「月給」と「手取り」、この二つの言葉、よく聞くけれど、実はしっかり理解していない人も多いのではないでしょうか? この二つの違いを正確に知ることは、自分の収入を正しく把握し、賢くお金を管理していく上で とても大切 なのです。
月給と手取り、何が違うの?
「月給」とは、会社から提示される、いわゆる 額面のお給料 のことです。これは、基本給に各種手当(残業代、通勤手当、役職手当など)が加算された、 総支給額 とも言えます。
一方、「手取り」とは、その月給から 税金や社会保険料などが差し引かれた、実際に自分の銀行口座に振り込まれる金額 のことです。つまり、自由に使えるお金が「手取り」になります。
この「月給」と「手取り」の差額が、毎月どれくらいになるのかを把握しておくことは、家計管理の基本となります。具体的な内訳を見てみましょう。
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控除されるもの:
- 所得税
- 住民税
- 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料など)
給与明細で確認!控除の内訳
給与明細は、月給と手取りの差額を具体的に確認できる大切な書類です。ここに記載されている項目を一つずつ見ていくことで、なぜ手取りが月給より少なくなるのかがはっきりと理解できます。
例えば、控除される項目には以下のようなものがあります。
- 所得税: 収入に対してかかる税金で、所得が多いほど税率も高くなります。
- 住民税: 前年の所得に対してかかる税金で、住んでいる自治体に納めます。
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社会保険料:
保険の種類 内容 健康保険料 病気やケガをした際の医療費をカバー 厚生年金保険料 将来受け取る年金のための積み立て 雇用保険料 失業した際の生活を支援
これらの控除額は、個人の状況(扶養家族の有無、年収、加入している保険など)によって変動します。自分の給与明細をじっくり確認し、どの項目でいくら引かれているのかを把握することが大切です。
所得税の仕組み:累進課税ってなに?
所得税は、収入が増えるほど税率も高くなる「累進課税」という仕組みが採用されています。これは、所得が多い人ほど多くの税金を負担するという考え方に基づいています。
具体的には、所得をいくつかの段階(税率帯)に分け、それぞれの段階で定められた税率をかけて計算されます。つまり、同じ1万円でも、収入が低い人の1万円と、収入が高い人の1万円では、税金として差し引かれる金額も変わってくるのです。
所得税の計算は少し複雑ですが、大まかな仕組みを理解しておくだけでも、将来的な収入アップを目指す上でのモチベーションにもつながるでしょう。
以下に、所得税の計算における簡単なステップを示します。
- 収入金額: 1年間の収入の合計
- 所得金額: 収入金額から必要経費などを差し引いた金額
- 課税所得金額: 所得金額から所得控除(扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いた金額
- 所得税額: 課税所得金額に税率をかけて計算
住民税:住む場所で変わる?
住民税は、住んでいる自治体に納める税金です。所得税と同様に、前年の所得に対して課税されますが、計算方法や税率が所得税とは異なります。
住民税は、原則として「均等割」と「所得割」の合計で計算されます。「均等割」は、所得にかかわらず一定額が課税される部分で、自治体によって金額が異なる場合があります。「所得割」は、所得金額に応じて課税される部分で、こちらは多くの自治体で税率が統一されています。
つまり、同じ収入であっても、住んでいる自治体によって住民税の金額が若干変わることがあるのです。引っ越しを検討する際には、住民税の負担についても考慮に入れると良いでしょう。
住民税の計算のポイントは以下の通りです。
- 所得金額の計算: 所得税と同様の計算
- 税額控除の適用: 住宅ローン控除などが適用される場合がある
- 税率の適用: 均等割と所得割を合算
社会保険料:将来のための積み立て
社会保険料は、将来の安心のために、毎月一定額が天引きされるものです。これには、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、そして40歳以上になると介護保険料も含まれます。
これらの保険料は、給料の額によって変動します。一般的に、給料が高いほど保険料も高くなりますが、上限額が設定されている場合もあります。また、保険料の負担は会社と従業員で折半されることがほとんどです。
これらの社会保険に加入することで、病気やケガ、失業、老齢など、人生における様々なリスクに備えることができます。一見、手取りを減らす要因に思えますが、将来の自分を守るための大切な投資と考えることができます。
社会保険料の内訳は以下のようになります。
- 健康保険料: 医療費の自己負担を軽減
- 厚生年金保険料: 将来の年金給付の原資
- 雇用保険料: 失業給付や育児休業給付などの財源
- 介護保険料: 介護サービスを受けるための費用
手取りを増やす!賢い節約術とライフプラン
「手取り」を増やすためには、控除される金額を直接減らすことは難しいですが、賢い節約術やライフプランの見直しで、実質的な可処分所得を増やすことは可能です。
例えば、税金面では「ふるさと納税」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」、「NISA(少額投資非課税制度)」などの制度をうまく活用することで、所得税や住民税の負担を軽減できる場合があります。これらは、将来の資産形成にもつながるため、積極的に検討してみる価値があります。
また、日々の生活費の見直しも重要です。固定費(家賃、通信費、保険料など)を削減したり、食費や交際費などの変動費を意識的に管理したりすることで、手取りを増やすことと同様の効果が得られます。
自分のライフプランに合わせて、無理のない範囲で賢くお金を管理していくことが、将来の安心につながります。
手取りを増やすための具体的なアクションプランをいくつかご紹介します。
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税制優遇制度の活用:
- ふるさと納税
- iDeCo
- NISA
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支出の見直し:
- 通信費の見直し(格安SIMへの乗り換えなど)
- 保険料の見直し
- サブスクリプションサービスの整理
- 家計簿をつける: 収入と支出を「見える化」する
まとめ:月給と手取りの違いを理解して、充実した生活を!
「月給」と「手取り」の違いを理解することは、単にお金の話だけでなく、自分の働き方や将来設計にも深く関わることです。提示される月給の額だけでなく、実際に手元に残る手取り額を把握し、そこから計画的に支出を管理していくことが、経済的な安心感につながります。
今回ご紹介した内容を参考に、ご自身の給与明細をじっくり確認し、賢くお金を管理していくことで、より充実した生活を送ってくださいね!