英語の前置詞、特に「in」と「on」の使い分けは、多くの学習者がつまずきやすいポイントですよね。「in」と「on」のどちらを使うかで、意味が大きく変わってしまうこともあります。この記事では、「in」と「on」の基本的な意味の違いから、具体的な使い方、そして少し応用的な表現まで、分かりやすく解説していきます。 この「in」と「on」の使い分けをマスターすることは、英語の精度を格段に上げるための重要なステップです。
空間を表す「in」と「on」の基本
「in」と「on」は、どちらも「〜の中に」「〜の上に」という意味で使われることが多いですが、その「空間」の捉え方に違いがあります。 「in」は、ある「囲まれた空間」や「範囲」の中にある状態を表します。「箱の中」「部屋の中」「国の中」のように、ある程度の広がりや、境界線で区切られた場所をイメージすると分かりやすいでしょう。 一方、「on」は、ある「表面」に接している状態を表します。「机の上」「壁」「地図の上」のように、平らな面や、何かにくっついている状態を指します。 この基本的な違いを理解しておくだけで、多くの場面でどちらを使うべきか判断しやすくなります。
- in : 囲まれた空間、範囲内
- on : 表面への接触
例えば、
- I am in the room. (私は部屋の中にいます。)
- The book is on the desk. (その本は机の上にあります。)
時間表現での「in」と「on」
空間だけでなく、時間表現でも「in」と「on」は使い分けられます。 「in」は、比較的長い期間や、ある期間の「中」を表すときに使われます。例えば、「in the morning」(午前中に)、「in June」(6月に)、「in 2023」(2023年に)、「in the summer」(夏に)など、月、年、季節、あるいは一日の特定の時間帯に使われます。 「on」は、特定の「日」や「日付」を表すときに使われます。「on Monday」(月曜日に)、「on July 15th」(7月15日に)、「on my birthday」(私の誕生日に)などが代表的な例です。 このように、時間表現においても、「in」はより広い範囲、「on」はより限定された特定の日を指す傾向があります。
ここで、時間表現の使い分けをまとめた表を見てみましょう。
| 前置詞 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| in | in the morning, in June, in 2023, in the summer | 朝に、6月に、2023年に、夏に |
| on | on Monday, on July 15th, on my birthday | 月曜日に、7月15日に、私の誕生日に |
「in the evening」は「夕方に」という意味ですが、「at night」は「夜に」と、「at」が使われることに注意しましょう。
乗り物での「in」と「on」
乗り物に乗る際にも、「in」と「on」が使い分けられます。 「in」は、車やタクシー、飛行機など、比較的「密閉された空間」で、座席に座って移動する乗り物に使われます。例えば、「in a car」、「in a taxi」、「in an airplane」、「in a train」のように使います。 一方、「on」は、自転車、バイク、バス、船、馬など、比較的「開放的」で、立っていたり、座席に座っていても、車内のような閉鎖的な空間ではない乗り物に使われます。「on a bicycle」、「on a motorcycle」、「on a bus」、「on a ship」、「on a horse」などが例です。
乗り物での使い分けのポイントは、その乗り物の中で「どれくらいの自由度があるか」とも考えられます。
- in a car : 車内は狭く、運転席や助手席、後部座席に座る
- on a bus : バスの中では立ったり歩き回ったりできることもある
- on a bicycle : 自転車に乗るという行為そのもの
「on a train」と「in a train」で迷うかもしれませんが、一般的には「on a train」が使われます。これは、列車の中は比較的広々としており、歩き回ることもできるため、「表面」や「広がり」のイメージが強いからでしょう。
活動や状態を表す「in」と「on」
「in」と「on」は、特定の活動や状態を表す際にも使われます。 「in」は、ある「活動」や「状態」に「従事している」「関わっている」ことを示す場合に使われます。「in trouble」(困っている)、「in danger」(危険な状態)、「in love」(恋をしている)、「in charge of」(〜の担当である)などが例です。 「on」は、ある「活動」や「状態」を「実行している」「開始している」ことを示す場合に使われます。「on duty」(勤務中である)、「on strike」(ストライキ中である)、「on the go」(忙しく動き回っている)、「on sale」(セール中である)などがあります。
これらの表現は、少し慣れが必要ですが、意味を理解すると非常に便利です。
- He is in trouble with his boss. (彼は上司との間で困っている。)
- The store is on sale this week. (その店は今週セール中です。)
「in charge of」は「〜の責任者である」という意味で、組織やプロジェクトにおいて重要な役割を担っている状態を表します。
状態や状況の「in」と「on」
ある「状況」や「状態」を表す際にも、「in」と「on」はそれぞれのニュアンスで使われます。 「in」は、ある「状態」や「状況」の中に「置かれている」ことを表します。「in a hurry」(急いでいる)、「in a good mood」(機嫌が良い)、「in a difficult situation」(困難な状況にある)などが例です。 「on」は、ある「状態」や「状況」に「対して」何かをしている、あるいは、ある「決まった状態」にあることを示します。「on the phone」(電話中である)、「on the street」(路上で)、「on the edge of」(〜の瀬戸際で)、「on the list」(リストに載っている)などが挙げられます。
これらの表現は、状況を具体的にイメージすることが大切です。
- in a hurry : 急いでいるという「心理的・時間的な状態」
- on the phone : 電話という「道具・手段」を使って話している状態
- on the street : 特定の「場所・表面」にいる状態
「on the go」は、「忙しく動き回っている」という意味で、常に活動している様子を表します。
まとめ:どちらを使うか迷ったら
ここまで、「in」と「on」の基本的な意味から、空間、時間、乗り物、活動、状況といった様々な場面での使い分けについて解説してきました。 「in」は「囲まれた空間」「範囲」「期間」「従事」「状態」といった、より「内部」や「全体」、「静的な状態」をイメージさせます。 一方、「on」は「表面」「接触」「特定の日」「開放的な乗り物」「開始・実行」「特定の状況」といった、より「表面」「限定」「活動的」「動的な状態」をイメージさせることが多いです。 それでも迷ってしまう場合は、それぞれの単語が持つ「イメージ」を大切にしてみてください。そして、たくさんの例文に触れ、実際に使ってみることで、自然と感覚が掴めてくるはずです。