iso9001 と iso14001 の 違いって、一体何だろう？ そう思っている人もいるかもしれませんね。簡単に言うと、iso9001 は「製品やサービスの品質」を、iso14001 は「環境への配慮」を、それぞれ世界共通のルールで管理するための規格です。どちらも会社が「ちゃんとやってますよ！」ということを証明してくれるものなのですが、その「ちゃんと」の中身が違うんですね。
iso9001 と iso14001 の「目的」を深掘り！
まず、iso9001 は「顧客満足度」の向上を一番の目的としています。つまり、お客様が「買ってよかった！」「使ってよかった！」と思ってもらえるような、品質の高い製品やサービスを提供するための仕組みづくりを求めているんです。そのためには、
- 製品やサービスがきちんと設計・開発されているか
- 製造・提供プロセスに問題はないか
- 顧客からのクレームに適切に対応できているか
などをチェックします。 この「品質」という軸をしっかり守ることが、企業の信頼を高め、リピーターを増やす上で非常に重要になってきます。
一方、iso14001 は「環境負荷の低減」と「持続可能な社会の実現」を目指しています。会社活動が地球環境に与える影響を最小限に抑え、将来にわたって良い環境を残していくための取り組みを評価します。具体的には、
- 事業活動で発生する廃棄物を減らす工夫
- 省エネルギー・省資源への取り組み
- 環境法規制の遵守
などが含まれます。
| 規格名 | 主な目的 |
|---|---|
| iso9001 | 顧客満足度の向上 |
| iso14001 | 環境負荷の低減 |
「対象」となる領域の違い
iso9001 は、製品やサービスそのものの「質」に焦点を当てています。例えば、あなたがお店で商品を買うとき、その商品が「期待通りの性能を持っているか」「壊れにくいか」といった点はiso9001 の守備範囲です。会社全体として、お客様に喜んでもらえるものを作るための全般的な管理体制が問われます。
対して、iso14001 は、会社が事業を行う上で「環境」にどのような影響を与えているかに注目します。工場からの排気や排水、使用するエネルギー、発生するゴミなどが、地球にどんな影響を与えるかを管理し、その影響を減らしていくことを目標とします。
つまり、
- iso9001：製品・サービスの「完成品」とその「製造過程」
- iso14001：会社活動全体の「環境への影響」
というように、見るべきポイントが異なってくるわけです。
「適用範囲」の広がり
iso9001 の適用範囲は、基本的に「組織が提供する製品やサービス」に関連するあらゆる活動です。顧客とのやり取りから、設計、製造、納品、アフターサービスまで、品質に関わるすべてのプロセスが対象になります。
一方、iso14001 の適用範囲は、組織の「活動、製品、サービス」が環境に与える影響です。これは、会社で働く従業員の通勤から、オフィスの電気使用、工場の生産活動、さらには製品の使用後や廃棄まで、より広い範囲で環境への配慮を求めています。
簡単にまとめると、
- iso9001：顧客が直接触れる「製品・サービス」の品質
- iso14001：会社活動が「地球」に与える影響
という違いがあります。
「要求事項」で比較してみよう
iso9001 で求められる主な要求事項には、以下のようなものがあります。
- 組織の状況の理解
- リーダーシップ
- 計画
- 支援
- 運用
- パフォーマンス評価
- 改善
これらはすべて、「顧客に満足してもらうため」の活動を組織的に行うためのルールです。
一方、iso14001 の要求事項は、環境に配慮するための具体的な行動を促すものが多いです。
- 環境方針の設定
- 環境目標の設定と達成
- 緊急事態への準備と対応
- 監視、測定、分析、評価
といった、環境パフォーマンスを継続的に改善するための仕組みが中心となります。
「成果」がもたらすもの
iso9001 を取得すると、まず「製品やサービスの品質が安定する」という大きな成果があります。これにより、顧客からの信頼を得やすくなり、クレームの減少やブランドイメージの向上につながります。
また、業務プロセスが標準化されるため、無駄がなくなり、生産性の向上やコスト削減にも貢献することが期待できます。
iso14001 を取得することで、環境への負荷を減らし、地球温暖化防止や資源の有効活用などに貢献できます。これは、企業の社会的責任（CSR）を果たす上で非常に重要です。
さらに、環境規制への対応がスムーズになり、環境関連の事故リスクを低減できます。結果として、企業のイメージアップや、環境意識の高い企業との取引機会の増加にもつながるでしょう。
「審査」でチェックされるポイント
iso9001 の審査では、主に「品質マネジメントシステム」が適切に運用されているかがチェックされます。具体的には、
- 製品の品質が顧客の要求を満たしているか
- 品質管理のための文書が整備されているか
- 従業員が品質に対する意識を持っているか
といった点が細かく見られます。
一方、iso14001 の審査では、「環境マネジメントシステム」が効果的に機能しているかが問われます。
- 環境方針が組織全体に浸透しているか
- 環境目標が設定され、達成に向けて取り組んでいるか
- 環境関連の法規制を遵守しているか
などが確認されます。
| 審査ポイント（iso9001） | 審査ポイント（iso14001） |
|---|---|
| 製品・サービスの品質 | 環境への影響 |
| 顧客満足度 | 環境負荷の低減 |
「導入のメリット」を比較！
iso9001 を導入するメリットは、先ほども触れましたが、品質の安定、顧客満足度の向上、信頼性アップが挙げられます。これにより、競争の激しい市場で優位に立つことができます。
また、業務プロセスの見直しを通じて、非効率な部分を発見し、改善する機会にもなります。これは、長期的な視点でのコスト削減や生産性向上につながります。
iso14001 の導入メリットとしては、環境保全への貢献はもちろん、企業のブランドイメージ向上や、環境意識の高い投資家からの評価を得やすくなることが挙げられます。
さらに、法規制の遵守やリスク管理の強化により、環境事故による損害を未然に防ぐことができます。これは、企業にとって大きなリスクヘッジとなります。
まとめ：どちらも大切！ 会社を強くする両輪
iso9001 と iso14001 の違い、なんとなく分かってもらえたでしょうか？ どちらも、企業が「社会の一員として責任ある行動をとっている」ことを示すための大切な規格です。
iso9001 は「良いものづくり」で顧客を満足させ、iso14001 は「地球に優しい経営」で持続可能な社会を目指します。どちらか一方だけではなく、両方を取り入れている企業も多く、これらは会社をより強く、より信頼される存在にするための、いわば「両輪」のようなものと言えるでしょう。