道端でよく見かける黄色い花、タンポポ。実は、日本には昔からある「ニホンタンポポ」と、最近になって広まった「セイヨウタンポポ」の2種類があるのをご存知ですか?この二つのタンポポ、見た目は似ていますが、よく見るといくつかの違いがあります。今回は、ニホンタンポポとセイヨウタンポポの違いを、分かりやすく解説していきます。
葉っぱと花の形:見分けるポイント
ニホンタンポポとセイヨウタンポポの違いを一番わかりやすく見分けるポイントは、葉っぱの形と花の咲き方です。ニホンタンポポの葉っぱは、ギザギザが浅く、株元から放射状に広がっていることが多いです。一方、セイヨウタンポポの葉っぱは、ギザギザが深く、切れ込んでいるのが特徴です。 この葉っぱの形の違いを知っているだけで、タンポポの種類を見分ける精度がぐっと上がります。
花についても違いがあります。ニホンタンポポの花は、比較的小さめで、色も淡い黄色をしていることが多いです。また、花が咲く時期も、春の早い時期に集中しています。セイヨウタンポポは、花が大きく、濃い黄色をしています。さらに、セイヨウタンポポは、春だけでなく、秋にも花を咲かせることがあるので、一年を通して見かける機会が多いのです。
- ニホンタンポポ :葉のギザギザが浅い、花は小さめで淡い黄色、春に咲く
- セイヨウタンポポ :葉のギザギザが深い、花は大きめで濃い黄色、春と秋に咲く
総苞片(そうほうへん)の秘密
タンポポの花の下についている、葉っぱのような部分を「総苞片」と呼びます。この総苞片にも、ニホンタンポポとセイヨウタンポポの違いがあります。
ニホンタンポポの総苞片は、全体的に細長く、花を包み込むようにまっすぐ立ち上がっていることが多いです。まるで、花を大切に守っているかのようです。
一方、セイヨウタンポポの総苞片は、先端が少し外側に反り返っているのが特徴です。この反り返り具合が、ニホンタンポポとの見分けるポイントの一つになります。
| 特徴 | ニホンタンポポ | セイヨウタンポポ |
|---|---|---|
| 総苞片の形 | 細長く、まっすぐ | 先端が外側に反り返る |
綿毛の飛び方:風に乗って
タンポポといえば、綿毛ですよね。この綿毛の飛び方にも、実は違いがあるのです。
ニホンタンポポの綿毛は、風が吹くと、ふわふわと軽やかに空を舞い、比較的遠くまで種を飛ばすことができます。これは、環境の変化に強く、新しい場所にも定着しやすいという、ニホンタンポポのたくましさの表れと言えるでしょう。
セイヨウタンポポの綿毛も風に乗って飛びますが、ニホンタンポポに比べて、やや重く、あまり遠くまで飛ばない傾向があります。しかし、セイヨウタンポポは、環境への適応力が高く、人の手によって運ばれることでも広がりやすいという特徴を持っています。
- 風が吹く
- 綿毛が舞い上がる
- 種を遠くまで運ぶ
種子の形:意外な違い
綿毛の本体である種子にも、ニホンタンポポとセイヨウタンポポで違いがあります。
ニホンタンポポの種子は、比較的細長く、先端に「冠毛(かんもう)」と呼ばれる、ふわふわした毛がたくさんついています。この冠毛が、風を受けて種子を運ぶ役割をしています。
セイヨウタンポポの種子は、ニホンタンポポに比べて、やや丸みを帯びた形をしています。冠毛のつき方も少し異なり、全体的にやや密についた印象です。このわずかな違いですが、顕微鏡などで詳しく見ると、はっきりと区別できます。
繁殖力:どっちが強い?
「タンポポはどこにでも生えている」というイメージがありますが、それは主にセイヨウタンポポの繁殖力の強さによるものです。
セイヨウタンポポは、受粉しなくても種子ができる「単為生殖」という能力を持っています。そのため、受粉してくれる昆虫がいなくても、どんどん種子を作って増やすことができるのです。この驚異的な繁殖力のおかげで、セイヨウタンポポは世界中に広まりました。
一方、ニホンタンポポは、基本的に他のタンポポの花粉によって受粉しないと種子ができません。そのため、セイヨウタンポポに比べると、繁殖力は穏やかです。しかし、この特性があるからこそ、ニホンタンポポの純粋な形が保たれているとも言えます。
- セイヨウタンポポ :単為生殖が可能、繁殖力が高い
- ニホンタンポポ :受粉が必要、繁殖力は穏やか
花言葉:どんな意味がある?
タンポポの花言葉は、種類によって少しずつ意味合いが異なります。
ニホンタンポポの花言葉には、「別離」「あなたを信じてついていく」などがあります。これは、綿毛が風に乗って遠くへ旅立つ様子や、親株から離れて新しい場所で根付く様子に由来していると言われています。
セイヨウタンポポの花言葉は、「幸福」「最後の別れ」などがあります。特に「幸福」という花言葉は、その可憐な黄色い花を咲かせる姿が、人々に幸せな気持ちを与えることからつけられたと考えられています。また、綿毛が飛び去る様子から「最後の別れ」という言葉も連想されるのでしょう。
まとめ
ニホンタンポポとセイヨウタンポポの違いは、葉の形、花の大きさや色、総苞片の様子、綿毛の飛び方、そして種子の形など、さまざまな点にあります。最近では、セイヨウタンポポの勢いが強く、ニホンタンポポを見つけるのが難しくなってきている地域もあります。しかし、少し注意して観察すれば、それぞれのタンポポの個性やたくましさを見つけることができます。次にタンポポを見かけたら、ぜひ、この違いを意識して観察してみてください。きっと、タンポポがもっと身近で、魅力的な存在に感じられるはずです。