出産 手当 金 と 出産 育児 一時 金 の 違い を 徹底解説!知っておきたい公的支援

出産は人生の大きなイベントですが、それに伴う経済的な負担も無視できません。日本では、出産をサポートするための公的な給付金制度がいくつか存在します。その中でも、多くの人が混同しやすいのが「出産手当金」と「出産育児一時金」です。この二つの給付金は、目的も受給資格も異なります。この記事では、 出産手当金と出産育児一時金の違い を分かりやすく解説し、それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。

出産手当金と出産育児一時金:それぞれの特徴と目的

まず、出産手当金と出産育児一時金は、それぞれ全く異なる目的で支給されるものです。出産手当金は、働いている女性が出産のために会社を休み、その間の所得が減少した際に、生活を保障するために支給されるものです。一方、出産育児一時金は、出産にかかる費用(入院費や分娩費など)を支援するために、お子さん一人につき一定額が支給されるものです。

つまり、出産手当金は「働けなくなった間の所得補填」、出産育児一時金は「出産そのものにかかる費用の補助」と考えると分かりやすいでしょう。この違いを理解することは、ご自身がどちらの給付金を受け取れるのか、また、いくら受け取れるのかを知る上で非常に重要です。

さらに、それぞれの給付金には、受給できる条件も異なります。

  • 出産手当金: 健康保険に加入している会社員や公務員などが対象となります。自営業者(国民健康保険加入者)は原則として対象外です。
  • 出産育児一時金: 健康保険や国民健康保険に加入している方であれば、専業主婦(夫)の方でも受け取ることができます。
このように、加入している保険制度によっても、受け取れる給付金が変わってくるのです。

出産手当金:働けなくなった間の心強い味方

出産手当金は、健康保険から支給される給付金です。出産のためにお仕事を休む間、収入が途絶えてしまうのは不安ですよね。そんな時に、お給料の一部を補填してくれるのが出産手当金です。この給付金のおかげで、安心して出産・育児に専念できる期間を確保することができます。

具体的には、産前休業と産後休業の期間に対して支給されます。

  1. 産前休業: 出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。
  2. 産後休業: 出産日の翌日から5週間(多胎妊娠の場合は10週間)取得できます。
この期間中に会社を休み、給与の支払いを受けなかった場合に、出産手当金が支給されます。

支給額は、お休みする直前の1ヶ月の標準報酬月額を基に計算されます。

計算方法 支給額
標準報酬月額 ÷ 30日 × 2/3 × 支給日数 日額
これはあくまで目安であり、正確な金額はお住まいの地域の健康保険組合などによって確認が必要です。

出産手当金を受け取るためには、いくつか条件があります。

  • 健康保険に加入していること
  • 出産のため仕事を休み、給与の支払いを受けていないこと
  • 妊娠4ヶ月(85日)以上経過した後の出産であること(死産・流産・人工妊娠中絶の場合も含む)
これらの条件を満たしているか、ご自身の健康保険証を確認してみましょう。

出産育児一時金:出産にかかる費用をまとめてサポート

出産育児一時金は、文字通り、出産と育児にかかる一時的な費用を支援するための給付金です。妊娠・出産は、想像以上にお金がかかるものです。入院費、分娩費、健診代など、様々な費用が発生します。出産育児一時金は、こうしたまとまった出費を軽減するための、大変ありがたい制度なのです。

この給付金は、お子さん一人につき一定額が支給されます。

  • 原則: 42万円
  • 産科医療補償制度に未加入の医療機関等での出産: 40万8千円
双子や三つ子など、多胎児を出産した場合は、お子さんの人数分だけ一時金が支給されます。これは、多胎児の出産は費用もそれだけかかるため、手厚いサポートがあるということです。

出産育児一時金の申請方法は、大きく分けて二つあります。

  1. 直接支払制度: 出産育児一時金として支給される金額が、医療機関等に直接支払われる制度です。これにより、窓口での支払いが一時金の限度額まで不要になります。
  2. 受取代理制度: 医療機関等が直接支払制度を利用できない場合などに、被保険者(またはその配偶者)が出産後、健康保険組合等に請求して受け取る方法です。
どちらの制度を利用するかは、出産する医療機関等にご確認ください。

出産育児一時金を受け取るための主な条件は以下の通りです。

  • 出産した時点で、健康保険または国民健康保険に加入していること
  • 妊娠4ヶ月(85日)以上経過した出産であること(死産・流産・人工妊娠中絶の場合も含む)
会社員の方は、勤務先の健康保険組合から。自営業者や無職の方は、お住まいの市区町村の国民健康保険から支給されます。

申請時期と手続き:いつ、どうやって申請する?

出産手当金と出産育児一時金は、どちらも申請手続きが必要です。申請時期や必要な書類は、それぞれの給付金で異なりますので、事前に確認しておきましょう。特に、出産手当金は産後でないと申請できないため、忘れないように注意が必要です。

出産手当金の申請は、出産後から行うことができます。

  1. 産後休業期間が終了した後、または出産育児一時金の受給手続きが完了した後 に、健康保険組合等に申請します。
  2. 必要書類: 出産手当金支給申請書、医師の証明、給与明細の写しなど。
  3. 申請期限: 出産日(産後休業開始日)から2年以内。
申請から支給までには、ある程度の時間がかかることがあります。

出産育児一時金の申請は、出産前または出産後に行います。

  • 出産前(直接支払制度を利用する場合): 医療機関等との合意書を提出します。
  • 出産後(受取代理制度や、医療機関等が直接支払制度を利用しない場合): 出産後、健康保険組合等に申請します。
  • 必要書類: 出産育児一時金支給申請書、医師の証明、領収書の写しなど。
  • 申請期限: 出産後2年以内。
申請方法や必要書類は、加入している健康保険組合や市区町村によって異なる場合があります。

併用は可能?両方受け取れるケース

「出産手当金と出産育児一時金は、両方受け取れるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。結論から言うと、 出産手当金と出産育児一時金は、条件を満たせば両方受け取ることが可能です。

例えば、会社員で健康保険に加入している女性が出産する場合を考えてみましょう。

  • 出産手当金: 出産のため仕事を休み、給与の支払いを受けなかった期間に対して支給されます。
  • 出産育児一時金: 出産にかかった費用に対して支給されます。
このように、それぞれ支給される目的や対象となる期間が異なるため、両方の給付金を受け取れるのです。

ただし、出産手当金は、出産したことにより「働けなくなった」ことに対する補填なので、産後休業期間中に会社から給与が支払われている場合は、その金額によって出産手当金の支給額が変わることがあります。また、出産育児一時金は、産科医療補償制度の加算部分など、内容が変更されることもあります。

両方の給付金を受け取るためのポイント:

  1. ご自身が健康保険に加入しているか確認する。
  2. 産前・産後休業期間中の給与の有無と金額を確認する。
  3. 出産育児一時金の受給方法(直接支払制度など)を確認する。
不明な点は、加入している健康保険組合や市区町村の窓口に必ず相談しましょう。

出産手当金と出産育児一時金は、どちらも子育てを応援するための大切な公的支援です。それぞれの制度を正しく理解し、必要な手続きをしっかりと行うことで、安心して出産・育児に臨むことができるでしょう。もし分からないことがあれば、遠慮なく自治体の窓口や加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。

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