ビールを飲むとき、「エール」と「ラガー」という言葉を耳にしたことはありませんか？ 実はこの二つ、ビールの種類を大きく分ける重要なキーワードなんです。今回は、この「エール と ラガー の 違い」を分かりやすく解説し、ビールの世界をもっと楽しむお手伝いをします。
醸造方法が鍵！エールとラガーの最大の違い
エールとラガーの最も大きな違いは、ビールを造る上で欠かせない「酵母（こうぼ）」の働き方にあります。この酵母の働き方が、ビール全体の風味や口当たりに大きく影響を与えるのです。 この醸造方法の違いこそが、エールとラガーの個性を形作る最も重要な要素と言えるでしょう。
- エール： 温度が高めの条件で、ビールの液面に浮かんで発酵する「上面発酵」という方法で造られます。
- ラガー： 温度が低めの条件で、ビールの底に沈んで発酵する「下面発酵」という方法で造られます。
この発酵方法の違いによって、エールはフルーティーで複雑な味わいに、ラガーはスッキリと雑味の少ない味わいになりやすいのです。
| 種類 | 発酵方法 | 発酵温度 |
|---|---|---|
| エール | 上面発酵 | 比較的高め（15～25℃） |
| ラガー | 下面発酵 | 比較', '低め（5～15℃） |
香りと風味の違い：エールは華やか、ラガーはシャープ
醸造方法の違いから、エールとラガーは香りや風味においても顕著な違いを見せます。エールは、発酵の過程でフルーティーな香りや、時にはスパイシーな香りを生み出す酵母が使われることが多いため、豊かな香りが特徴です。例えば、フルーティーなバナナのような香りや、クローブのようなスパイシーな香りが感じられることもあります。対照的に、ラガーは低温でゆっくりと発酵させることで、雑味を抑え、麦芽とホップ本来のクリアでシャープな味わいを引き出します。
-
エール：
- フルーティーな香り（バナナ、リンゴ、柑橘類など）
- ホップ由来の苦味や香りが豊か
- 複雑で奥行きのある味わい
-
ラガー：
- スッキリとしたクリアな味わい
- 麦芽の香ばしさやホップの苦味がバランス良く
- 爽快感があり、後味がキレやすい
この香りと風味の違いを意識して飲むと、ビールの個性をより深く感じられるはずです。
代表的なビールスタイル：エールとラガーの顔ぶれ
エールとラガーは、それぞれさらに細かく様々なビールスタイルに分けられます。それぞれの代表的なスタイルを知っておくと、お店でビールを選ぶ際に役立ちます。
エールの代表的なスタイル
エールには、世界中で愛される様々なスタイルがあります。例えば、苦味が特徴的な「インディア・ペールエール（IPA）」は、ホップの華やかな香りと強い苦味が魅力です。また、フルーティーな香りが際立つ「ベルジャン・ホワイト」や、濃厚な味わいの「スタウト」などもエールに分類されます。これらのビールは、それぞれ異なる酵母や原料、醸造方法で作られており、多様な風味を楽しめます。
- インディア・ペールエール (IPA)
- ペールエール
- スタウト
- ポーター
- ベルジャン・ホワイト
ラガーの代表的なスタイル
一方、ラガーもまた、世界的に最もポピュラーなビールスタイルを多く含んでいます。軽快な味わいの「ピルスナー」は、日本人にも馴染み深いタイプです。また、麦芽の風味をしっかりと感じられる「ボック」や、苦味が控えめで飲みやすい「メルツェン」などもラガーの仲間です。ラガーは、そのクリアで爽快な飲み口から、様々な料理との相性も良いのが特徴です。
- ピルスナー
- ラガー（一般的なもの）
- メルツェン
- ボック
- マリッツェン
それぞれの熟成期間
ビールは、発酵が終わった後にも、風味を落ち着かせるための「熟成」という工程を経ます。この熟成期間も、エールとラガーで違いが見られます。エールは比較的短期間で熟成が進むことが多いのに対し、ラガーは低温でゆっくりと熟成させることで、そのクリアな味わいを完成させていきます。この熟成期間の違いも、最終的なビールの風味に影響を与えているのです。
ホップと麦芽の役割
ビール造りにおいて、ホップは苦味や香りを、麦芽は甘みやコク、色合いを与えます。エールとラガーでは、これらの原料の使われ方や、酵母との相性も異なります。エールでは、ホップの個性を引き出すために様々な種類のホップが使われたり、麦芽の風味を複雑にするような組み合わせが試されたりします。ラガーでは、麦芽のクリーンな風味とホップの爽やかな苦味のバランスを重視することが多く、繊細な味わいを追求します。
温度帯による味わいの変化
エールとラガーは、それぞれ適した温度帯で飲むことで、その魅力が最大限に引き出されます。一般的に、エールは少し高めの温度（8℃〜12℃程度）で飲むと、香りが豊かに立ち上がり、複雑な風味が楽しめます。対してラガーは、キンと冷えた状態（4℃〜7℃程度）で飲むと、そのスッキリとした爽快感が際立ち、軽快な飲み口を堪能できます。温度を変えるだけで、同じビールでも印象が大きく変わるのが面白いところです。
エールとラガーの違い、いかがでしたでしょうか？どちらが良いということはなく、それぞれに魅力があります。この知識を参考に、ぜひ色々なビールを試して、お気に入りの一杯を見つけてくださいね。