肺腺癌と肺がんの違い：知っておきたい基本知識

「肺腺癌と肺がんの違い」について、皆さんはどのくらいご存知でしょうか？実は、肺がんという大きなカテゴリーの中に、肺腺がんという特定のタイプが含まれているのです。この違いを理解することは、肺がんについて正しく知り、適切な情報を持つ上で非常に重要です。

肺がんという大きな枠組みと肺腺がんの位置づけ

まず、肺がんは、肺にできる悪性腫瘍の総称です。これは、私たちがお医者さんから「肺がんですね」と言われたときに、まず知っておくべきことです。肺がんにはいくつかの種類があり、その中でも特に割合が多いのが「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」です。この非小細胞肺がんをさらに細かく分類したものが、私たちが今日注目している「肺腺がん」なのです。

つまり、肺腺がんは肺がんの一種であり、肺がん全体から見ると、その特徴や治療法が少しずつ異なってきます。この「肺腺癌と肺がんの違い」を理解することは、病気と向き合う上で、そして周りの人がサポートする上で、とても大切な第一歩となります。

肺がん：肺にできるがんの総称
非小細胞肺がん：肺がんの約85%を占めるタイプ
小細胞肺がん：肺がんの約15%を占めるタイプ
肺腺がん：非小細胞肺がんの約40%を占めるタイプ

肺腺がんの発生場所と特徴

肺腺がんがどこで発生しやすいかというと、肺の外側の方にある、空気の通り道である気管支の奥の方、つまり「腺」と呼ばれる部分から発生することが多いのです。この「腺」というのは、粘液などを分泌する細胞が集まった部分のことです。そのため、肺腺がんでは、この腺細胞ががん化してしまうのです。

特徴としては、他の肺がんのタイプに比べて、比較的ゆっくりと進行することが多いと言われています。しかし、早期発見が難しい場合もあり、発見されたときにはすでに進行しているケースも見られます。これは、肺の外側という、初期には症状が出にくい場所で発生することが関係していると考えられます。

発生場所	特徴
肺の外側（腺組織）	比較的ゆっくり進行することが多いが、早期発見が難しい場合も

肺腺がんの主な原因

肺腺がんの最も大きな原因として考えられているのは、やはり喫煙です。タバコに含まれる有害物質が肺の細胞にダメージを与え、がんを引き起こすと考えられています。しかし、非喫煙者でも肺腺がんになる人はいます。これは、受動喫煙（周りの人のタバコの煙を吸うこと）や、大気汚染、遺伝的な要因なども関わっている可能性があるからです。

特に、女性の非喫煙者の肺腺がんの割合が比較的高いという報告もあり、喫煙以外の要因も重要視されています。では、具体的にどのような要因が関係しているのでしょうか。

喫煙
受動喫煙
大気汚染
遺伝的要因

肺腺がんの診断方法

肺腺がんを診断するためには、いくつかの検査が行われます。まずは、レントゲン写真やCT検査で、肺に異常がないかを確認します。これらの画像検査で「がんかもしれない」という影が見つかった場合、さらに詳しい検査に進みます。

次に、がん細胞が本当にがんであるか、そして肺腺がんであるかを確認するために、組織を採取する検査が行われます。これは、気管支鏡（カメラのついた細い管）を使って肺の奥まで入れ、がんのある部分から組織を少しだけ採る方法や、針を使って肺の表面に近い部分から組織を採る方法などがあります。

画像検査（レントゲン、CT）
組織検査（気管支鏡検査、針生検）

肺腺がんの治療法

肺腺がんの治療法は、がんの進行度や患者さんの全身状態によって決まります。大きく分けて、手術、放射線療法、薬物療法（抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など）があります。

早期で、がんが肺の限られた部分にとどまっている場合は、手術でがんを取り除くことが最も効果的な治療法となることが多いです。がんが進行していたり、手術が難しい場合には、放射線療法や薬物療法が中心となります。最近では、がんの遺伝子変異を調べ、それに合った薬を使う「分子標的薬」や、体の免疫の力を利用してがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」といった、新しい治療法も登場し、治療成績の向上に貢献しています。

手術
放射線療法
薬物療法
- 抗がん剤
- 分子標的薬
- 免疫チェックポイント阻害薬

肺腺がんと他の肺がんとの予後の違い

「予後」というのは、病気の将来の見通しのことです。肺腺がんの予後は、他の肺がんのタイプと比べて、一概にどちらが良い、悪いとは言えません。なぜなら、がんの進行度、発見されたときの状態、そして患者さんご自身の体調など、多くの要因が複雑に絡み合っているからです。

しかし、先ほども触れたように、肺腺がんは比較的ゆっくり進行するタイプも多いため、早期に発見されれば、良好な予後が期待できる場合もあります。逆に、進行が速いタイプや、発見が遅れた場合には、予後が厳しくなることもあります。そのため、定期的な健康診断や、気になる症状があればすぐに医療機関を受診することが、予後を左右する上で非常に大切なのです。

要因	予後への影響
がんの進行度	早期発見・早期治療が予後を改善
がんのタイプ	進行速度により異なる
患者さんの全身状態	体力があるほど治療に耐えられる

「肺腺癌と肺がんの違い」について、その基本的な部分から、発生場所、原因、診断、治療、そして予後まで、幅広く見てきました。肺腺がんは肺がんという大きな病気の一部であり、その特性を理解することで、より適切な情報に基づいた行動が取れるようになります。もし、ご自身や身近な方が肺がんに罹患された場合、まずは主治医の先生のお話をよく聞き、疑問に思ったことは遠慮なく質問することが大切です。