市民 税 と 県民 税 の 違い|知っておきたい基礎知識

「市民税」と「県民税」、どちらも私たちがお住まいの地域に納める税金であることは知っていても、その具体的な違いについては意外と知らない方も多いかもしれません。この二つの税金、実は 市民 税 と 県民 税 の 違い を理解することは、自分の税金がどのように使われているのかを知る上でとても大切なのです。

税金の種類と納める先

市民税と県民税は、どちらも「住民税」という大きな枠組みの中に含まれています。住民税は、その名の通り、その地域に住んでいる個人や法人が負担する税金で、都道府県と市町村(区)がそれぞれ徴収します。つまり、市民税は市町村に、県民税は都道府県に納める税金という、 納める先が一番大きな違い と言えるでしょう。

なぜ、一つの住民税を二つに分けているのでしょうか?それは、それぞれの税金が担う役割が異なるからです。市民税は、地域住民のための福祉、教育、消防、道路整備など、私たちの身近な生活を支えるためのサービスに使われることが多いです。一方、県民税は、県全体の広域的な行政サービス、例えば大学の運営、大きな公園の整備、県道の維持管理、防災対策などに充てられます。

このように、税金の使われ方が違うからこそ、徴収する側も分かれているのです。具体的には、以下のような違いがあります。

  • 市民税 :市町村が主体
  • 県民税 :都道府県が主体

どちらの税金も、私たちの生活に欠かせない行政サービスを維持するために、なくてはならないものです。

税金の計算方法:似ているけど少し違う!

市民税と県民税の計算方法は、基本的には同じ「所得割」と「均等割」という二つの部分から成り立っています。しかし、それぞれの税率が少しずつ異なるため、最終的な金額には差が出てきます。 計算方法の基本は同じですが、税率の違いがポイント です。

所得割は、前年の所得に応じて計算される部分です。所得から所得控除(扶養控除や医療費控除など)を差し引いた「課税所得金額」に、税率をかけて計算します。この所得割の税率ですが、市民税と県民税では、それぞれ定められた税率があります。例えば、一般的には市民税が10%、県民税が4%といった具合です。(※税率は自治体によって異なる場合があります。)

均等割は、所得にかかわらず、一定の金額を負担する部分です。こちらは、所得の多寡に関わらず、一定額が課税されます。均等割の金額も、市民税と県民税でそれぞれ定められています。

  1. 所得割 :前年の所得に基づいて計算
  2. 均等割 :所得にかかわらず一定額を負担

これらの計算方法によって、最終的な市民税と県民税の金額が決まってくるのです。

個人住民税の構成要素

私たちが毎年納める個人住民税は、市民税と県民税の合計額です。この合計額は、主に以下の二つの要素で構成されています。

  • 所得割 :前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税されます。計算式は「(総所得金額 - 所得控除額)× 税率」となります。
  • 均等割 :所得の有無にかかわらず、均等に課税される部分です。

この二つの要素の合計が、個人の住民税額となります。 個人の住民税は、市民税と県民税が合算されて徴収されている ということを覚えておきましょう。

法人住民税について

個人だけでなく、法人(会社など)にも住民税が課税されます。法人住民税も、法人市民税と法人県民税に分かれており、それぞれ市町村と都道府県に納められます。法人税額や従業員数などを基に計算されるのが特徴です。

法人住民税の計算も、基本的には「法人税割」と「均等割」からなります。

  1. 法人税割 :法人が納める法人税額に応じて課税される部分。
  2. 均等割 :法人の資本金の額や従業員数などに応じて定額で課税される部分。

法人市民税と法人県民税で、それぞれの税率や計算方法が定められています。 法人も、事業を行っている地域に対して税金を納める義務がある のです。

均等割の金額の違い

均等割は、前述の通り、所得にかかわらず一定額を負担する部分です。この均等割の金額は、市民税と県民税でそれぞれ異なります。例えば、標準的な税率で考えると、均等割の合計額は以下のようになります。

  • 市民税の均等割 :例として、年間3,500円
  • 県民税の均等割 :例として、年間1,400円

合計すると、年間5,000円弱が均等割として課税されることになります。(※これはあくまで一般的な例であり、自治体によって税率は異なります。) 均等割の金額が自治体によって異なる という点も、市民税と県民税の違いとして知っておくと良いでしょう。

所得割の税率の違い

所得割の税率も、市民税と県民税で異なります。一般的に、個人住民税の所得割の合計税率は10%とされていますが、これは市民税と県民税の税率を合わせたものです。具体的には、以下のような割合になっています。

税金の種類 税率(標準例)
市民税(所得割) 10%
県民税(所得割) 4%

このように、 所得割の税率の内訳が市民税と県民税で分かれている ため、合計した金額で徴収されます。この税率の違いも、最終的な納付税額に影響を与えます。

調整税額とは?

「調整税額」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、市民税と県民税の税率の標準的な税率から、各自治体が条例で一定の税率を定める際に生じる差額を調整するためのものです。つまり、 調整税額は、自治体の条例によって税率が標準と異なる場合に発生する ことがあります。

例えば、都道府県が特例的に県民税の税率を引き上げたり、市町村が市民税の税率を引き上げたりした場合、その差分を調整するために調整税額という形で反映されることがあります。ただし、これは全ての自治体で必ず発生するものではありません。

調整税額の有無や金額は、お住まいの地域によって異なります。 自分のお住まいの地域の税率や調整税額について確認することも可能 です。

市民税と県民税の違いを理解することは、私たちが納めた税金がどのように地域社会に還元されているのかを知る第一歩です。それぞれの税金が、身近な生活から広域的な行政サービスまで、私たちの暮らしを豊かにするために使われていることを覚えておきましょう。

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