Android 5 (Lollipop) と Android 6 (Marshmallow) は、それぞれ Android の歴史において重要なマイルストーンとなりました。この二つのバージョンでは、ユーザー体験、セキュリティ、そして開発者向けの機能など、様々な面で進化が見られます。本記事では、 android5 と 6 の 違い を分かりやすく解説し、それぞれの特徴や進歩した点を掘り下げていきます。
ユーザーインターフェースとデザインの変遷
Android 5 の最大の特徴は、「マテリアルデザイン」という新しいデザイン言語の導入でした。これにより、アニメーションや影の表現が豊かになり、より直感的で洗練された操作感を実現しました。通知シェードも大きく変わり、ロック画面からのアクセスや、より詳細な情報表示が可能になりました。
一方、Android 6 では、マテリアルデザインは引き続き採用されつつも、より洗練されたものとなりました。特に、アプリの権限管理が大きく変更され、ユーザーがアプリごとに細かく権限を許可・拒否できるようになりました。これは、 プライバシー保護の観点から非常に重要な変化 でした。
以下に、Android 5 と 6 の UI に関する主な違いをまとめました。
- Android 5: マテリアルデザインの導入、リッチなアニメーション
- Android 6: マテリアルデザインの洗練、よりシンプルなアイコン
アプリの権限管理の進化
Android 5 では、アプリをインストールする際に、そのアプリが必要とする全ての権限をまとめて一度に許可するかどうかを決定する必要がありました。これは、ユーザーによっては「このアプリにこんな情報まで見せるの?」と不安を感じることもありました。
Android 6 で導入された「実行時パーミッション」は、この問題を大きく改善しました。アプリが初めて特定の機能(例: カメラ、連絡先)を使おうとした際に、その都度ユーザーに権限を求めるようになりました。これにより、ユーザーはどのアプリにどの情報へのアクセスを許可するかを、より細かく、かつ必要になった時点で判断できるようになりました。 これは、ユーザーのプライバシー意識の高まりに対応するための画期的な機能 でした。
実行時パーミッションの導入によって、ユーザーは以下のようなメリットを享受できるようになりました。
- アプリインストール時の権限確認の負担軽減
- 各機能の使用時に、都度権限の必要性を判断できる
- 不用意な情報漏洩のリスク低減
バッテリー管理機能の向上
Android 5 は、バッテリー消費を抑えるための機能として「バッテリーセーバーモード」を導入しました。しかし、その効果は限定的で、場合によってはパフォーマンスが低下してしまうこともありました。
Android 6 では、バッテリー管理がより賢く進化しました。「Dozeモード」という機能が追加され、デバイスが長時間使用されていない状態になると、自動的にスリープ状態に入り、バックグラウンドでのアプリの動作を制限しました。これにより、 バッテリーの持ちが劇的に改善 され、ユーザーの利便性が向上しました。
| 機能 | Android 5 | Android 6 |
|---|---|---|
| バッテリーセーバー | 搭載(効果は限定的) | 搭載(より賢く動作) |
| Dozeモード | なし | 搭載(長時間未使用時に省電力化) |
指紋認証機能の標準化
Android 5 の時点では、指紋認証機能は一部のデバイスメーカーが独自に搭載する形でした。そのため、全ての Android 5 搭載端末で指紋認証が使えるわけではありませんでした。
Android 6 からは、指紋認証機能が Android OS の標準機能として組み込まれました。これにより、対応するハードウェアを持つ端末であれば、メーカーによる個別の実装なしに、より手軽に指紋認証を利用できるようになりました。 セキュリティと利便性の両面で、大きな進歩 と言えます。
ストレージ管理と外部ストレージの扱い
Android 5 では、外部ストレージ(microSDカードなど)へのアプリの移動が限定的でした。アプリによっては、内部ストレージにしかインストールできないものもあり、ストレージ容量の少ない端末では悩みの種でした。
Android 6 では、外部ストレージを内部ストレージのように利用できる「Adoptable Storage」という機能が追加されました。これにより、microSDカードを内部ストレージの一部としてフォーマットし、アプリやデータをそこに保存できるようになりました。 ストレージ容量の不足を補うのに非常に役立つ機能 でした。
- Android 5: 外部ストレージへのアプリ移動は限定的
- Android 6: Adoptable Storage により、外部ストレージを内部ストレージとして利用可能
Now on Tap (Google Now on Tap)
Android 6 には、「Now on Tap」という画期的な機能が搭載されました。これは、画面に表示されている内容を Google が理解し、関連する情報やアクションを提案してくれる機能でした。例えば、映画のレビューを見ているときに「Now on Tap」を起動すると、その映画の予告編や上映時間、チケット購入情報などをすぐに提示してくれました。 情報へのアクセスが格段にスムーズ になったのです。
この機能は、ユーザーが能動的に検索する手間を省き、よりスムーズな情報収集を可能にしました。Android 5 にはこの機能は搭載されていませんでした。
Now on Tap の主な機能は以下の通りです。
- 画面上のテキストを解析
- 関連する情報(ウェブ検索結果、地図、動画など)を提示
- ワンタップで関連情報へのアクセスが可能
Android 5 と 6 の違いは、単なる見た目の変更だけでなく、ユーザーの使い勝手やセキュリティ、そしてスマートフォンの活用の幅を大きく広げるものでした。特に、アプリの権限管理の強化やバッテリー管理の進化は、日々のスマートフォンの利用において、より安心で快適な体験をもたらしました。