保 佐 人 と 補助 人 の 違い を わかりやすく解説!あなたや家族のために知っておきたいこと

「保佐人(ほさじん)」と「補助人(ほじょじん)」、どちらも判断能力が十分でない方をサポートする役割ですが、その違いは意外と知られていません。 保佐人 と 補助 人 の 違い を理解することは、ご本人だけでなく、ご家族や周囲の方々にとっても、適切な支援を受けるためにとても大切です。このページでは、それぞれの役割や、どのような場合にどちらが選ばれるのかを、分かりやすく解説していきます。

保佐人 と 補助 人 の 違い:根幹となる「判断能力」のレベル

保佐人さんと補助人さんの大きな違いは、支援が必要な方の「判断能力」のレベルにあります。補助人さんがサポートする方は、ある程度ご自身の判断ができるけれど、一部で不安がある方です。一方、保佐人さんがサポートする方は、補助人さんのサポート対象者よりも、さらに判断能力が低下している状態と考えられます。この判断能力のレベルによって、受けられる支援の内容や、保佐人さん・補助人さんに与えられる権限が変わってくるのです。

具体的に、判断能力のレベルは裁判所が専門家の意見を聞いて判断します。例えば、以下のような段階で考えられます。

  • 全く判断できない :成年後見人(せいねんこうけいにん)が選ばれる場合
  • 著しく不十分 :保佐人(ほさじん)が選ばれる場合
  • 不十分 :補助人(ほじょじん)が選ばれる場合
  • 十分 :何も制度は不要

このように、判断能力の程度によって、どの支援制度が利用できるかが決まってくるのです。

保佐人 と 補助 人 の 違い を理解することは、ご本人の意思を尊重しつつ、適切な支援体制を築く上で不可欠です。

保佐人さんの役割:より広範なサポート

保佐人さんは、原則として、財産管理や契約の締結・解除など、ご本人の法律行為について「同意」を与える権限を持っています。これは、ご本人が自分で法律行為をしても、後で「やっぱりそれは困る」となった場合に、保佐人さんが取り消せるということです。

保佐人さんの主な仕事内容は、以下の通りです。

  • 同意権 :ご本人が行う重要な法律行為(例:不動産売買、多額の借り入れなど)に対して、同意したり、同意しないことを決めたりできます。
  • 取消権 :ご本人が保佐人さんの同意なしに法律行為を行った場合、それを後から取り消すことができます。
  • 代理権 :裁判所の決定により、ご本人の代わりに法律行為を行う権限(代理権)を付与されることもあります。この場合、保佐人さんはご本人の代わりに契約を結んだり、お金の管理をしたりすることができます。

保佐人さんに与えられる権限は、ご本人の判断能力の程度や、家庭裁判所の判断によって異なります。そのため、どのような権限が与えられるかは、個別のケースで確認が必要です。

補助人さんの役割:限定的なサポート

一方、補助人さんは、保佐人さんよりも支援の範囲が限定的です。補助人さんは、ご本人が行う法律行為について「同意」を与えたり、「取消し」をしたりする権限は、原則として持ちません。ただし、家庭裁判所の審判によって、特定の法律行為について「同意」や「取消し」の権限、または「代理権」を付与されることはあります。

補助人さんに期待される主な役割は、以下の通りです。

支援内容 具体例
生活上の助言・援助 日々の生活の送り方についてアドバイスをしたり、一緒に手続きを進めたりする。
書類作成のサポート 行政手続きや各種申請書類の作成を手伝う。
金銭管理の補助 お財布の管理や、簡単な買い物の付き添いなど。

補助人さんの役割は、ご本人の意向を尊重し、できる限りご自身で判断・行動できる範囲を広げ、生活をサポートすることに重点が置かれています。

保佐人 と 補助 人 の 違い:申立てによる違い

保佐人さんや補助人さんを選任してもらうためには、家庭裁判所に「申立て」を行う必要があります。この申立ての種類によって、どちらの支援制度が利用されるかが決まってきます。

  1. 保佐開始の申立て :ご本人の判断能力が「著しく不十分」である場合に、保佐人をつけたいと申し立てます。
  2. 補助開始の申立て :ご本人の判断能力が「不十分」である場合に、補助人をつけたいと申し立てます。

申立てを行うことができるのは、ご本人、配偶者、四親等内の親族など、限られた人たちです。申立ての際には、ご本人の状況を具体的に説明する書類や、医師の診断書などが必要となります。

保佐人 と 補助 人 の 違い:付与される権限の違い

保佐人さんや補助人さんに与えられる権限は、家庭裁判所の判断によって決まります。この権限の範囲こそが、 保佐人 と 補助 人 の 違い を最も明確に表す部分の一つです。

  • 保佐人 :原則として、財産に関する重要な法律行為(例:不動産の売買、高額な贈与、相続の承認・放棄など)について、ご本人の代わりに契約を結ぶ「代理権」や、ご本人の契約に「同意」する権限、同意のない契約を「取り消す」権限が与えられることが多いです。
  • 補助人 :補助人さんは、原則として代理権や同意権・取消権を持ちません。ただし、家庭裁判所の審判によって、特定の法律行為について、ご本人の意思を確認しながら「同意」を与えたり、その法律行為を「取り消す」権限、あるいは「代理権」を付与されることもあります。

どのような権限が必要かは、ご本人の生活状況や、どのような支援を必要としているかによって異なります。そのため、裁判所は慎重に審判を行います。

保佐人 と 補助 人 の 違い:対象となる人の状況

保佐人さんと補助人さんのどちらが選ばれるかは、対象となる方の「判断能力」の程度によって決まります。これは、民法で定められている基準に基づいています。

支援制度 判断能力の程度 主な状態
保佐 著しく不十分 物事の善悪や、契約内容、結果などを理解する能力がかなり低くなっている状態。
補助 不十分 物事の善悪や、契約内容、結果などを理解する能力が多少低くなっている状態。

例えば、認知症の進行度合いや、精神疾患による影響など、様々な要因で判断能力は低下します。ご本人が、日常生活でどのような判断に迷いを感じているのか、どのような場面で支援が必要なのかなどを、裁判所が考慮して判断します。

保佐人 と 補助 人 の 違い:成年後見制度との関係

保佐人さんと補助人さんは、どちらも「成年後見制度」という大きな枠組みの中の支援制度です。成年後見制度には、さらに「成年後見人(せいねんこうけいにん)」という役割もあります。

  • 成年後見人 :判断能力が「全くない」と判断された場合に選ばれます。ご本人の代わりに、身上監護(衣食住の世話や医療・福祉サービスの利用など)や、財産管理のすべてを行うことができます。
  • 保佐人 :判断能力が「著しく不十分」な場合に選ばれます。
  • 補助人 :判断能力が「不十分」な場合に選ばれます。

このように、成年後見制度は、判断能力の低下の程度に応じて、成年後見人、保佐人、補助人という3つの段階の支援を提供しています。 保佐人 と 補助 人 の 違い は、この成年後見制度における、判断能力のレベルの違いによって生じているのです。

どちらの制度が適切かは、ご本人の状況を総合的に判断して、家庭裁判所が決定します。

保佐人さんと補助人さんの違いについて、ご理解いただけたでしょうか。どちらの制度も、ご本人の意思を尊重しながら、安心して生活を送るための大切な仕組みです。もし、ご家族や身近な方で、判断能力に不安を感じている方がいらっしゃる場合は、一度専門家や自治体の窓口に相談してみることをお勧めします。適切な支援を受けることで、ご本人の尊厳を守り、より豊かな生活を送ることができるようになります。

関連記事: