浮腫 と 腫脹 の 違い、見分け方と原因を徹底解説!

「足がむくんでいるな」「顔が腫れぼったいな」と感じたことはありませんか? 実は、私たちが日常的に使う「むくみ」と「腫れ」は、似ているようで少し違うもの。ここでは、 浮腫 と 腫脹 の 違い を分かりやすく解説し、それぞれの原因や見分け方について詳しく見ていきましょう。

浮腫(ふしゅ)とは? 体液のバランスが崩れたサイン

浮腫とは、体の中の血管やリンパ管から水分が漏れ出し、細胞と細胞の間に過剰に溜まってしまう状態を指します。「むくみ」と聞くとイメージしやすいかもしれませんね。これは、体液のバランスが崩れることで起こります。例えば、長時間同じ姿勢でいたり、塩分を摂りすぎたりすると、水分が溜まりやすくなります。 この浮腫は、体のSOSサインであることが多いのです。

  • 血管からの水分漏出 :血管の壁が弱くなったり、血管内の圧力が高くなったりすると、水分が外に染み出しやすくなります。
  • リンパの流れの滞り :リンパ管が詰まったり、働きが悪くなったりすると、余分な水分が体内に溜まってしまいます。
  • 体液のバランス異常 :体内の水分量や塩分濃度が乱れると、細胞間に水分が溜まりやすくなります。

具体的には、以下のような原因で浮腫が起こることがあります。

  1. 生理的な原因
    • 長時間の立ち仕事や座り仕事
    • 月経前症候群(PMS)
    • 妊娠中のホルモンバランスの変化
    • 塩分の摂りすぎ
  2. 病的な原因
    • 心臓病(心不全)
    • 腎臓病(腎炎、ネフローゼ症候群)
    • 肝臓病(肝硬変)
    • 甲状腺機能低下症
    • 栄養失調

浮腫は、押すと指の跡が残りやすい(圧痕性浮腫)のが特徴です。この痕はゆっくりと元に戻ります。また、左右両方の足や顔全体に現れることが多いのも浮腫の特徴と言えるでしょう。

腫脹(しゅちょう)とは? 炎症や外傷による反応

一方、腫脹とは、外部からの刺激や内部の炎症反応によって、その部分の組織が腫れ上がった状態を指します。捻挫をしたり、虫に刺されたり、傷ができたりすると、その場所が赤く熱を持って腫れますよね。これが腫脹です。浮腫のように体液が過剰に溜まるというよりは、 組織の炎症や損傷に対する体の防御反応 と考えることができます。

原因 特徴
炎症 赤み、熱感、痛み、機能障害を伴うことが多い
外傷 打撲、捻挫、切り傷、やけどなど
感染 細菌やウイルスなどが原因

腫脹は、その原因となった部分に限定して現れることが多いです。例えば、足首を捻挫すれば足首だけが腫れますし、指を切ればその指だけが腫れるといった具合です。 この腫脹は、体が異常を知らせるための重要なサインです。

腫脹の主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 外傷
    • 打撲
    • 捻挫
    • 骨折
    • 切り傷、擦り傷
    • やけど
  2. 炎症
    • 関節炎(関節の腫れ)
    • 皮膚の炎症(蜂窩織炎など)
    • 虫刺され
    • アレルギー反応
  3. 感染症
    • 細菌感染による膿の溜まり
    • ウイルス感染による腫れ

腫脹は、押しても指の跡が残りにくい(非圧痕性)ことが多く、熱感や痛みを伴うことが一般的です。また、腫れている部分の皮膚の色が赤みを帯びていることもあります。

浮腫と腫脹、見分けるポイント

浮腫と腫脹の違いを理解するために、いくつか見分けるポイントがあります。まず、 「どこが」「どのように」 腫れているかを確認することが重要です。

  • 範囲 :浮腫は両足や顔全体など広範囲に現れやすいのに対し、腫脹はその原因となった局所的な部分に現れることが多いです。
  • 圧痕 :浮腫は指で押すと跡が残りやすい(圧痕性)ですが、腫脹は跡が残りにくい(非圧痕性)傾向があります。
  • その他の症状 :腫脹は、赤み、熱感、痛み、かゆみなどを伴うことが多いですが、浮腫はそれらがほとんどない場合もあります。

例えば、夕方になって足がパンパンになるのは浮腫の典型的な例です。一方、転んで足首をひねって腫れてしまった場合は腫脹と考えられます。 これらの違いを把握することで、原因の特定に役立ちます。

浮腫の原因とメカニズム

浮腫が起こるメカニズムは、主に体液のバランスが崩れることです。血管から水分が漏れ出る圧力が、血管内に水分を引き戻す力(膠質浸透圧)を上回った場合に起こります。

要因 説明
血管内圧の上昇 心臓の機能低下や、立っている時間が長いなどで起こる
血漿膠質浸透圧の低下 肝臓の病気でアルブミンが作られない、腎臓病でアルブミンが失われるなどで起こる
血管透過性の亢進 炎症、アレルギー反応、感染などで血管がもろくなる
リンパ液の流れの障害 リンパ管の閉塞や、リンパ節の摘出などで起こる

これらの要因が単独で、または複合的に作用することで、体液が組織間に溜まり、浮腫となります。 原因を特定することは、適切な対処法を見つける上で非常に大切です。

腫脹の原因とメカニズム

腫脹は、組織が損傷を受けたり、外部からの異物(細菌やアレルゲンなど)が侵入したりした際に、体がそれに対抗するために起こす反応です。この反応には、白血球などの免疫細胞が関わっています。

  1. 血管拡張 :炎症が起こると、その部位の血管が拡張し、血流量が増加します。これにより、赤みや熱感が生じます。
  2. 血管透過性の亢進 :血管の壁が広がり、隙間ができやすくなります。これにより、血液中の水分やタンパク質、免疫細胞などが組織に漏れ出しやすくなり、腫れの原因となります。
  3. 炎症性物質の放出 :損傷した組織や侵入した異物に対して、体は様々な化学物質(サイトカインなど)を放出します。これらの物質が、腫れや痛みを引き起こします。
  4. 組織の修復・防御 :免疫細胞が病原体を排除したり、損傷した組織の修復を始めたりする過程で、一時的に腫れが生じることがあります。

腫脹は、体が自分自身を守るための自然なプロセスであり、多くの場合、原因が取り除かれれば自然に治まります。 しかし、過度な腫れや長引く腫れは、注意が必要です。

浮腫を伴う代表的な病気

浮腫は、特定の病気のサインとして現れることがあります。代表的なものとしては、心臓、腎臓、肝臓の病気が挙げられます。

  • 心不全 :心臓のポンプ機能が低下すると、全身に血液を十分に送れなくなり、体液が溜まりやすくなります。特に足や肺に浮腫が現れることがあります。
  • 腎不全 :腎臓は体液や老廃物の排出を担っています。腎臓の機能が低下すると、体内に水分や塩分が溜まり、全身に浮腫が現れることがあります。
  • 肝硬変 :肝臓の機能が低下すると、血液中のタンパク質(アルブミン)が減少し、体液を血管内に保つ力が弱まります。これにより、腹水や下肢の浮腫が生じることがあります。

これらの病気による浮腫は、単なる「むくみ」として片付けるのではなく、専門医の診断と治療が必要です。 早期発見・早期治療が、病状の進行を抑える鍵となります。

腫脹を伴う代表的な状態

腫脹は、怪我や炎症によるものがほとんどですが、中には注意が必要な場合もあります。例えば、以下のような状態です。

状態 特徴
捻挫、打撲、骨折 局所的な強い痛み、内出血、動きの制限を伴う
感染症 赤み、熱感、痛みに加え、膿が出たり、発熱したりすることがある
アレルギー反応 急激な腫れ、かゆみ、じんましんなどを伴うことがある
血栓症 片足の急激な腫れ、痛み、皮膚の色の変化などを伴うことがある(緊急処置が必要)

腫脹が急激に起こったり、痛みが強かったり、発熱を伴ったりする場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 自己判断せず、専門家の意見を仰ぐようにしましょう。

まとめ:浮腫と腫脹、体の声に耳を傾けよう

「浮腫」は体液のバランスの崩れ、「腫脹」は炎症や損傷に対する体の反応と、それぞれ異なるメカニズムで起こります。どちらも体が発している大切なサインなので、その違いを理解し、ご自身の体の変化に注意を払うことが大切です。もし、心配な症状がある場合は、迷わず医師に相談してくださいね。

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