「ドキドキする」「脈が飛ぶ」といった症状は、動悸や不整脈でよく聞かれます。でも、「動悸」と「不整脈」って、一体何が違うのでしょうか?実は、この二つは似ているようで、意味合いが異なります。 動悸 と 不整脈 の 違い を理解することは、自分の体の状態を知り、適切な対処をするためにとても大切です。
「動悸」とは?~感じ方と原因~
「動悸」というのは、あくまでも「自分で心臓の鼓動を感じること」です。普段は意識しない心臓の音が、ドクン、ドクンと大きく感じたり、速く感じたり、あるいは脈が飛ぶような感じがしたり…。このように、自分で「心臓がいつもと違うな」と感じる状態全般を指します。
動悸の原因は様々で、必ずしも病気とは限りません。例えば、
- 運動した後
- 驚いた時
- 緊張している時
- カフェインを多く摂取した時
など、一時的なものや、ストレス、疲労によることも少なくありません。しかし、中には注意が必要な動悸もあります。
動悸を感じる時に、一緒に現れる症状も参考になります。例えば、
- 息切れ
- めまい
- 胸の痛み
- 冷や汗
などがある場合は、念のため医師に相談することをおすすめします。
「不整脈」とは?~心臓のリズムの乱れ~
一方、「不整脈」とは、心臓の「電気信号」の伝わり方に乱れが生じ、心臓の「脈のリズム」が正常ではなくなる状態を指します。心臓は、この電気信号によって規則正しく動いていますが、その信号がうまくいかないと、脈が速すぎたり(頻脈)、遅すぎたり(徐脈)、あるいは不規則になったりするのです。
不整脈は、体感できることもあれば、全く自覚症状がないこともあります。症状がないからといって、必ずしも心配ないとは限りません。不整脈の中には、自覚症状がないまま進行し、脳梗塞などの重大な病気のリスクを高めるものもあるため、注意が必要です。
動悸と不整脈の関係性
では、動悸と不整脈はどのように関係しているのでしょうか?簡単に言うと、「不整脈が原因で動悸を感じる」ということはよくありますが、「動悸を感じる=必ず不整脈がある」とは限らない、ということです。
| 動悸 | 心臓の鼓動を自分で感じる状態(主観的な感覚) |
|---|---|
| 不整脈 | 心臓の脈のリズムが正常ではない状態(客観的な心臓の状態) |
つまり、不整脈という「心臓のリズムの乱れ」が起きた時に、それを「動悸」として感じることが多いのです。
不整脈の種類と症状
不整脈には、大きく分けて脈が速くなるもの、遅くなるもの、そして脈が不規則になるものがあります。それぞれの代表的なものと、それに伴って現れる可能性のある症状を見てみましょう。
頻脈(みゃくが速くなる不整脈)
脈が速くなる不整脈には、いくつか種類があります。例えば、「心房細動」や「上室性頻拍」などです。これらが原因で動悸を感じることが多く、場合によっては息切れや胸の圧迫感、めまいなどを伴うこともあります。
- 心房細動: 心房という心臓の上部が細かく震えるように速く拍動する状態。脈が不規則で速くなることが多い。
- 上室性頻拍: 心室よりも上の部分で、異常な電気信号が繰り返し発生して心拍数が急激に上がる状態。
徐脈(みゃくが遅くなる不整脈)
脈が遅くなる不整脈は、心臓の電気信号の伝わりに問題がある場合に起こりやすいです。代表的なものに「洞不全症候群」や「房室ブロック」があります。脈が遅くなることで、脳への血流が一時的に不足し、ふらつきやめまい、失神などを引き起こすことがあります。また、疲れやすさを感じることもあります。
- 洞不全症候群: 心臓の「ペースメーカー」の役割をする洞結節の機能が低下し、脈が遅くなったり、一時的に止まったりする状態。
- 房室ブロック: 心房と心室の間で電気信号の伝わりに遅れや途絶えが生じる状態。
期外収縮(みゃくが飛ぶ・乱れる不整脈)
「脈が飛ぶ」「ドキッとする」といった感覚は、期外収縮という不整脈でよく感じられます。これは、心臓が本来のタイミングよりも早く、一回だけ余分な収縮をしてしまう状態です。多くの場合は一時的で、自覚症状があっても心配ないことが多いですが、頻繁に起こったり、他の症状を伴ったりする場合は注意が必要です。
| 期外収縮の種類 | 主な感覚 |
|---|---|
| 心房性期外収縮 | ドキッとする、脈が飛ぶ |
| 心室性期外収縮 | ドキッとする、胸が詰まる感じ |
動悸を感じた時の対処法
動悸を感じた時、まずは落ち着いて深呼吸をすることが大切です。リラックスできる環境で、安静にしてみましょう。もし、動悸が一時的なもので、他の症状がないようであれば、しばらく様子を見ても良いかもしれません。
しかし、以下のような場合は、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。
- 動悸が長時間続く
- 激しい動悸とともに、息切れ、胸の痛み、めまい、失神などの症状がある
- 以前から心臓病などの持病がある
専門医の診察を受けることで、原因を特定し、適切な治療を受けることができます。
診断と検査
動悸や不整脈の診断には、いくつかの検査方法があります。医師は、問診や聴診に加え、必要に応じて以下の検査を行います。
- 心電図(ECG/EKG): 心臓の電気的な活動を記録し、リズムの乱れなどを調べる最も基本的な検査です。
- ホルター心電図: 24時間連続で心電図を記録し、普段の生活の中で起こる不整脈を捉える検査です。
- 心臓超音波検査(心エコー): 超音波を使って心臓の動きや形、弁の状態などを調べる検査です。
これらの検査結果をもとに、不整脈の種類や原因を特定していきます。
「動悸 と 不整脈 の 違い」を理解することは、自分の体と向き合う第一歩です。ドキドキする感覚があったら、それが単なる一時的なものなのか、それとも注意が必要なサインなのかを見極めることが大切です。
もし、ご自身の心臓の鼓動に不安を感じたら、迷わず医師に相談しましょう。早期発見・早期治療が、健康な心臓を守る鍵となります。