「LPG」と「都市ガス」、どちらも家庭で使われるガスですが、一体何が違うのでしょうか？ 実は、LPG と 都市 ガス の 違い は、その性質や供給方法、さらには料金体系まで、いくつかの点で大きく異なります。この違いを知っておくと、ご自宅に合ったガスを選んだり、無駄なく賢く使ったりすることにつながりますよ。
成分と性質の違い：炎の色や熱量に注目！
LPG（液化石油ガス）は、主にプロパンやブタンといった炭化水素が主成分です。名前の通り、常温常圧では気体ですが、圧力をかけることで液体になり、ボンベに充填されて家庭に届けられます。一方、都市ガスは、天然ガスや石炭などを原料として作られたもので、主成分はメタンです。LPGに比べて分子が小さく、空気より軽いという性質があります。
この成分の違いは、炎の色にも現れます。LPGの炎は、空気を十分に含んでいるときは青いですが、不完全燃焼を起こすと黄色い炎になります。都市ガスも通常は青い炎ですが、LPGよりもさらに空気を多く必要とするため、鍋などを置いたときに炎が鍋底に当たりやすいという特徴があります。また、熱量（単位あたりのエネルギー量）も異なり、一般的にLPGの方が都市ガスよりも熱量が高いとされています。
- LPGの主な成分： プロパン、ブタン
- 都市ガスの主な成分： メタン
-
燃焼時の性質：
- LPG：空気を多く含んでいないと黄色い炎になりやすい
- 都市ガス：より多くの空気が必要、鍋底に炎が当たりやすい
- 熱量： LPGの方が一般的に高い
供給方法の違い：ボンベかパイプラインか
LPGと都市ガスの最も大きな違いの一つは、どのように家庭に供給されるかです。LPGは、先ほども触れましたが、ボンベに充填されて各家庭に配送されます。そのため、都市ガスが整備されていない地域でも利用できるのが特徴です。定期的に配送業者がボンベを交換しに来てくれます。
一方、都市ガスは、地下に張り巡らされたガスパイプラインを通して供給されます。そのため、都市ガスが利用できるのは、ガス導管が整備されている都市部やその周辺地域に限られます。一度契約すれば、ボンベ交換の手間もなく、安定してガスが供給されるのがメリットです。
| 供給方法 | LPG | 都市ガス |
|---|---|---|
| 供給ライン | ボンベ配送 | ガスパイプライン |
| 供給エリア | 全国（都市ガス未整備地域でも利用可能） | 都市部・ガス導管整備地域 |
料金体系の違い：従量制と基本料金
料金体系も、LPGと都市ガスでは異なります。LPGの料金は、使用したガスの量（立法メートル）に応じて決まる「従量制」が基本です。つまり、たくさん使えばそれだけ料金が高くなります。ただし、地域や販売店によって料金設定が異なる場合があるため、比較検討が重要です。
都市ガスは、基本料金と、使用量に応じた従量料金の組み合わせになっているのが一般的です。基本料金は、ガスを使用しなくても毎月かかる固定費ですが、一定量までは使用料金が安く設定されている場合が多いです。こちらも、契約するガス会社によって料金プランが異なります。
- LPG：使用量に応じた従量制が基本
- 都市ガス：基本料金 + 使用量に応じた従量料金
安全性への取り組み：漏洩時の対応
どちらのガスも、安全に利用するための様々な対策が講じられています。LPGは、ガス漏れが起こった際に、空気より重いため低い場所に滞留しやすいという性質があります。そのため、換気をしっかり行うことが重要です。また、ガス漏れ検知器や自動遮断装置などが設置されている場合もあります。
都市ガス（メタン）は、空気より軽いため、漏洩した場合は天井付近に滞留しやすい性質があります。こちらも、ガス漏れ検知器の設置や、定期的な点検が行われています。どちらのガスも、万が一の事態に備えて、ガス会社が定期的な安全点検を実施しています。
設備の違い：ガスメーターとボンベ
家庭に設置されている設備にも違いが見られます。LPGを利用している家庭では、ガスメーターの他に、ガスボンベが設置されています。ボンベは、一定期間使用すると交換が必要になります。最近では、スマートメーターのような遠隔で検針できるタイプも普及してきています。
都市ガスを利用している家庭では、ガスメーターのみが設置されています。ガスメーターは、使用したガスの量を計測し、ガス会社に情報を提供します。こちらも、スマートメーターへの移行が進んでおり、より便利になっています。
環境への影響：CO2排出量と燃焼効率
環境への影響という観点でも、LPGと都市ガスには違いがあります。都市ガスの主成分であるメタンは、LPGに比べて燃焼させたときに排出されるCO2（二酸化炭素）の量が少ないとされています。そのため、地球温暖化対策の観点からは、都市ガスの方が環境負荷が低いと言われることがあります。
また、燃焼効率についても、都市ガスの方が一般的に優れているとされています。これは、より少ないガスでより多くの熱を得られるということで、光熱費の節約にもつながる可能性があります。ただし、LPGも技術の進歩により、燃焼効率は向上しています。
まとめ：どちらを選ぶ？
LPGと都市ガスの違いは、成分、供給方法、料金体系、安全性、設備、そして環境への影響など、多岐にわたります。お住まいの地域でどちらのガスが利用できるか、そしてそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご自身のライフスタイルや予算に合ったガスを選ぶことが大切です。もし迷ったら、ガス会社に相談してみるのも良いでしょう。