「国保」と「社保」、この二つの言葉、なんとなく耳にしたことはあるけれど、具体的にどう違うのか、はっきりとは分からない…という方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんな「国保 と 社保 の 違い」を、皆さんの身近な疑問に答えるように、わかりやすく解説していきます。どちらに加入すべきか、どんなメリット・デメリットがあるのか、知っておくと安心できる情報をギュッと詰め込みました。
加入対象者が違う! 国保 と 社保 の根本的な違い
まず、一番大きな「国保 と 社保 の 違い」は、加入できる人が違うという点です。「国民健康保険(国保)」は、主に自営業者やフリーランス、退職者など、会社の健康保険(社会保険)に加入していない人が対象となります。一方、「社会保険(社保)」、正式には「被用者保険」と呼ばれるものは、会社員や公務員など、どこかに勤めている人が会社を通じて加入する健康保険のことです。このように、加入できる「立場」が、国保と社保を分ける大きなポイントなのです。
具体的に見ていきましょう。
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国民健康保険(国保)
- 自営業、フリーランス、学生
- 年金受給者
- 退職して会社の保険から抜けた人
- パート・アルバイトで週20時間未満しか働いていない人(一定の条件あり)
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社会保険(社保、被用者保険)
- 正社員
- 週30時間以上働くパート・アルバイト(一定の条件あり)
- 公務員
この加入対象の違いを理解することが、国保と社保の基本的な違いを把握する上で非常に重要です。
では、この加入対象の違いが、保険料や受けられるサービスにどのような影響を与えるのでしょうか。次のセクションで詳しく見ていきます。
保険料の決まり方:意外と知らない「国保 と 社保 の 違い」
「国保 と 社保 の 違い」を語る上で、保険料の決まり方は避けて通れません。加入する保険によって、毎月支払う保険料の金額や計算方法が大きく異なるからです。
まず、国保の保険料は、住んでいる市町村によって決められます。計算方法は、主に「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の4つの要素を組み合わせて計算されます。収入が多いほど保険料は高くなりますが、所得が少ない場合は、低所得者向けの軽減措置もあります。
| 国保の保険料の要素 | 説明 |
|---|---|
| 所得割 | 前年の所得に応じて計算されます。 |
| 均等割 | 加入者全員に均等にかかる金額です。 |
| 平等割 | 世帯ごとに均等にかかる金額です。 |
| 資産割 | 固定資産税額に応じて計算されます(市町村によって実施されていない場合もあります)。 |
一方、社保の保険料は、加入している健康保険組合や協会けんぽによって決められます。基本的には、給与や賞与から計算される「標準報酬月額」や「標準賞与額」に、定められた保険料率をかけて計算されます。 この保険料は、事業主(会社)と被保険者(従業員)が折半して負担するのが一般的です。 つまり、会社が半額負担してくれるため、従業員個人の負担額は、国保と比較して抑えられる傾向があります。
給付内容の違い:病気や怪我にどう対応? 国保 と 社保 の 比較
「国保 と 社保 の 違い」は、保険料だけでなく、病気や怪我をした際の給付内容にも影響します。どちらの保険に加入していても、基本的な医療費の自己負担割合は同じ3割(年齢や所得によって1割~2割になる場合もあります)ですが、高額療養費制度や傷病手当金などの制度には違いが見られます。
高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。国保、社保ともにこの制度はありますが、 自己負担限度額は、所得や年齢によって異なります。 一般的に、社保の方が所得の高い層の自己負担限度額が高めに設定されている傾向があります。
さらに、社保には「傷病手当金」という制度があります。これは、病気や怪我で会社を休み、給与が支払われない場合に、一定期間、給与の一部が支給される制度です。国保には、この傷病手当金に相当する制度はありません。この点が、国保と社保の給付内容における大きな違いと言えるでしょう。
- 高額療養費制度:自己負担額には上限があり、超えた分は払い戻されます。
- 傷病手当金:社保のみにあり、病気や怪我で働けない間の収入を補う制度です。
任意継続と国民健康保険:退職後の選択肢
会社を退職した場合、「国保 と 社保 の 違い」がより具体的に問題となってきます。退職後も引き続き以前の会社の健康保険に加入できる「任意継続」という制度がありますが、これは一定の条件を満たせば利用できます。任意継続を選んだ場合、保険料は全額自己負担となりますが、 退職前の給与水準を基にした保険料が適用されるため、一時的に保険料が高くなることもあります。
一方、退職して任意継続を選ばない場合は、国民健康保険(国保)に加入することになります。国保の保険料は、前年の所得などに基づいて計算されるため、退職して収入が減った場合は、保険料が下がる可能性があります。どちらの制度が有利かは、個々の状況によって異なるため、慎重に検討する必要があります。
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任意継続
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- 退職前に健康保険に加入していた期間が継続して2ヶ月以上あること
- 退職後20日以内に手続きすること
- 保険料は全額自己負担
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国民健康保険(国保)
:
- 退職後、市町村の窓口で手続き
- 保険料は前年の所得などに基づいて計算
扶養に入る・扶養にする:家族関係における「国保 と 社保 の 違い」
家族がいる場合、「国保 と 社保 の 違い」は、扶養家族をどうするかという点にも現れます。「社保」に加入している人が、その配偶者や子供を「扶養」に入れることができます。扶養に入った家族は、自身で保険料を支払う必要がなく、医療費の自己負担割合だけで医療を受けることができます。これは、社保の大きなメリットの一つです。
一方、「国保」には、扶養という概念がありません。世帯全体で加入するため、家族全員がそれぞれ保険料を負担する必要があります。例えば、夫婦共働きで、一方が社保に、もう一方が国保に加入している場合、社保の扶養に入ることができる人は、国保には加入せず、社保の扶養家族となります。 この扶養制度の有無は、家庭全体の医療費負担を考える上で、国保と社保の重要な違いとなります。
将来の年金への影響:知っておきたい「国保 と 社保 の 違い」
「国保 と 社保 の 違い」は、医療保険だけでなく、将来受け取る年金にも関連してきます。社保には、「厚生年金保険」という制度がセットになっています。会社員として働いている間は、健康保険料と一緒に厚生年金保険料も支払うため、将来、年金を受け取る際の金額が、国民年金(国保加入者が基本となる年金)のみよりも多くなります。
国民年金は、日本国内に住む20歳から60歳までのすべての人が加入する「基礎年金」です。一方、厚生年金は、会社員や公務員が加入する「上乗せの年金」と言えます。したがって、 社保に加入している人は、将来、より手厚い年金を受け取れる可能性が高い と言えます。国保加入者は、原則として国民年金のみとなります。
まとめ:あなたに合った保険選びのために
ここまで、「国保 と 社保 の 違い」について、加入対象、保険料、給付内容、退職後の選択肢、家族の扶養、そして将来の年金という幅広い視点から解説してきました。どちらの保険が良いかは、個々のライフスタイルや収入、家族構成などによって大きく異なります。ご自身の状況をよく理解し、どちらの保険がより適しているのか、メリット・デメリットを比較検討することが大切です。
もし、ご自身の状況でどちらの保険に加入すべきか迷った場合は、お住まいの市町村の窓口や、会社の担当部署に相談してみることをお勧めします。正しい知識を持って、ご自身の健康と将来に備えましょう。