確定申告。フリーランスや副業をしている方にとって、毎年避けては通れない手続きですよね。でも、「確定申告書A」と「確定申告書B」って何が違うんだろう?どっちを使えばいいのか迷う…そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、 確定申告書AとBの違い を分かりやすく解説し、あなたに最適な申告書の選び方をお手伝いします。
【基本のキ】確定申告書AとB、何が違うの?
まず、一番大切な「確定申告書AとBの違い」から押さえましょう。簡単に言うと、確定申告書Aは、給与所得者や公的年金受給者など、比較的シンプルな所得の人向け。一方、確定申告書Bは、事業所得や不動産所得など、より多様な所得がある人向けに作られています。 どちらの申告書を選ぶかは、あなたの収入の種類によって決まります。 間違った申告書を使うと、再提出が必要になったり、余計な手間がかかってしまうこともあるので、しっかり理解しておきましょう。
- 確定申告書A: 給与所得、公的年金等所得、退職所得、配当所得、一時所得など。
- 確定申告書B: 上記に加え、事業所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得、雑所得(一部除く)など。
「あれ?一時所得ってAにもBにも書いてあるけど…」と思った方もいるかもしれませんね。そうなんです、一時所得のような一部の所得は、条件によってはAでもBでも申告できる場合があります。なので、最終的にはご自身の所得の種類を正確に把握することが重要です。
ここで、所得の種類を一覧で見てみましょう。
| 所得の種類 | 申告書A | 申告書B |
|---|---|---|
| 給与所得 | 〇 | 〇 |
| 公的年金等所得 | 〇 | 〇 |
| 事業所得 | ✕ | 〇 |
| 不動産所得 | ✕ | 〇 |
| 一時所得 | 〇(一部) | 〇 |
確定申告書Aってどんな人が使うの?
確定申告書Aは、主にサラリーマンの方や、年金を受け取っている方が利用する申告書です。つまり、毎月お給料が振り込まれる方や、定年後に年金を受給している方などがこれにあたります。1年間の給与所得や公的年金等所得、そしてそこから差し引かれる源泉徴収税額を基に、所得税の精算を行います。 年末調整を受けている場合でも、追加の控除(医療費控除やふるさと納税など)を受けるために確定申告をする際に、Aが使われることがほとんどです。
具体的には、以下のようなケースで確定申告書Aが使われます。
- 年間の給与所得が2,000万円を超える給与所得者
- 2か所以上から給与の支払いを受けている人で、給与所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
- 公的年金等を受給している人で、公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
- 医療費控除、寄付金控除、住宅ローン控除(初年度以外)などを申告したい人
「うーん、私は毎年会社で年末調整してもらってるから関係ないかな?」と思ったあなた。給与所得者であっても、医療費がたくさんかかったり、ふるさと納税をしたりした場合は、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。そんな時にも、確定申告書Aは活躍するのです。
確定申告書Bはどんな人が使うの?
確定申告書Bは、確定申告書Aよりもっと幅広い所得に対応できる、いわば「オールマイティ」な申告書です。フリーランスで事業を営んでいる方、アパートやマンションを貸している大家さん、副業で得た所得がある方など、給与所得以外にも様々な種類の所得がある場合に利用します。 事業所得や不動産所得といった、売上から経費を差し引いて利益を計算する必要がある所得は、確定申告書Bで申告することになります。
確定申告書Bを使う具体的なケースをいくつかご紹介しましょう。
- フリーランス(デザイナー、ライター、プログラマーなど)として事業所得がある方
- 不動産(アパート、駐車場など)を貸し付けており、不動産所得がある方
- 株式の譲渡所得や、土地・建物の譲渡所得がある方
- 副業での所得が一定額を超える方
確定申告書Bは、申告する所得の種類が多くなるほど、記入する項目も増えて複雑になります。そのため、初めて確定申告書Bを使う方は、税務署の相談窓口や税理士さんに相談することをおすすめします。
所得の種類で決まる!申告書の使い分け
先ほどもお伝えしましたが、確定申告書AとBの最も大きな違いは、申告できる「所得の種類」にあります。あなたの1年間の収入が、どのような所得に分類されるのかを正確に把握することが、正しい申告書選びの第一歩です。 所得税法では、所得は10種類に分類されており、それぞれ申告のルールが異なります。
例えば、以下のような分類があります。
| 所得の種類 | 申告書A?B? |
|---|---|
| 給与所得 | A・B |
| 事業所得 | Bのみ |
| 不動産所得 | Bのみ |
| 譲渡所得 | Bのみ |
| 一時所得 | A(条件による)・B |
「あれ?譲渡所得って何?」と思った方もいるかもしれません。これは、土地や建物、株式などを売却して得た利益のことです。これらの所得がある場合は、必ず確定申告書Bで申告する必要があります。
副業をしている場合の申告書は?
副業をしている場合、申告書AかBか、どちらを使うべきか悩む方も多いでしょう。結論から言うと、 副業で得た所得の種類によって、申告書AまたはBを選択することになります。
例えば、
- 副業でライティングの仕事をしており、継続的に収入がある場合(事業所得) → 確定申告書B
- 副業で懸賞に当たり、一時的に高額な賞金を得た場合(一時所得) → 確定申告書A(一定の条件を満たす場合)またはB
- 副業で得た収入が、給与所得と合算して一定額を超える場合 → 確定申告書A(給与所得が主で、副業所得が一定以下の場合)またはB
副業所得の合計額が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要になります。給与所得以外に副業所得がある場合は、確定申告書Bを選択するのが一般的ですが、一時所得のように条件によってはAでも申告できるケースもあります。迷ったら、税務署や税理士に相談してみましょう。
申告書の入手方法と提出方法
確定申告書は、税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。 ウェブサイトからダウンロードする場合、PDF形式で提供されているため、自宅のプリンターで印刷して記入することができます。
記入が終わったら、以下のいずれかの方法で提出します。
- 税務署の窓口へ持参する :お住まいの管轄の税務署へ直接持っていきます。
- 郵送で提出する :税務署へ郵送します。この場合、簡易書留などの記録が残る方法で送るのがおすすめです。
- e-Tax(電子申告)を利用する :インターネットを通じて電子申告する方法です。マイナンバーカードやICカードリーダーライタが必要になりますが、自宅にいながら手続きが完了するため、非常に便利です。
e-Taxは、所得税の確定申告だけでなく、消費税や贈与税の申告にも利用できます。初めてe-Taxを利用する方のために、国税庁のウェブサイトには詳しい説明や操作ガイドが掲載されていますので、ぜひ活用してみてください。
まとめ:あなたに合った申告書を選びましょう!
確定申告書AとBの違いについて、ご理解いただけたでしょうか? あなたの所得の種類によって、どちらの申告書を使うべきかが決まります。
- 給与所得や公的年金等所得が中心で、医療費控除などの追加控除がある場合は、確定申告書A。
- 事業所得や不動産所得など、多様な所得がある場合は、確定申告書B。
どちらの申告書を使うべきか迷った場合は、まずはご自身の1年間の収入をリストアップし、それがどの所得に分類されるのかを確認することから始めましょう。それでも判断に迷う場合は、お近くの税務署に相談するか、税理士の専門家にご依頼することをおすすめします。早めの準備で、スムーズな確定申告を完了させましょう!