時間 外 労働 と 残業 の 違い を クリア に!知っておきたい基本知識

「時間外労働」と「残業」、この二つの言葉、皆さんはその違いをはっきりと理解していますか? 実は、この「時間外労働と残業の違い」を正確に把握することは、働く上でとても大切なのです。一見似ているようで、実はそれぞれに意味合いや法律上の位置づけが異なります。今回は、この二つの言葉の基本的な違いから、具体的なケースまで、分かりやすく解説していきます。

時間外労働と残業:基本のキ!

まず、一番大切な「時間外労働と残業の違い」を理解しましょう。簡単に言うと、 「時間外労働」は法律で定められた「法定労働時間」を超えて働くこと全般 を指します。一方、「残業」は、もっと日常的な言葉で、会社が定めた「所定労働時間」を超えて働くことを指すことが多いのです。つまり、時間外労働は残業の一部とも言えますが、残業が必ずしも時間外労働とは限らない、という関係性になります。

具体的に見ていきましょう。

  • 法定労働時間: 労働基準法で1日8時間、週40時間と定められています。これを超えると、原則として時間外労働となります。
  • 所定労働時間: 会社ごとの就業規則などで定められた、1日の労働時間のことです。例えば、1日7時間勤務の会社であれば、7時間を超えれば残業になります。

この違いを理解しておくと、自分の労働時間がどういう扱いになるのかが、より明確になります。

ここで、それぞれのケースを比較してみましょう。

法定労働時間 所定労働時間
1日8時間、週40時間以内 OK OK
1日8時間、週40時間を超える 時間外労働(法定時間外労働) OK(所定労働時間内)
1日8時間未満、週40時間未満だが、所定労働時間を超える OK 残業(法定時間外労働ではない)

時間外労働になるケースを詳しく!

さて、ここからは「時間外労働」になる具体的なケースを掘り下げていきます。時間外労働は、労働基準法で定められているため、その扱いは厳格です。もし、法定労働時間を超えて働く場合は、原則として 「36協定」という、会社と労働組合(または労働者の過半数代表者)との間の書面による協定が必要 になります。この協定がないのに時間外労働をさせた場合、法律違反になる可能性があります。

36協定を締結した場合でも、時間外労働には上限があります。これは、労働者の健康を守るための重要なルールです。

  1. 原則、1ヶ月で45時間、1年で360時間まで
  2. 特別な事情があり、労使が合意した場合でも、
    • 1ヶ月で100時間未満
    • 年間の平均で80時間以内
  3. さらに、月60時間を超える時間外労働は、中小企業では2023年3月31日まで、それ以外の企業では2023年4月1日以降、 割増賃金の率が引き上げられます。

時間外労働には、特別な手当が支払われるのが一般的です。これは、超えて働いてもらったことへの感謝と、健康への配慮を示すためです。

  • 割増賃金: 通常の賃金よりも高い率で支払われる賃金のこと。
  • 時間外労働の割増率: 通常は2割5分増し(1.25倍)ですが、月60時間を超える場合は、さらに引き上げられます。

これは、単に「遅くまで働いた」というだけでなく、法律で定められた特別な労働時間であることを意味します。

残業だけど、時間外労働じゃない?

次に、「残業だけど、時間外労働じゃない」というケースについて考えてみましょう。これは、前述した「所定労働時間」と「法定労働時間」の関係で説明できます。例えば、あなたの会社の所定労働時間が1日7時間だとします。そして、ある日あなたは8時間働きました。この場合、1時間の残業をしたことになりますが、法定労働時間である1日8時間には達していません。つまり、 「法定時間外労働」には該当しない のです。

しかし、これはあくまで「法定時間外労働」ではないというだけで、会社との契約(就業規則など)に基づいて、超過した1時間について残業代が支払われるのが一般的です。この残業代の計算方法も、会社によって異なります。

  • 所定労働時間の設定: 会社ごとに決められています。
  • 残業代の計算: 所定労働時間を超えた分に対して、会社で定められた時給や日給に基づいて計算されます。

このように、残業という言葉は、より広範な意味で使われがちですが、法律上の「時間外労働」とは区別される場合があることを理解しておきましょう。

ここで、残業と時間外労働の区別が分かりやすいように、表でまとめてみます。

状況 残業? 時間外労働(法定時間外労働)? 割増賃金(法定)の対象?
所定労働時間内 いいえ いいえ いいえ
所定労働時間を超え、法定労働時間内 はい いいえ いいえ(ただし、会社によっては所定残業手当が出る場合あり)
法定労働時間を超える はい はい はい(割増賃金率が適用される)

「みなし残業」とは?

「みなし残業」という言葉を聞いたことがありますか? これは、給与の中に、あらかじめ一定時間分の残業代が含まれている制度のことです。例えば、「月給25万円(うち、固定残業代3万円・20時間分を含む)」といった形です。この場合、たとえ実際に20時間残業をしなくても、その3万円は給与として支払われます。 この「みなし残業」の取り扱いも、時間外労働と残業の違いを理解する上で重要 なポイントです。

みなし残業には、いくつかの注意点があります。

  1. みなし残業時間を超えた場合: 契約で定められたみなし残業時間を超えて働いた場合は、その超えた分については別途、割増賃金が支払われる必要があります。
  2. 時間外労働の管理: みなし残業制度であっても、法定労働時間を超える時間外労働については、36協定の締結や労働時間の管理が引き続き必要です。

「みなし残業」という名前から、実際には働いていなくても残業代がもらえる、と誤解する人もいますが、あくまで「あらかじめ残業代を見込んで支払われている」という仕組みなのです。

深夜労働・休日労働との関係

時間外労働や残業の話をする際に、避けて通れないのが「深夜労働」や「休日労働」です。これらは、時間外労働とはまた別に、労働基準法で特別に定められている労働時間です。 深夜労働は、午後10時から午前5時までの間に働くこと、休日労働は、法律で定められた法定休日に働くこと を指します。

これらの労働には、それぞれ割増賃金が適用されます。

  • 深夜労働: 通常の賃金に2割5分増し(1.25倍)以上の割増率。
  • 休日労働: 1週間に1日以上の法定休日に労働させた場合、3割5分増し(1.35倍)以上の割増率。

さらに、これらの労働が重複する場合、割増賃金の率も上乗せされることがあります。例えば、法定休日に深夜まで働いた場合は、深夜割増と休日割増の両方が適用される、という形です。これは、時間外労働や残業とは別の、より特別な労働に対する配慮と言えるでしょう。

まとめ:自分を守るために知っておこう!

ここまで、「時間外労働と残業の違い」について、様々な角度から見てきました。結局のところ、 「時間外労働」は法律で厳密に定められた労働時間の上限を超えたもの、そして「残業」は、会社が定めた所定労働時間を超えたもの 、という理解が基本となります。そして、時間外労働には、36協定の締結や割増賃金の支払いといった、法律で定められたルールが適用されるのです。

これらの違いを理解することは、単に言葉の意味を知るだけでなく、自分の労働条件を正しく把握し、不当な扱いから身を守るために非常に重要です。もし、自分の労働時間や残業代について疑問がある場合は、会社の担当部署や、場合によっては労働組合、専門家などに相談することをおすすめします。

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