「お腹の調子が悪いな」と感じたとき、私たちはよく「胃腸炎だ」と言います。でも、実は「胃腸炎」という言葉には、もう少し広い意味と、もっと具体的な意味があります。 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を正しく理解することは、自分の体の状態を知り、適切な対処をするためにとても大切です。今回は、この二つの言葉の、一体何が違うのかを分かりやすく解説していきます。
「胃腸炎」とは、胃や腸の炎症の総称
まず、「胃腸炎」という言葉は、文字通り、胃や腸に炎症が起きている状態全般を指します。つまり、胃腸炎は、お腹の調子が悪くなる色々な原因を含んだ、大きなカテゴリーの名前だと思ってください。例えば、冷たいものを食べすぎたり、ストレスが溜まったりしただけでも、胃や腸は荒れて炎症を起こすことがあります。これらの原因は、必ずしも「感染」によるものではありません。
胃腸炎になる原因は、実に様々です。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- 暴飲暴食
- 冷たいものの摂りすぎ
- 辛いものや刺激物の摂りすぎ
- ストレスや疲れ
- アレルギー反応
このように、胃腸炎は、感染症とは限らず、生活習慣や体の状態によっても引き起こされるのです。
一方、この「胃腸炎」という大きなグループの中に、特に「感染症」によって引き起こされる胃腸炎があります。それが「感染性胃腸炎」なのです。つまり、感染性胃腸炎は、胃腸炎の一種であり、原因が特定されている、より具体的な病気と言えます。この二つの関係性を理解することが、 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を掴む鍵となります。
「感染性胃腸炎」は、細菌やウイルスが原因
では、具体的に「感染性胃腸炎」とは何なのでしょうか。これは、その名の通り、細菌やウイルスといった病原体が胃や腸に感染して炎症を起こす病気のことです。私たちがよく耳にする「食中毒」の多くも、この感染性胃腸炎に含まれます。感染性胃腸炎は、感染した人に直接触れたり、汚染された食べ物や水を口にしたりすることでうつることがあります。いわゆる「人から人へうつる」病気なのです。
感染性胃腸炎を引き起こす主な原因は、以下の通りです。
- ウイルス : ノロウイルス、ロタウイルスなどが代表的です。特に冬場に流行することが多いです。
- 細菌 : サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌などが原因となります。
- 原虫 : Cryptosporidium(クリプトスポリジウム)などが原因となることもありますが、比較的まれです。
感染性胃腸炎の症状は、急激に現れることが多いのが特徴です。主な症状としては、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢(水様便や血便)、発熱などが挙げられます。これらの症状は、原因となる病原体によって、重さや種類が異なります。
感染性胃腸炎と、それ以外の胃腸炎(非感染性胃腸炎)の主な違いをまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 胃腸炎(総称) | 感染性胃腸炎 |
|---|---|---|
| 原因 | 感染(ウイルス、細菌など)の他、暴飲暴食、ストレス、アレルギーなど様々 | ウイルス、細菌、原虫などの病原体の感染 |
| 感染性 | 原因による | 高い(人から人へ、または食品を介して) |
| 主な症状 | 腹痛、下痢、嘔吐、吐き気など(原因により異なる) | 急激な腹痛、水様便、嘔吐、発熱など(原因により異なる) |
感染性胃腸炎の具体的な原因と種類
感染性胃腸炎の原因となる病原体は、大きく分けてウイルスと細菌に分けられます。それぞれの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を理解する上で、原因の特定は重要です。
ウイルスによる感染性胃腸炎
- ノロウイルス : 冬場に流行し、非常に感染力が強いです。少量のウイルスでも感染が成立し、激しい嘔吐や水様性の下痢を引き起こします。
- ロタウイルス : 小さな子供によく見られ、特に冬季に流行します。最初は風邪のような症状から始まり、その後、激しい嘔吐と水様性の下痢が数日間続きます。
- アデノウイルス : 乳幼児によく見られ、夏場にも流行します。嘔吐や下痢のほか、発熱や鼻水、喉の痛みなどを伴うこともあります。
細菌による感染性胃腸炎
- サルモネラ菌 : 卵や鶏肉の生食・加熱不十分なものが原因となることが多いです。腹痛、下痢、発熱などの症状が出ます。
- カンピロバクター : 鶏肉の生食・加熱不十分なものが原因の代表例です。激しい腹痛と血便を伴う下痢が特徴的です。
- 病原性大腸菌 : O-157などが有名です。激しい腹痛、血便、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な合併症を引き起こすこともあります。
これらの原因によって、症状の出方や重症度が変わってきます。
胃腸炎(非感染性)の原因と特徴
感染性胃腸炎ではない、いわゆる「普通の」胃腸炎は、病原体が原因ではありません。こちらの場合は、胃や腸への物理的、化学的な刺激や、体の内側のバランスの乱れが原因となります。 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を考える上で、非感染性の原因も理解しておきましょう。
- 暴飲暴食や偏った食事 : 胃腸に負担をかけ、消化不良や炎症を引き起こします。
- 冷たいものの摂りすぎ : 胃腸の働きを鈍らせ、冷えからくる不調を引き起こします。
- 辛いものやアルコールの過剰摂取 : 胃粘膜を直接刺激し、炎症の原因となります。
- ストレスや過労 : 自律神経の乱れを通じて、胃腸の働きに影響を与えます。
- アレルギー反応 : 特定の食品などに対するアレルギーが原因で、胃腸に炎症が起こることもあります。
これらの原因による胃腸炎は、通常、感染性胃腸炎のような急激な発熱や、他人にうつるということはありません。症状も、比較的軽度で治まることが多いです。
症状による違いの見分け方
「胃腸炎かな?」と思ったとき、症状が似ていることもありますが、いくつかのポイントで 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を見分けるヒントになります。もちろん、確実な診断は医師が行うものですが、ご自身の体調を把握するのに役立ちます。
- 発症の速さ : 感染性胃腸炎は、原因となる病原体に感染してから比較的短時間(数時間〜数日)で急激に症状が出ることが多いです。
- 下痢の性状 : 感染性胃腸炎では、水っぽい下痢や、時には血が混じった下痢(血便)が出ることがあります。
- 発熱の有無 : 感染性胃腸炎では、発熱を伴うことが比較的多く見られます。
- 周囲での流行 : 周囲に同じような症状の人がいる場合、感染性胃腸炎の可能性が高まります。
ただし、これらの症状だけで断定することはできません。特に、高熱が出たり、血便が出たり、脱水症状がひどい場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
対処法と予防策の違い
胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い によって、対処法や予防策も変わってきます。感染性胃腸炎の場合は、感染を広げないための注意が必要です。
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感染性胃腸炎の対処法
:
- 十分な水分補給(経口補水液などが効果的)
- 安静にする
- 刺激物を避けた食事
- 手洗いうがいを徹底し、感染拡大を防ぐ
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非感染性胃腸炎の対処法
:
- 原因となっている食習慣やストレスの見直し
- 消化の良いものを食べる
- 十分な休息
予防策としては、感染性胃腸炎の場合は、食事の衛生管理(加熱をしっかりする、調理器具を清潔にする)、手洗いを徹底することが最も重要です。非感染性胃腸炎の場合は、バランスの取れた食事、規則正しい生活、ストレスの管理が予防につながります。
受診の目安
「この症状は、様子を見た方がいいのか、すぐに病院に行った方がいいのか…」と迷うことはよくあります。 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い も踏まえ、受診の目安を知っておきましょう。
- 高熱が続く、または38℃以上の発熱がある
- 激しい腹痛や嘔吐があり、水分が全く摂れない
- 血便が出る
- ぐったりしていて、顔色が悪い、尿が極端に少ない(脱水症状のサイン)
- 症状が数日経っても改善しない、または悪化する
これらの症状がある場合は、感染性胃腸炎の可能性も考えられますし、重症化するリスクもあります。迷わず医療機関を受診してください。特に、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は、重症化しやすいので注意が必要です。
「胃腸炎」は、胃や腸の炎症全般を指す広い言葉であり、「感染性胃腸炎」はその中でも、細菌やウイルスなどの病原体が原因で起こる、うつる病気です。 胃腸 炎 と 感染 性 胃腸 炎 の 違い を理解することで、自分の体の不調の原因を推測し、より適切な対処や予防をすることができます。お腹の不調を感じたときは、どんな原因が考えられるのか、そして、周りの人にうつさないための工夫も意識してみてくださいね。