音楽を聴いているとき、「この音、なんだか聞き覚えがある!」とか、「あの曲のあのメロディー、すぐにわかる!」と思ったことはありませんか? 実は、音楽を聴き取る能力には、大きく分けて「絶対音感」と「相対音感」の2種類があるんです。今日は、この「絶対音感と相対音感の違い」について、分かりやすく解説していきますよ!
絶対音感と相対音感:音を捉える根本的な違い
まず、一番大切な「絶対音感と相対音感の違い」は、音を「基準」として捉えるか、それとも「他の音との関係」で捉えるか、という点にあります。絶対音感を持っている人は、まるで心の中にチューニングされたピアノがあるかのように、どんな音でもその音名(ド、レ、ミなど)を瞬時に特定できます。一方、相対音感を持つ人は、ある音を基準として、それよりも高いか低いか、どれくらいの音程差があるのかを理解することができます。
それぞれの能力には、以下のような特徴があります。
- 絶対音感:
- 楽器がなくても、鳴っている音(例えば、ドアの閉まる音や車のクラクションなど)の音名を特定できる。
- 楽譜を見なくても、メロディーを聴いただけで正確な音程で歌ったり、楽器で再現したりできる。
- 曲のキーが変わっても、メロディーの構成を理解できる。
- 相対音感:
- 基準となる音(例えば、ピアノのドの音)が分かれば、そこから他の音との関係性を理解できる。
- 「あの音より半音高い」とか、「この音とこの音は同時に鳴ると心地よい響きになる」といった、音程の距離感やハーモニーを捉えるのが得意。
- 移調された曲でも、メロディーの「形」や「響き」を理解できる。
どちらの音感も、音楽を深く楽しむ上で非常に重要 ですが、その捉え方には明確な違いがあることを覚えておいてくださいね。
絶対音感の不思議な世界
絶対音感は、生まれつき持っている人もいれば、幼い頃の音楽教育によって後天的に身につける人もいると言われています。その能力の高さは、まるで魔法のようにも感じられます。
- 絶対音感の主な特徴:
- どの音も「ド」「レ」「ミ」…と名前をつけられる。
- 電話の着信音や、街のサイレンの音など、音楽以外の音も音名で認識できることがある。
- 楽譜が読めなくても、聴いた音をそのまま再現できる。
この能力は、音楽家にとっては大きなアドバンテージとなることが多いです。
相対音感の力:音の「関係性」を理解する
一方、相対音感は、私たち多くの人が持っている、あるいは意識的に鍛えることができる能力です。基準となる音があれば、そこからの「相対的な」関係性を理解するのが得意です。
| 基準音 | 相対的な音 |
|---|---|
| ド | ドより高いレ、ドより低いシ |
| ソ | ソより高いラ、ソより低いファ |
このように、基準音との距離感で音を捉えます。音楽を聴いて「このメロディーは楽しい感じ」「このコードは悲しい感じ」といった感情を抱くのも、相対音感の働きによるところが大きいでしょう。
絶対音感と相対音感のトレーニング
絶対音感は生まれつきの要素が大きいと言われますが、幼い頃からの継続的なトレーニングで、その能力を高めたり、後天的に身につけたりする可能性も示唆されています。一方、相対音感は、意識的な練習によって誰でも向上させることができます。
トレーニング方法としては、以下のようなものがあります。
- 音当てクイズ: 楽器の音や、特定の音階の音を聴き、その音名を当てる練習。
- スケール練習: ドレミファソラシドなどの音階を、基準音を意識しながら正確に歌ったり演奏したりする。
- コード進行の分析: 聴いたコード進行を、基準音からの関係性で理解しようと試みる。
絶対音感と相対音感、どちらが優れている?
「絶対音感の方がすごい!」「相対音感は劣っている!」というわけでは決してありません。どちらの能力にも、それぞれ魅力と活かせる場面があります。
- 絶対音感のメリット:
- 高度な演奏や作曲、音楽理論の理解に役立つ。
- 音の細かいニュアンスを聞き分けることができる。
- 相対音感のメリット:
- 移調された曲も自然に理解できる。
- 音楽の「雰囲気」や「感情」を捉えるのが得意。
- 多くの人が意識的に鍛えやすい。
音楽を奏でる上で、両方の要素が組み合わさることで、より豊かな表現が可能になります。
絶対音感と相対音感の学習方法
もし、ご自身の音楽の聴き取り能力をさらに高めたいと思ったら、それぞれの能力に合わせた学習方法があります。
- 絶対音感を意識した学習:
- 幼い頃からの早期音楽教育。
- 様々な楽器の音色を聴き分け、音名を特定する練習。
- 聴いたメロディーをすぐに楽器で再現する練習。
- 相対音感を鍛える学習:
- 音程トレーニングアプリの活用。
- 移調した曲を聴いて、元のメロディーとの関係性を理解する練習。
- コード進行を耳で覚え、その響きを分析する練習。
どちらの能力も、継続的な努力と楽しむ気持ちが大切です。
絶対音感と相対音感の応用例
これらの音感は、音楽の世界だけでなく、様々な分野で役立つことがあります。
| 音感の種類 | 応用例 |
|---|---|
| 絶対音感 | 楽器のチューニング、音楽の採譜、言語のアクセントの認識、鳥の鳴き声の識別など |
| 相対音感 | 歌唱、楽器演奏(アンサンブル)、音楽鑑賞、DJプレイ、映画のサウンドデザインなど |
このように、音を正確に捉える能力は、私たちの生活を豊かにする多くの場面で活かされています。
まとめ:音感を理解して音楽をもっと楽しもう!
「絶対音感と相対音感の違い」について、少しでも理解が深まったでしょうか? どちらの音感も、音楽をより深く、豊かに楽しむための素晴らしい能力です。ご自身の持っている音感を理解し、必要であればトレーニングをすることで、音楽の世界はさらに広がるはずです。ぜひ、今日から音楽を聴くときに、どんな風に音を捉えているのか意識してみてくださいね!