もつ と ホルモン の 違い:知っておきたい、その奥深い世界!

「もつ」と「ホルモン」、どちらも内臓肉を指す言葉ですが、実は微妙な違いがあるんです。「もつ と ホルモン の 違い」を知ることで、より美味しく、より深く、この食材の世界を楽しむことができますよ。

「もつ」は広義、「ホルモン」は狭義?

まず、「もつ」という言葉は、牛や豚、鶏などの動物の「内臓」全般を広く指す言葉です。食肉加工の際に、肉の部分とは別に集められたものをまとめて「もつ」と呼ぶことが多いですね。この「もつ」の中には、私たちが「ホルモン」と呼ぶ部位も含まれているのです。だから、 「もつ」は大きなカテゴリー、「ホルモン」はその中の特定の部位を指すことが多い 、と考えると分かりやすいでしょう。

具体的には、「もつ」には:

  • 胃(ミノ、ハチノスなど)
  • 腸(テッチャン、マルチョウなど)
  • 肝臓
  • 心臓(ハツ)
  • 肺(タンブクロ)
  • 食道
  • 気管

などが含まれます。一方、「ホルモン」と一般的に呼ばれるのは、主に「腸」や「胃」、「心臓」などを指すことが多い傾向があります。

また、地域によっても呼び方が変わることがあります。「もつ」という言葉は日本全国で使われますが、「ホルモン」という言葉がより定着している地域もあります。例えば、関西地方では「ぶた」や「こり」など、さらに細かく部位を指す言葉があったりもします。

「ホルモン」という名前の由来

では、なぜ「ホルモン」と呼ばれるようになったのでしょうか?これは、その語源をたどると面白いことがわかります。

「ホルモン」という言葉は、もともとギリシャ語で「活発にするもの」という意味の「hormone」から来ています。これは、体内で分泌されるホルモン(内分泌ホルモン)のことですね。内臓肉が精力的になる、という意味合いからこの名前がついたという説が有力です。 この名前は、栄養価が高く、食べると元気になるというイメージを連想させます。

この説以外にも、:

  • 「放るもん」(捨てるもの)から転じたという説
  • 大阪弁で「放る」=「捨てる」という意味の「ほーる」と「もん」=「もの」が合わさって「ほーるもん」となり、それが「ホルモン」になったという説

など、諸説ありますが、いずれにしても、かつてはあまり食されなかった内臓肉に新しい価値を見出し、親しみやすい名前をつけた、という背景があるようです。

「もつ」と「ホルモン」、部位による違い

「もつ」という大きな枠組みの中で、部位ごとにさらに細かく特徴があります。

部位 食感 主な調理法
ミノ(牛の第一胃) コリコリとした食感 焼肉、鍋
ハチノス(牛の第二胃) 網目状で独特の食感 煮込み、焼肉
テッチャン(牛の小腸) プリプリとした食感 焼肉、鍋
マルチョウ(牛の小腸) 脂が多くジューシー 焼肉、鍋
レバー(牛・豚・鶏の肝臓) トロトロ、クリーミー 焼肉、串焼き、炒め物
ハツ(牛・豚・鶏の心臓) コリコリとした食感 焼肉、串焼き

このように、同じ「もつ」でも、部位によって食感や味わいが全く異なります。 それぞれの部位の特性を理解することで、より適切な調理法を選び、その魅力を最大限に引き出すことができます。

例えば、ミノはしっかりとした歯ごたえが特徴なので、焼肉で香ばしく焼くのがおすすめです。一方、テッチャンやマルチョウは脂が乗っているので、甘辛いタレで焼くとご飯が進みます。

調理法による「もつ」と「ホルモン」の楽しみ方

「もつ」や「ホルモン」は、調理法によってその表情を大きく変えます。

代表的なものとしては、:

  1. 焼肉 :部位本来の旨味をダイレクトに味わえます。タレとの相性も抜群です。
  2. 鍋料理 :じっくり煮込むことで、余分な脂が落ち、旨味がスープに溶け出します。
  3. もつ煮込み :長時間煮込むことで、とろとろになり、ご飯のおかずにもお酒のつまみにも最適です。
  4. 串焼き :香ばしい炭火の香りが食欲をそそります。

「もつ」を美味しく食べるためには、下処理が非常に重要です。臭みを取り、旨味を引き出すために、丁寧に洗ったり、下茹でしたりする工程は欠かせません。

調理法を工夫することで、初心者でも「もつ」や「ホルモン」を美味しく食べられるようになります。 まずは、比較的クセのない部位や、下処理済みのものから試してみるのがおすすめです。

地域ごとの「もつ」文化

「もつ」や「ホルモン」は、地域によって独自の食文化を築いています。

例えば、:

  • 福岡の「もつ鍋」 :醤油ベースや味噌ベースのスープで、ニラやキャベツと一緒に煮込むのが特徴です。
  • 名古屋の「どて煮」 :味噌味でじっくり煮込んだ牛すじや豚もつが人気です。
  • 大阪の「かすうどん」 :油かす(牛の腸を揚げたもの)が入ったうどんで、独特の風味が楽しめます。

これらの郷土料理は、その土地ならではの食材や味付けがされており、 「もつ」という食材が地域に根付いていることを物語っています。

地域によっては、さらにユニークな食べ方や部位の呼び名が存在することもあります。旅先でその土地ならではの「もつ」料理を味わってみるのも楽しいでしょう。

「もつ」と「ホルモン」の栄養価

「もつ」や「ホルモン」は、一般的に「不健康」というイメージを持たれがちですが、実は栄養価が非常に高い食材です。

具体的には、:

  • ビタミンB群 :疲労回復やエネルギー代謝を助けるビタミンB1、B2、B12などが豊富です。
  • ミネラル :鉄分、亜鉛、セレンなどのミネラルも多く含まれています。特に鉄分は貧血予防に役立ちます。
  • コラーゲン :肌のハリや弾力を保つコラーゲンも豊富で、美容にも良いとされています。

これらの栄養素は、私たちの健康維持に不可欠なものです。

ただし、部位によっては脂質が多く含まれるものもあるため、食べ過ぎには注意が必要です。調理法を工夫し、バランス良く摂取することが大切です。

「もつ」と「ホルモン」の選び方と保存

新鮮な「もつ」や「ホルモン」を選ぶことは、美味しく安全に食べるための基本です。

選ぶ際のポイントは、:

  1. :赤みがかった、鮮やかな色合いのものを選びましょう。
  2. 臭い :新鮮なものは、特有の臭いが少なく、爽やかな香りがします。
  3. ドリップ :ドリップ(肉汁)が出ていないもの、または少量であるものが新鮮です。

保存する際は、冷蔵庫で保存し、できるだけ早く使い切ることが重要です。

下処理をしっかり行い、小分けにして冷凍保存することも可能です。冷凍する際は、空気に触れないようにラップでしっかりと包み、保存袋に入れると鮮度を保てます。

「もつ」と「ホルモン」の違いは、その呼び方や部位の捉え方にありますが、どちらも奥深く魅力的な食材であることに変わりはありません。それぞれの特徴を理解し、色々な調理法で楽しんでみてください。

関連記事: