MRIとCT検査の違い、徹底解説!どっちの検査が優れているの?

MRIとCT検査、どちらも私たちの体の内部を詳しく調べるための大切な検査ですが、実はその仕組みや得意なことが大きく異なります。このページでは、「MRIとCT検査の違い」を分かりやすく解説し、それぞれの特徴を理解することで、どんな時にどちらの検査が選ばれるのか、皆さんの疑問を解消していきます。

MRIとCT検査の基本的な仕組みと得意なこと

MRI(磁気共鳴画像法)は、強力な磁石と電波を使って体の内部を画像化する技術です。この検査では、体の水分に反応する性質を利用して、非常に細かな組織の違いや、病気による変化を捉えることができます。例えば、脳の腫瘍や、関節の軟骨の損傷、脊髄の病気など、柔らかい組織の病気を見つけるのが得意です。

一方、CT(コンピューター断層撮影)は、X線を体の周りから照射し、それをコンピューターで解析して断層画像を作り出す検査です。X線は骨をよく通しにくいため、骨の状態を詳しく見たり、出血や石灰化(カルシウムが沈着すること)などを早期に発見するのに優れています。例えば、骨折の診断や、肺の病気、腹部の出血や腫瘍の診断などに幅広く使われています。

このように、MRIとCT検査は、それぞれ異なる原理で体の内部を画像化するため、得意な病気や診断できる部位が異なります。 どちらの検査が優れているというわけではなく、病気の種類や疑われる症状によって、最適な検査が選択されることが重要です。

  • MRIの得意なこと:
    • 脳、脊髄、神経
    • 筋肉、靭帯、軟骨などの軟部組織
    • 炎症や腫瘍の早期発見
  • CTの得意なこと:
    • 骨折、骨の異常
    • 出血、血腫
    • 肺、腹部の臓器
    • 短時間で広範囲を撮影できる

検査にかかる時間と患者さんの負担

MRI検査は、通常、CT検査よりも時間がかかります。検査の種類にもよりますが、数十分から1時間程度かかることもあります。また、MRI装置は筒状になっており、その中でじっとしている必要があるため、閉所が苦手な方には少し負担に感じるかもしれません。検査中は、磁石の力で「ガチャン」「ゴトン」といった大きな音がすることがありますが、これは装置の仕組み上避けられない音なので心配いりません。

CT検査は、MRI検査に比べて短時間で終わることがほとんどです。数分程度で撮影が完了するため、患者さんの負担も比較的少ないと言えます。CT装置は、ドーナツのような形をしており、その中をテーブルが移動しながら撮影します。MRIのような大きな音はほとんどなく、静かな環境で検査を受けることができます。

検査時間や音の大きさ、閉塞感の有無など、患者さんの状況や検査の目的によって、どちらの検査がより適しているかが変わってきます。

検査方法 検査時間 患者さんの負担(音・閉塞感)
MRI 長め(数十分〜1時間程度) 大きめの音、閉塞感を感じやすい
CT 短め(数分程度) 静か、閉塞感は少ない

放射線の使用について

CT検査では、X線という放射線を使用します。これは、レントゲン撮影と同じ原理です。放射線を使用するため、妊娠中の方や、放射線に過敏な方には、検査の必要性やリスクについて慎重に検討されます。しかし、現代のCT装置は、被ばく量を最小限に抑えるように設計されており、通常、受ける放射線の量は、自然界から受ける放射線量と比較しても、それほど大きなものではありません。

一方、MRI検査では、磁石と電波を使用するため、放射線は一切使用しません。そのため、妊娠中の方でも比較的安心して検査を受けることができます。ただし、MRI装置は強力な磁石を使用するため、体内に金属(ペースメーカー、金属製のインプラントなど)が入っている場合は、検査ができないことがあります。検査前には、必ず医師や技師に申告することが大切です。

放射線の使用有無は、MRIとCT検査の大きな違いの一つです。

  • MRI: 放射線不使用
  • CT: X線(放射線)を使用

造影剤の使用について

MRIとCT検査のどちらでも、病変をよりはっきりと見つけるために「造影剤」という薬を使用することがあります。造影剤を注射すると、病気のある部分や血管に集まりやすくなり、画像上で際立って見えるようになります。これは、どちらの検査でも、より正確な診断に繋がる重要な手段です。

造影剤の種類は、MRIとCTで異なります。MRIではガドリニウム造影剤、CTではヨード造影剤が一般的に使用されます。これらの造影剤には、アレルギー反応を起こす可能性がゼロではありません。そのため、造影剤を使用する前には、アレルギーの有無や、腎臓の機能などについて、医師が詳しく確認します。

造影剤の使用は、検査の精度を高めるために行われますが、その必要性や種類は、病気の種類や患者さんの体質によって判断されます。

どんな病気の診断にそれぞれ向いているか

MRIは、脳の病気(脳腫瘍、脳梗塞、脳出血など)、脊髄の病気、関節や筋肉の損傷、そしてがんの早期発見など、柔らかい組織の病気を見つけるのが得意です。特に、脳の細かい構造や、神経の伝達などを調べるのに高い能力を発揮します。

CTは、骨折や骨の病気、肺の病気(肺炎、肺がんなど)、腹部の臓器(肝臓、膵臓、胃など)の病気、そして出血や血腫の発見に優れています。また、緊急性の高い疾患(例えば、突然の頭痛で脳出血が疑われる場合など)では、短時間で全体像を把握できるCTが優先されることもあります。

以下に、それぞれの検査がよく使われる代表的な病気をまとめました。

  1. MRIがよく使われる病気:
    • 脳腫瘍
    • 脳梗塞
    • 脊髄損傷、脊髄腫瘍
    • 半月板損傷(膝)
    • 筋肉や靭帯の損傷
  2. CTがよく使われる病気:
    • 骨折
    • 肺炎
    • 肺がん
    • 腎臓結石
    • 腹部での出血

検査結果の解釈と医師の診断

MRIやCTで得られた画像は、医師が専門的な知識をもって詳しく解析します。画像に映し出された異常な部分が、どのような病気によるものなのか、その進行具合はどうなのかなどを判断していきます。医師は、これらの画像情報と、患者さんの症状や問診の内容を総合的に考慮して、最終的な診断を下します。

画像診断は、病気の早期発見や正確な治療計画を立てる上で非常に重要です。そのため、医師は画像から得られる情報を最大限に活用し、患者さんにとって最善の医療を提供しようと努めています。もし、検査結果について疑問があれば、遠慮なく担当の医師に質問しましょう。

検査結果の解釈は、医師の経験や知識が大きく影響します。

  1. 医師による画像評価:
  2. 他の検査結果との照合:
  3. 患者さんの症状との関連付け:
  4. 最終的な診断と治療方針の決定:

まとめ:どちらの検査を選ぶべきか

ここまで、MRIとCT検査の違いについて詳しく見てきました。どちらの検査も、それぞれの強みを活かして、様々な病気の診断に貢献しています。どちらの検査が「優れている」ということはなく、疑われる病気や症状、患者さんの状態によって、最適な検査が選択されるのです。もし、ご自身の検査について疑問があれば、遠慮なく担当の医師に相談してみてください。医師が、あなたの状況に合わせた最善の検査方法を説明してくれるはずです。

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