料」と呼ぶことが多いのです。

  • 健康保険料: 病気やケガをしたときの医療費の負担を助けてくれる健康保険の保険料です。
  • 厚生年金保険料: 将来、老齢になったときに受け取れる年金(老齢年金)や、病気やケガで働けなくなったときに受け取れる年金(障害年金)、亡くなったときに遺族が受け取れる年金(遺族年金)などのための保険料です。
  • 雇用保険料: 働いている間に、万が一、失業してしまったときに受け取れる失業給付(基本手当)のための保険料です。
  • 介護保険料: 40歳から64歳までの人が、将来、介護が必要になったときに受けられる介護サービスのための保険料です。

これらの社会保険料は、被保険者(働く人)と事業主(会社)がそれぞれ半分ずつ負担するのが原則です。つまり、給料から天引きされる保険料の半分は、会社も負担してくれているということですね。

社会保険料の計算は、原則として「標準報酬月額」という、月々の給与や賞与を基に決められた金額に基づいて行われます。この標準報酬月額は、毎年4月、5月、6月の給与の平均額をもとに改定されるのが一般的です。

社会保険制度 保険料の主な役割 負担者(原則)
健康保険 病気・ケガの際の医療費補助 被保険者・事業主(折半)
厚生年金保険 老齢、障害、遺族年金 被保険者・事業主(折半)
雇用保険 失業時の給付 被保険者・事業主(一部事業主負担割合大)
介護保険 介護サービスの費用 被保険者・事業主(折半)

「加入している人」が違う!

国民健康保険料と社会保険料の最も大きな違いは、 「誰が」その保険に加入しているか という点です。これは、先ほども少し触れましたが、非常に重要なポイントです。

国民健康保険は、日本に住むすべての人が、公的医療保険に加入する義務(国民皆保険制度)のもと、いずれかの公的医療保険に加入しなければならない、というルールの中で、主に以下のような人が加入します。

  • 自営業、フリーランスの方
  • 会社を退職して、社会保険の任意継続をしていない方
  • アルバイトやパートで、勤務先の社会保険に加入していない方(一定の条件あり)
  • 年金受給者で、65歳以上の方(ただし、75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行します)

一方、社会保険(狭義の社会保険、つまり健康保険や厚生年金保険などを指す場合)は、主に会社や法人に雇用されている人が加入します。具体的には、以下のような方々が対象となります。

  1. 会社員
  2. 公務員
  3. 週の労働時間が30時間以上のパート・アルバイトの方(一定の条件あり)

このように、「加入している人」が異なるために、保険料の徴収方法や計算方法にも違いが出てくるのです。

「保険料の計算方法」に注目!

保険料の計算方法も、国民健康保険料と社会保険料では違いがあります。 この計算方法の違いを理解すると、なぜ金額が変わってくるのかが分かります。

国民健康保険料は、先ほども触れましたが、お住まいの市区町村が条例で定める保険料率に基づいています。一般的には、以下の3つの項目を合計して計算されます。

  • 所得割: 加入者の前年の所得に応じて計算される部分。所得が高いほど保険料も高くなります。
  • 均等割: 加入者一人あたりに均等にかかる部分。所得に関係なく、加入者数に応じて計算されます。
  • 平等割: 世帯あたりに均等にかかる部分。世帯人数に関係なく、世帯単位で計算されます。

社会保険料は、給与明細などでおなじみの「標準報酬月額」を基に計算されます。健康保険料や厚生年金保険料など、それぞれの制度ごとに保険料率が決まっており、それを標準報酬月額に掛けて算出されます。

例として、健康保険料の計算式は以下のようになります。

健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率

この料率は、加入している健康保険組合や協会けんぽによって異なります。そして、この保険料は、被保険者(働く人)と事業主(会社)が折半して負担するため、実際に給与から天引きされる額は、算出された保険料の半分になります。

「保険料の負担者」は?

保険料の負担者にも、国民健康保険料と社会保険料では違いがあります。 誰がどれだけ負担するのかを知っておくことは、家計管理において重要です。

国民健康保険料は、原則として 加入者本人(世帯主)が全額を負担 します。ただし、国民健康保険税として徴収される場合、世帯主が納税義務者となります。

一方、社会保険料は、被保険者(働く人)と事業主(会社)が 折半して負担 するのが原則です。これは、健康保険料や厚生年金保険料に当てはまります。つまり、給与から天引きされている社会保険料の半分は、会社が負担してくれているのです。雇用保険料についても、被保険者と事業主が負担しますが、負担割合は制度によって異なります。

保険料の種類 負担者 備考
国民健康保険料 加入者本人(世帯主) 原則全額自己負担
社会保険料(健康保険・厚生年金) 被保険者・事業主 原則折半
社会保険料(雇用保険) 被保険者・事業主 負担割合は制度により異なる

「徴収方法」の違いもチェック!

保険料の徴収方法にも、国民健康保険料と社会保険料では違いが見られます。 普段どのように支払っているか、意識してみると違いが分かります。

国民健康保険料は、お住まいの市区町村によって徴収方法が異なりますが、主に以下の2つの方法があります。

  • 普通徴収: 市区町村から送られてくる納付書で、金融機関やコンビニエンスストアなどで支払う方法、または口座振替で支払う方法です。
  • 特別徴収: 年金から天引きされる方法です。年金受給者で、年間の年金受給額が18万円以上の場合などに適用されます。

一方、社会保険料は、 給与や賞与から天引き(控除)されるのが一般的 です。会社が被保険者の代わりに、社会保険料を年金事務所やハローワークなどに納付します。そのため、手取り額から差し引かれているのが社会保険料ということになります。

「加入期間」による影響

保険料は、加入している期間によっても金額が変わってきます。 いつからいつまで加入しているかで、最終的な支払額は変わるのです。

国民健康保険料は、加入した月(または資格が発生した月)から、資格を失った月の前月まで、月単位で計算されます。例えば、月の途中で国民健康保険に加入した場合、その月から保険料が発生します。

社会保険料も同様に、資格を取得した月から資格を喪失した月の前月まで、月単位で計算されます。ただし、社会保険の場合は、月の途中で入社・退社した場合でも、月の途中で資格を取得・喪失した場合は、その月は日割り計算ではなく、1ヶ月分の保険料がかかるのが原則です。

「保険料の軽減・免除制度」はあるの?

どちらの保険料にも、所得が低いなどの理由で保険料の支払いが困難な場合のための軽減や免除制度があります。 これらの制度を知っておくことは、経済的な負担を軽減する上で非常に大切です。

国民健康保険料には、所得が一定以下の場合に、所得割額や均等割額が軽減される制度(法定減免)があります。また、災害など特別な事情で納付が困難な場合には、保険料の減免や猶予を受けられる場合もあります。申請が必要な場合が多いので、お住まいの市区町村に相談してみましょう。

社会保険料にも、以下のような軽減・免除制度があります。

  • 産前産後休業期間中の保険料免除: 産前産後休業期間中、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。
  • 育児休業期間中の保険料免除: 育児休業期間中、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。
  • 失業等による保険料の減免: 倒産・解雇などの理由で離職し、失業等給付を受けることができる方については、一定の要件を満たせば、健康保険料と厚生年金保険料の所得割額が軽減される場合があります。

これらの制度についても、会社の担当部署や年金事務所に確認することが大切です。

国民健康保険料と社会保険料、それぞれに違いはありますが、どちらも私たちの健康や将来を支えるための大切な保険料です。この記事を参考に、ご自身の保険料について理解を深めていただけたら嬉しいです。もし分からないことがあれば、お住まいの市区町村や勤務先の担当者、年金事務所などに相談してみてくださいね!

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