婦人科と産婦人科の違い、ちゃんと理解してる?知っておきたい基本知識

「婦人科」と「産婦人科」、なんとなく似ているようで、実は専門とする範囲が少し違います。 婦人科と産婦人科の違い を正しく理解しておくことは、自分の体のことを大切にする上でとても重要です。

婦人科と産婦人科、それぞれの専門分野

まず、それぞれの専門分野について見ていきましょう。「婦人科」は、女性が一生のうちに経験する、妊娠・出産以外の病気や健康問題全般を扱います。月経不順や生理痛、おりものの異常、子宮筋腫、卵巣のう腫、更年期障害など、女性特有の悩みに幅広く対応してくれるのが特徴です。

一方、「産婦人科」は、その名の通り「産科」と「婦人科」を合わせたものです。つまり、妊娠・出産に関するケア(妊婦健診、分娩、産後のケアなど)に加えて、婦人科系の病気の診断・治療も行います。なので、産婦人科は、妊娠・出産を考えている方や、現在妊娠中の方にとって、より専門的なサポートを受けることができる場所と言えます。

簡単にまとめると、

  • 婦人科 :女性の病気全般(妊娠・出産以外)
  • 産婦人科 :女性の病気全般 + 妊娠・出産に関するケア

という違いがあります。

こんな時はどちらに行けばいい?

では、具体的にどのような症状でどちらの科を受診すれば良いのでしょうか。迷ったときは、まずはお近くの医療機関に電話で相談してみるのが一番確実です。

一般的には、以下のような基準で判断できます。

  • 生理不順、生理痛がひどい :婦人科でも産婦人科でも対応可能です。
  • おりものの異常(かゆみ、においなど) :婦人科でも産婦人科でも対応可能です。
  • 子宮や卵巣に腫瘍があるか心配 :婦人科でも産婦人科でも対応可能です。
  • 更年期症状がつらい :婦人科でも産婦人科でも対応可能です。
  • 妊娠の可能性がある、妊娠を希望している :産婦人科を受診しましょう。
  • 妊婦健診を受けたい :産婦人科を受診しましょう。
  • 出産を考えている :産婦人科を受診しましょう。

婦人科で診てもらえること

婦人科では、女性のデリケートな悩みにきめ細かく対応してくれます。例えば、以下のような内容です。

  1. 月経に関するトラブル
    • 生理不順(周期がバラバラ、来ないなど)
    • 生理痛(鎮痛剤で効かないほどの痛み)
    • 過多月経(経血量が多い)
    • PMS(月経前症候群)
  2. 婦人科系の病気
    • 子宮筋腫、子宮内膜症
    • 卵巣のう腫、卵巣の病気
    • 外陰部のかゆみ、できもの
    • 性感染症
  3. 更年期障害
    • ほてり、のぼせ
    • 動悸、息切れ
    • イライラ、気分の落ち込み
    • 不眠
  4. 予防接種や検診
    • 子宮頸がん検診
    • HPVワクチン接種

産婦人科で診てもらえること

産婦人科では、婦人科の領域に加えて、妊娠・出産に特化したケアを行います。

項目 内容
妊娠初期 妊娠判定、初期のつわり対策、流産・切迫流産の診断・治療
妊婦健診 定期的な健康チェック、胎児の成長確認、栄養指導
分娩 正常分娩、帝王切開、無痛分娩など
産後ケア 悪露の処置、母乳指導、産後うつへの対応
その他 不妊治療、人工妊娠中絶(母体保護法指定医療機関の場合)

婦人科と産婦人科、どちらを選んでも大丈夫なケース

先ほども少し触れましたが、女性の健康に関する悩みの多くは、婦人科でも産婦人科でも診てもらうことができます。例えば、以下のような症状で悩んでいる場合は、どちらの科を受診しても安心して相談できるでしょう。

  • 普段から生理痛がひどく、仕事や日常生活に支障が出ている。
  • おりものの量や色に変化があって気になる。
  • 健康診断で子宮や卵巣に異常を指摘された。
  • 更年期に入って、体調の変化が著しい。

特に、かかりつけ医として、信頼できる医師を見つけておくことが大切です。かかりつけ医がいれば、いざという時にスムーズに受診できますし、自分の体の状態を継続的に把握してもらうことができます。

産婦人科で特に重要視されること

産婦人科は、女性のライフステージの中でも特に大きな変化がある「妊娠・出産」に深く関わるため、そこでのケアは非常に重要視されます。

  1. 母子の健康を最優先

    お母さんとお腹の赤ちゃん、両方の健康状態を細かくチェックし、安全な妊娠・出産を目指します。異常が見つかった場合は、早期に対応することで、母子ともに健康な状態を保つことができます。

  2. 妊娠・出産に伴う不安へのサポート

    初めての妊娠や出産は、期待とともに不安も大きいものです。産婦人科では、専門的な知識に基づいたアドバイスはもちろん、精神的なサポートも行い、安心してマタニティライフを送れるよう支えます。

  3. 万が一の事態への備え

    妊娠・出産は、時に予期せぬトラブルに見舞われることもあります。産婦人科では、緊急時の対応体制も整えており、万が一の事態にも迅速かつ適切に対応できるよう準備されています。

婦人科ならではのきめ細やかなケア

一方、婦人科は、妊娠・出産という特定のイベントに限定されず、女性が一生涯にわたって経験する様々な健康課題に、よりきめ細やかに対応してくれるのが特徴です。

  • 思春期から更年期、閉経後まで

    月経が始まったばかりの思春期から、更年期を経て閉経後まで、女性の体は常に変化しています。婦人科では、それぞれの年代に合わせた適切なケアを提供します。

  • デリケートな悩みの相談窓口

    生理痛やPMS、おりものの異常、性感染症など、他人に相談しにくいデリケートな悩みも、婦人科医は専門家として親身に話を聞いてくれます。

  • 予防医療への注力

    子宮頸がん検診やHPVワクチン接種など、将来の健康を守るための予防医療にも力を入れています。

まとめ:自分の体と向き合うための第一歩

婦人科と産婦人科の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。どちらの科を受診するか迷ったときは、まずは「妊娠・出産に関わることか、それ以外のことか」という点を基準に考えてみると分かりやすいかもしれません。しかし、実際には両方の領域をカバーしている産婦人科を受診しても問題ありません。大切なのは、自分の体の変化や悩みに気づいたときに、一人で抱え込まず、専門家である医師に相談することです。婦人科や産婦人科を上手に活用して、健やかな毎日を送りましょう。

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