将棋を指していると、「王」と「玉」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。特に初心者のうちは、この二つの言葉が何を指しているのか、そして 将棋 王 と 玉 の 違い は何なのか、少し混乱してしまうかもしれません。しかし、安心してください。実は、将棋における「王」と「玉」は、ほとんどの場合同じ意味で使われているのです。この記事では、その理由や、将棋の奥深さをさらに楽しむための豆知識を、分かりやすく解説していきます。
「王」と「玉」は、なぜ同じ意味で使われるのか?
将棋の駒の中で、最も重要な駒は「玉将(ぎょくしょう)」または「王将(おうしょう)」と呼ばれます。どちらの表記を使うかは、プレイヤーによって、あるいは慣習によって異なります。将棋盤の最奥、中央に位置するこの駒は、取られてしまうと負けになる、まさに将棋の「顔」とも言える存在です。 この駒の安全を守ることが、将棋の勝利における最重要目標となります。
- 玉将(ぎょくしょう): 一般的に、実戦では「玉将」という表記がよく使われます。これは、将棋の駒に刻印されている文字が「玉」であることに由来します。
- 王将(おうしょう): 一方、「王将」という言葉は、より強い意味合いで使われることがあります。例えば、「王将戦」というタイトル戦の名前にも使われており、将棋界のトッププレイヤーを指す際に用いられることもあります。
このように、どちらの言葉を使うにしても、将棋盤上の最も大切な駒を指していることに変わりはありません。初心者のうちは、どちらかの言葉に慣れてしまえば、対局中に困ることはほとんどないでしょう。
駒の価値から見る「王」と「玉」
将棋の駒には、それぞれ価値があります。これは、その駒が移動できる範囲や、敵陣に入った時の昇格(成り)によって決まります。しかし、こと「玉将」と「王将」に関しては、その価値は他の駒とは一線を画します。
| 駒 | 価値 |
|---|---|
| 玉将/王将 | 無限大(取られたら負け) |
| 飛車 | 9点 |
| 角行 | 9点 |
他の駒は、点数でその価値を表すことができますが、玉将(王将)は、取られてしまえばゲームオーバーとなるため、点数で測れるものではありません。 この「取られたら負け」という特性こそが、玉将(王将)の絶対的な重要性を示しています。
上級者になると、玉将(王将)をどのように守り、相手の玉将(王将)をどのように詰めるか、という戦略が将棋の面白さの核心となります。そのため、玉将(王将)の動きや、その周りの駒の配置には、常に細心の注意が払われます。
「王」と「玉」の呼び方の歴史
将棋の歴史を紐解くと、「王」と「玉」の呼び方には、時代ごとの変遷が見られます。かつては「王」という言葉が一般的であった時代もあります。
- 古代: 初期には、中国の将棋(象棋)の影響もあり、「王」という言葉が中心的に使われていたと考えられています。
- 中世~近世: 日本の将棋が独自に発展する中で、「玉」という言葉が徐々に使われ始めました。
- 現代: 現在では、「玉将」が一般的ですが、「王将」という呼び方も広く親しまれています。
こうした歴史的背景を知ることで、将棋というゲームが、時代と共にどのように変化してきたのかを感じることができます。
「王」と「玉」の駒の動き
将棋の駒の動きは、それぞれ決まっています。玉将(王将)の動きは、実はとてもシンプルです。
- 玉将(王将)は、前後左右、斜めのすべての方向に1マスずつ進むことができます。
一見、動きが少ないように感じるかもしれませんが、この限られた動きの中で、いかに自分の身を守り、相手の攻撃をかわすかが、玉将(王将)を扱う上での腕の見せ所となります。 相手の駒に囲まれないように、常に安全な場所へ移動させる必要があります。
また、玉将(王将)は、自分から攻撃することはできません。あくまで守りの駒であり、その存在自体がゲームの目的となります。
「玉」の詰みとは?
将棋で最も重要な概念の一つが「詰み」です。これは、相手の玉将(王将)が、次にどこに動いても、あるいはどこにも動けなくなっても、必ず取られてしまう状態を指します。
詰みの状態になると、その時点でゲームは終了し、詰ました側(攻めた側)の勝利となります。将棋は、この「玉を詰ます」ことを目指すゲームなのです。
詰みの種類は様々で、相手の玉将(王将)の周りに自分の駒を効果的に配置し、逃げ道をなくすことが求められます。 相手の玉将(王将)の動きを予測し、先を読んで駒を動かす高度な戦略が要求されます。
「王」の守り方
自分の玉将(王将)を守ることは、将棋で勝つために不可欠な要素です。相手の攻撃から玉将(王将)を守るためには、いくつかの基本的な考え方があります。
- 囲いを作る: 玉将(王将)の周りに自分の駒を配置して、鉄壁の守りを築きます。代表的な囲いには、「矢倉囲い」や「美濃囲い」などがあります。
- 逃げ道を作る: 相手の駒が迫ってきた際に、玉将(王将)が逃げられるマスを確保しておきます。
- 反撃の隙をうかがう: 守りに徹するだけでなく、相手の隙を見て反撃に転じることも重要です。
効果的な囲いは、玉将(王将)の生存確率を劇的に高め、ゲームを有利に進めるための強力な武器となります。
「王」と「玉」の呼び方の使い分け
前述したように、「王」と「玉」はほとんどの場合同じ駒を指しますが、微妙なニュアンスの違いで使い分けられることもあります。
- 普段の会話: 対局中や、友達との会話では、「玉(ぎょく)」や「玉将(ぎょくしょう)」と呼ぶのが一般的です。「玉、危ない!」のように使われます。
- タイトル戦など: 将棋のタイトル戦の名前には「王将」が使われることが多く、これは将棋界の頂点を極めた棋士を称える意味合いがあります。
このように、文脈によってどちらの言葉がより適切かが変わってきます。 しかし、どちらを使っても、相手に意味が通じないということはまずありません。
将棋の世界では、このように言葉の選び方にも奥ゆかしさがあり、それが将棋の文化を豊かにしています。
将棋における「王」と「玉」の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。基本的には同じ駒を指しますが、その呼び方や、将棋における役割、歴史的背景などを知ることで、将棋をより深く、そして面白く楽しむことができるはずです。ぜひ、これらの知識を胸に、次回の将棋に臨んでみてください。