承認 と 承諾 の 違い:日常会話からビジネスまで徹底解説!

「承認」と「承諾」、どちらも相手の意向を受け入れるという意味で使われることが多い言葉ですが、実はそのニュアンスには大きな違いがあります。この二つの言葉の「承認 と 承諾 の 違い」を理解することは、円滑なコミュニケーション、特にビジネスシーンでの誤解を防ぐために非常に重要です。

「承認」と「承諾」の根本的な違い

まず、言葉の成り立ちから見てみましょう。「承認」は、「賞(たたえる、みとめる)」という漢字が入っているように、相手の意見や提案、行動などを「良いものとして認める」というニュアンスが強いです。一方、「承諾」は、「承る(うけたまわる)」という、相手の依頼や申し出を「引き受ける」という意味合いが中心となります。

つまり、承認は「評価」や「賛成」、承諾は「同意」や「受諾」という要素が強いと言えます。これは、単に「はい」と答えるだけでなく、その内容に対して「なるほど、それは良いですね」とか「その考えは正しい」と、ある種の判断や肯定的な評価が伴うのが承認です。

この違いを理解するためのポイントは以下の通りです。

  • 承認 :提案や意見に対して、その内容を評価し、良いと認めること。
  • 承諾 :依頼や申し出に対して、それを受け入れ、実行することに同意すること。

この「承認」と「承諾」の微妙な違いを把握することが、日々の人間関係やビジネスでの信頼構築に繋がります。

承認の持つ「正当性」と「権限」

「承認」には、その提案や行動が「正しい」「妥当である」と判断する意味合いが含まれます。例えば、会議での提案が「承認」されたということは、その提案が適切であり、実行に移されるべきだと、意思決定者が認めたということです。ここには、ある程度の「権限」が伴うことが多いのです。

承認のプロセスは、しばしば以下のような段階を経ます。

  1. 提案・申請
  2. 内容の検討・評価
  3. 承認(または却下)
  4. 実行

承認は、組織やルールに基づいた「正当性」を付与する役割も担っています。例えば、経費の申請が「承認」されなければ、その経費は認められません。これは、単に「いいですよ」と言っているのではなく、規定に則って「認められるべきもの」と判断された結果です。

要素 承認 承諾
主な意味 評価、是認 同意、受諾
伴う可能性のあるもの 権限、正当性 義務、責任

承諾における「受容」と「実行」

一方、「承諾」は、相手からの依頼や申し出を「受け入れる」ことに重点があります。例えば、「この仕事、お願いできますか?」という依頼に対して「はい、承知いたしました」と答えるのが「承諾」です。ここには、依頼された内容を実行する意思と、その責任を負う覚悟が含まれます。

承諾がなされた場合、通常は以下のような流れが想定されます。

  • 依頼・申し出
  • 承諾
  • 依頼内容の実行

承諾は、相手との約束を交わす行為に似ています。一度承諾したからには、その内容を実行する義務が生じます。例えば、友人からの「明日、一緒に映画に行こう」という誘いを「承諾」した場合、約束を守って映画に行く責任が発生します。

承認と承諾の境界線:ビジネスシーンでの具体例

ビジネスシーンでは、この「承認」と「承諾」の使い分けが特に重要になります。例えば、企画書を上司に提出し、「この企画、いいですね。進めましょう」と言われた場合、これは「承認」です。企画の内容が評価され、実行が認められたことになります。

一方で、取引先からの「この条件で契約をお願いできますでしょうか?」という依頼に対して、担当者が「はい、その条件で進めさせていただきます」と返答した場合は、「承諾」となります。これは、相手の提示した条件を受け入れ、契約という約束を実行することに同意したということです。

状況によっては、両方の意味合いを含む場合もあります。例えば、部下が提出した報告書に対して、「内容を確認しました。これで問題ありません。〇〇さんに、この内容で進めるよう伝えてください」と指示があった場合、報告書の内容は「承認」され、部下への指示は「承諾」を促す形になります。

承認と承諾、どちらがより強い「力」を持つのか?

一概にどちらが強いとは言えませんが、「承認」は、その内容の「妥当性」や「正しさ」を裏付ける力、つまり「権威」や「正当性」を伴うことが多いです。一方、「承諾」は、その後の「実行」という行動に直結する力、つまり「約束」や「義務」を生む力を持っています。

例えば、会社の重要なプロジェクトで、社長の「承認」を得ることは、そのプロジェクトが「公式に認められた」という非常に強い意味を持ちます。しかし、そのプロジェクトを実行する担当者が、実際の作業を「承諾」し、責任を持って進めなければ、プロジェクトは成功しません。

日常生活における「承認」と「承諾」の例

日常生活でも、この二つの言葉は自然に使われています。例えば、子供が書いた絵を親が「わぁ、上手に描けたね!」と褒めるのは、絵を「承認」したことになります。これは、子供の努力や才能を認める行為です。

一方、友達に「明日、私の家で一緒に宿題しようよ」と誘われて、「うん、いいよ!」と答えるのは、「承諾」です。約束を受け入れ、実行することに同意しています。このように、身近な場面でも「承認」と「承諾」は区別して使われているのです。

以下に、日常会話での例をまとめました。

  • 承認
    • 先生が、生徒の作文を読んで「よく書けているね。満点だよ。」と評価する。
    • 友人が作った料理を食べて「美味しい!お店で食べるみたいだよ。」と褒める。
  • 承諾
    • 母親からの「夕食の買い物、行ってくれる?」という頼みに対して「はい、行ってきます。」と答える。
    • 友人からの「今度の日曜日に、一緒に公園で遊ばない?」という誘いを「うん、行く!」と快諾する。

このように、「承認」は相手の存在や行動、成果などを「認める」行為、「承諾」は相手の依頼や申し出などを「受け入れる」行為と捉えると、その違いがより明確になるでしょう。

「承認」と「承諾」は、どちらも相手の意向を尊重し、良好な関係を築く上で欠かせない言葉です。その違いを正しく理解し、場面に応じて適切に使い分けることで、よりスムーズで誤解のないコミュニケーションが可能になります。日々の会話やビジネスシーンで、ぜひ意識してみてください。

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