スキー板を選ぶとき、同じモデル名でも「s9」と「s9i」のように、アルファベットや数字が少し違うことがありますよね。今回は、アトミックの代表的なモデルである「アトミック s9」と「アトミック s9i」の違いについて、分かりやすく解説していきます。この二つのモデルの違いを理解することで、あなたにぴったりの一本を見つける手助けになれば幸いです。
アトミック s9 と s9i:構造と素材の比較
アトミック s9 と s9i の一番大きな違いは、内部構造と使用されている素材にあります。S9は、よりパワフルでエッジグリップを重視した設計がされており、高速滑走でも安定感を発揮するのが特徴です。一方、S9iは、しなやかさと操作性を高めたモデルと言えるでしょう。
具体的には、S9にはチタン層がより厚く、または広範囲に配置されていることが多いです。これにより、板の剛性が高まり、雪面への食いつきが強くなります。一方、S9iでは、チタンの配置を最適化したり、他の素材との組み合わせを変えたりすることで、より軽快なターンや、荒れた雪面での衝撃吸収性を向上させています。 この素材と構造の違いこそが、両モデルの滑走フィーリングに最も大きな影響を与えています。
以下に、両モデルの構造的な特徴をまとめました。
- アトミック S9:
- パワフルな滑走性能
- 高いエッジグリップ力
- 高速安定性に優れる
- アトミック S9i:
- 軽快な操作性
- しなやかなターン
- 荒れた雪面での快適性
ターゲットユーザーと滑走スタイル
アトミック s9 と s9i の違いは、どのようなスキーヤーに、どのような滑り方をしてほしいか、というメーカーの意図が反映されています。
S9は、主に上級者や、レーシングシーンで戦うような競技志向のスキーヤー、あるいは、ハイスピードでダイナミックな滑りを楽しむスキーヤー向けに設計されています。エッジングの正確さと、板の返りの速さを活かした、アグレッシブな滑りに最適です。 このモデルは、スキーヤーのパワーをダイレクトに雪面に伝え、思い通りのラインを描くことを可能にします。
対照的に、S9iは、中上級者で、よりスムーズで軽快なターンをしたいスキーヤーや、一日中快適に滑りたいと考えているスキーヤーに適しています。操作性の高さから、小回りから大回りまで、様々なターンサイズに対応しやすく、スキーヤーの疲労を軽減する効果も期待できます。以下のようなスキーヤーにおすすめです。
- : スムーズで楽なターンをしたい中級者
- : 様々なターン弧を楽しみたいスキーヤー
- : 長時間滑っても疲れにくい板を探している方
フレックス(硬さ)の違い
スキー板の「フレックス」は、板の硬さを示す指標です。アトミック s9 と s9i の違いは、このフレックスにも現れています。
S9は、一般的にS9iよりもフレックスが硬めに設定されています。これは、高速で滑走する際に、板がたわみすぎず、安定した滑りを維持するためです。硬いフレックスは、エッジングの際のレスポンスを速くし、力強いターンを可能にします。 この硬さが、ハイスピードでのエッジグリップを強力にサポートします。
一方、S9iは、S9よりもフレックスが柔らかめに設定されている傾向があります。これにより、ターン始動時の板のたわみがスムーズになり、より少ない力でターンに入ることができます。また、雪面の凹凸を吸収しやすいため、荒れた雪面でも快適に滑ることができます。
フレックスの違いを、より具体的にイメージするために、表にしてみました。
| モデル | フレックス(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| アトミック S9 | 硬め | 高速安定性、パワフルなターン |
| アトミック S9i | 柔らかめ | 操作性、軽快なターン、快適性 |
テクノロジーと搭載機能
アトミック s9 と s9i の違いは、採用されているテクノロジーにも見られます。両モデルともアトミックの先進技術が惜しみなく投入されていますが、そのemphasis(強調点)が異なります。
S9には、よりパワフルな滑りをサポートするためのテクノロジーが重点的に搭載されています。例えば、チタニウム層の配置や、ウッドコアの種類に工夫が凝らされ、板全体の反発力と安定性を高めています。 このテクノロジーの積み重ねが、S9を競技レベルでも通用する高性能な板にしています。
S9iは、操作性と快適性を向上させるためのテクノロジーが特徴です。例えば、軽量化を目的とした素材の採用や、サイドカットの調整により、ターン性能をより引き出しやすくしています。また、振動吸収材の配置などにより、雪面からの不快な振動を抑え、長時間の滑走でも疲れにくいように工夫されています。
搭載されている主なテクノロジーとして、以下のようなものが挙げられます。
- アトミック S9:
- パワフルなチタン層(Power Woodcore Titanium)
- レスポンスの良い構造
- アトミック S9i:
- 軽量化されたコア素材(Light Woodcore)
- 操作性を高めるサイドカット
- 振動吸収機能
サイドカットとターン形状
「サイドカット」とは、スキー板のトップ(先端)、ウェスト(ビンディング付近)、テール(後端)の幅のカーブのことです。アトミック s9 と s9i では、このサイドカットの形状にも違いがあり、それがターン形状に影響を与えます。
S9は、一般的に、より深めのサイドカットを持つ傾向があります。これにより、板が自然にターン弧を描きやすく、エッジングをしっかり行うことで、シャープで安定したターンを実現します。 この深めのサイドカットは、カービングターンで雪面を捉え、力強いラインを描くのに最適です。
一方、S9iは、S9よりもサイドカットが浅めに設計されていることがあります。これにより、ターン後半での解放がスムーズになり、より自由度の高いターンが可能になります。小回りから大回りまで、様々なターン弧を軽快にこなせるのが特徴です。
サイドカットの違いによるターン形状への影響は以下の通りです。
- アトミック S9:
- シャープで正確なカービングターン
- 高速での安定したターン弧
- アトミック S9i:
- 軽快で自由度の高いターン
- 様々なターンサイズへの対応
重量と取り回し
アトミック s9 と s9i の違いは、重量や取り回しのしやすさにも影響します。スキー板の重さは、滑走時の安定性や、持ち運び、そしてターン時の操作性に大きく関わってきます。
S9は、そのパワフルな構造やチタンの使用により、S9iと比較して若干重めに作られていることがあります。この重さが、高速滑走時の安定感や、雪面への食いつきを強化する役割を果たします。 しかし、この重量は、スキーヤー自身のパワーと技術があってこそ、その性能を最大限に引き出すことができます。
対してS9iは、軽量化を重視した素材や構造を採用しているため、S9よりも軽くて取り回しがしやすい傾向があります。板が軽いため、ターン時の操作が容易になり、スキーヤーの疲労軽減にもつながります。ゲレンデを長時間滑る場合や、足腰に負担をかけたくないスキーヤーにとって、この軽さは大きなメリットとなります。
重量と取り回しに関するポイントをまとめると以下のようになります。
| モデル | 重量(目安) | 取り回し | こんなスキーヤーにおすすめ |
|---|---|---|---|
| アトミック S9 | やや重め | 安定感重視 | パワフルな滑りを求める上級者 |
| アトミック S9i | 軽め | 軽快、操作しやすい | 長時間滑るスキーヤー、軽快な操作を求めるスキーヤー |
まとめ:あなたに合うのはどちら?
アトミック s9 と s9i の違いをここまで見てきましたが、どちらのモデルがあなたに合っているか、イメージが湧いてきましたでしょうか?
S9は、エッジグリップ力と高速安定性を重視し、パワフルでアグレッシブな滑りを追求するスキーヤーに最適です。一方、S9iは、軽快な操作性と快適性を重視し、スムーズで楽なターンを楽しみたいスキーヤーや、長時間の滑走を快適に過ごしたいスキーヤーにおすすめです。 最終的には、ご自身の滑走スタイル、技術レベル、そして求めるフィーリングに合わせて、最適なモデルを選ぶことが最も重要です。
可能であれば、試乗会などを利用して実際に両モデルを履き比べてみるのが一番確実な方法です。あなたのスキーライフが、より一層楽しくなるような一本と出会えることを願っています!