「ポリープ」と「腫瘍」、どちらも体の中にできる「できもの」として知られていますが、実はその性質や将来的なリスクには違いがあります。この違いを正しく理解することは、病気の早期発見や適切な治療につながるため、とても大切です。この記事では、ポリープ と 腫瘍 の 違いについて、分かりやすく解説していきます。
ポリープ と 腫瘍 の 違い：基本を押さえよう
ポリープとは、粘膜の表面から飛び出したキノコのような形をした「できもの」の総称です。大腸や胃、鼻など、体のいろいろな場所にできます。ポリープの多くは良性ですが、中には将来的にがん化する可能性を持つものもあります。一方、腫瘍とは、細胞が異常に増殖してできた「できもの」全般を指します。腫瘍には、良性のものと悪性のもの（がん）があります。
ポリープ と 腫瘍 の 違いを理解することは、ご自身の健康管理において非常に重要です。
ポリープと腫瘍の主な違いは、その発生場所と性質です。ポリープは主に粘膜表面にできるものですが、腫瘍は全身のさまざまな組織に発生する可能性があります。また、ポリープは初期段階では良性であることが多いのに対し、腫瘍は発生した時点で良性か悪性かが決まります。
ここで、ポリープと腫瘍の基本的な特徴をまとめた表を見てみましょう。
| 特徴 | ポリープ | 腫瘍 |
|---|---|---|
| 形状 | 粘膜から突出したキノコ状など | 様々（盛り上がり、潰瘍など） |
| 発生場所 | 主に粘膜表面（大腸、胃など） | 全身の様々な組織 |
| 性質 | 多くは良性だが、がん化リスクあり | 良性または悪性（がん） |
ポリープの種類とがん化のリスク
ポリープにはいくつかの種類があり、それぞれがん化するリスクが異なります。例えば、大腸ポリープには「腺腫（せんしゅ）」という種類があり、これが将来的に大腸がんになる可能性が高いことが知られています。そのため、発見されたポリープは、種類を特定し、必要に応じて切除することが推奨されます。
ポリープの種類は、見た目だけでなく、組織を顕微鏡で調べる検査（生検）で詳しく調べられます。この検査によって、ポリープが良性なのか、それともがん化する可能性のあるものなのかが判断されます。
がん化するリスクが高いポリープとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 腺腫（せんしゅ）
- 鋸歯状腺腫（きょしじょうせんしゅ）
一方で、以下のようなポリープは、がん化するリスクが低い、またはほとんどないとされています。
- 過形成ポリープ（かけいせいポリープ）
- 炎症性ポリープ（えんしょうせいポリープ）
腫瘍（良性腫瘍）とは
腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。良性腫瘍は、周りの組織を破壊したり、他の臓器に転移したりすることはありません。ただし、大きくなると周りの臓器を圧迫して症状を引き起こすことがあります。例えば、皮膚にできる「ほくろ」や、子宮にできる「子宮筋腫」などは良性腫瘍の例です。
良性腫瘍の主な特徴は以下の通りです。
- ゆっくりと大きくなる
- 周りの組織を巻き込まず、境界がはっきりしている
- 転移しない
良性腫瘍であっても、場所によっては症状が出るため、定期的な検診で経過観察したり、症状がある場合は手術で取り除いたりすることがあります。
腫瘍（悪性腫瘍＝がん）とは
悪性腫瘍、つまりがんは、異常な細胞が無秩序に増殖し、周りの組織を破壊しながら広がっていく病気です。さらに、血管やリンパ管に乗って体の他の部分に「転移」し、そこで新たな腫瘍を作ることもあります。がんの進行度によって、治療法や予後（病気の今後の見通し）は大きく異なります。
がん（悪性腫瘍）の主な特徴は以下の通りです。
- 増殖が速い
- 周囲の組織を破壊しながら浸潤する
- 血管やリンパ管を通じて転移する
がんの早期発見は、治療の成功率を大きく高める鍵となります。定期的な健康診断や、気になる症状がある場合はすぐに医療機関を受診することが大切です。
ポリープと腫瘍の診断方法
ポリープや腫瘍の診断には、いくつかの方法があります。まず、医師が視診や触診で、できものの様子を確認します。その後、内視鏡検査（胃カメラや大腸カメラ）で、できものの内部や周囲の状態を詳しく観察します。さらに、できものの一部を採取して顕微鏡で調べる「生検」を行うことで、良性か悪性かの確定診断をします。
診断に用いられる主な検査方法をまとめました。
| 検査方法 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 視診・触診 | 医師が直接観察・触れる | できものの表面的な状態や大きさの把握 |
| 内視鏡検査 | カメラを体内に入れて観察 | 粘膜表面のできものの詳細な観察、位置・大きさ・形状の確認 |
| 生検 | 組織の一部を採取して顕微鏡で調べる | 良性か悪性かの確定診断、ポリープの種類特定 |
ポリープと腫瘍の治療法
ポリープと腫瘍の治療法は、その種類、大きさ、悪性度によって異なります。良性のポリープで、がん化のリスクが低い場合は、経過観察となることもあります。しかし、がん化のリスクがあるポリープや、症状を引き起こしている良性腫瘍の場合は、内視鏡的切除術（内視鏡で切除する方法）や外科手術で取り除きます。悪性腫瘍（がん）の場合は、手術、化学療法（抗がん剤）、放射線療法など、病状に応じた治療が組み合わされます。
治療の選択肢は多岐にわたります。主な治療法を以下に示します。
- 内視鏡的切除術：内視鏡を用いてポリープや早期のがんを切除する
- 外科手術：病変を切除するために手術を行う
- 化学療法（抗がん剤）：薬によってがん細胞の増殖を抑える
- 放射線療法：放射線によってがん細胞を攻撃する
治療方針は、患者さんの状態や年齢、病気の進行度などを総合的に判断して決定されます。
ポリープ・腫瘍の予防と早期発見のために
ポリープや腫瘍、特にがんを予防したり、早期に発見したりするためには、日頃からの健康管理が重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒などを心がけましょう。また、症状がなくても、定期的に健康診断やがん検診を受けることが、早期発見につながります。
早期発見・早期治療のために、私たちができることは以下の通りです。
- バランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を習慣にする
- 禁煙・節酒を実践する
- 定期的な健康診断・がん検診を受ける
気になる症状があれば、ためらわずに医師に相談することが大切です。
ポリープと腫瘍の違いを理解することは、ご自身の健康を守るための第一歩です。どちらも早期に発見し、適切な対応をすることで、より良い結果につながる可能性が高まります。定期的な検診を受け、体の変化に注意を払い、健康的な生活を送りましょう。