電気のブレーカーやヒューズなどでよく見かける「20A」と「30A」。これらは電流の大きさを表す単位「アンペア（A）」の数字が違うものですが、具体的に 20a と 30a の違いは何なのでしょうか？この違いを理解することは、安全に電気を使う上でとても大切です。今回は、この二つの違いについて、わかりやすく解説していきます。
アンペア（A）とは？
まず、アンペア（A）とは、電気の流れる量を表す単位です。水道の蛇口から出る水の量に例えると分かりやすいかもしれません。水の量が多いほど、たくさんの水が出ますよね。それと同じように、アンペアの数字が大きいほど、たくさんの電気が流れているということになります。この「流れる電気の量」が、20a と 30a の違いの根本的な部分なのです。
具体的に、それぞれのアンペア数が示す意味は以下のようになります。
- 20A : 1秒間に20クーロン（電気の量）が流れる状態。
- 30A : 1秒間に30クーロン（電気の量）が流れる状態。
つまり、 30Aの方が、20Aよりも一度にたくさんの電気を流すことができる ということです。この「一度に流せる電気の量」の違いが、私たちの生活でどのように影響してくるのか、次に見ていきましょう。
ブレーカーにおける 20a と 30a の違い
家庭で使われる電気の安全を守るブレーカーには、流れる電気の量が一定以上になると、自動的に電気を遮断する（切れる）機能があります。このブレーカーの「定格電流」が20Aなのか30Aなのかで、 20a と 30a の違いがはっきり現れます。
例えば、ある部屋のコンセント回路に20Aのブレーカーがついているとします。この場合、もしたくさんの電気製品を同時に使って、合計の消費電力が20Aを超えるような電気を流そうとすると、ブレーカーが作動して電気を遮断します。これは、過剰な電流による火災などの事故を防ぐための大切な仕組みです。
一方、30Aのブレーカーがついている回路では、20Aのブレーカーよりも多くの電気を流すことができます。そのため、より多くの電気製品を同時に使用したり、消費電力の大きい家電製品を使ったりすることが可能になります。
| ブレーカーの定格電流 | 一度に流せる電気の量 | 同時に使える電気製品の数/種類 |
|---|---|---|
| 20A | 少なめ | 比較的少ない |
| 30A | 多め | 比較的多い |
家電製品の消費電力と 20a と 30a の関係
家電製品にはそれぞれ「消費電力」が記載されています。この消費電力は、その製品がどれくらいの電気を使うかを示しており、「ワット（W）」という単位で表されます。そして、このワット数とアンペア数（A）は、以下の計算式で関係づけられています。
消費電力（W）＝ 電圧（V） × 電流（A）
日本の家庭の電圧は一般的に100Vなので、この式を使うと、
- 20Aの場合 : 100V × 20A = 2000W (2000ワット)
- 30Aの場合 : 100V × 30A = 3000W (3000ワット)
となります。つまり、20Aの回路では最大2000Wまで、30Aの回路では最大3000Wまでの消費電力をまかなうことができる、と考えると分かりやすいでしょう。
この 20a と 30a の違いは、同時にどのくらいの家電製品を使えるかに直結します。例えば、電子レンジ（約1000W）、ドライヤー（約1200W）、電気ケトル（約1200W）などを同時に使おうとすると、合計で3400Wとなり、20Aの回路（2000W）ではブレーカーが落ちてしまう可能性が高いです。しかし、30Aの回路（3000W）であれば、これらのうち2つ程度は同時に使えるかもしれません。
- 電子レンジ（1000W）+ ドライヤー（1200W） = 2200W (30A回路ならOK)
- 電子レンジ（1000W）+ 電気ケトル（1200W） = 2200W (30A回路ならOK)
- ドライヤー（1200W）+ 電気ケトル（1200W） = 2400W (30A回路ならOK)
- 電子レンジ（1000W）+ ドライヤー（1200W）+ 電気ケトル（1200W） = 3400W (20A回路、30A回路どちらもNG)
契約アンペア数と 20a と 30a の違い
家庭の電気料金は、「契約アンペア数」という、電力会社と契約している最大電気使用量によって決まります。この契約アンペア数が、 20a と 30a の違いを意識する場面でも関係してきます。
例えば、一人暮らしでそれほどたくさんの家電を使わない場合は、契約アンペア数を20Aや30Aに抑えることで、基本料金を安くすることができます。しかし、家族が多くて、多くの家電製品を同時に使う家庭では、契約アンペア数を30Aよりも大きく、例えば40Aや50Aにする必要があります。もし契約アンペア数を超えて電気を使うと、自宅の建物全体のメインブレーカーが落ちて、家全体の電気が使えなくなってしまいます。
電力会社との契約アンペア数は、通常、アンケートや過去の使用状況に基づいて決められますが、もし「よくブレーカーが落ちる」と感じる場合は、契約アンペア数が足りていない可能性があります。その場合は、電力会社に相談して、契約アンペア数の変更を検討すると良いでしょう。
配線やコンセントの定格と 20a と 30a の違い
電気を安全に流すためには、電気の通り道である配線や、電気製品を接続するコンセントにも、流せる電気の量（定格）が決まっています。この定格も、 20a と 30a の違いを理解する上で重要です。
一般的に、家庭用のコンセントは15Aまで対応しているものが多いです。これは、100V × 15A = 1500W までの消費電力を想定しているということです。もし、20Aや30Aといったより大きな電流を流す必要がある場合は、特殊なコンセントや配線が必要になることがあります。
例えば、エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい家電製品には、専用のコンセントや、その家電製品の定格に合わせた太い配線が使われています。これは、過剰な電流が流れても安全に使えるようにするためです。 20a と 30a の違いを意識する際には、単にブレーカーだけでなく、コンセントや配線がその電気量に対応できているかも確認することが大切です。
まとめ： 20a と 30a の違いを理解して賢く電気を使おう
ここまで、 20a と 30a の違いについて、アンペアとは何か、ブレーカーや家電製品、契約アンペア数、配線など、様々な側面から解説してきました。簡単にまとめると、 20a と 30a の違いは、
- 流せる電気の量（アンペア数）
- 同時に使える電気製品の数や消費電力の合計
- ブレーカーの許容範囲
といった点にあります。 20a は比較的小さな電気量、30a はより大きな電気量に対応できるため、ご家庭の電気の使い方に合わせて、契約アンペア数や各回路のブレーカーが適切かを確認することが、安全で快適な電気生活につながります。
もし、これらの違いについてさらに詳しく知りたい場合や、ご自宅の電気設備について心配な点がある場合は、電気工事店や電力会社に相談してみることをおすすめします。