肺気腫 と copd の 違い を わかりやすく解説!誤解しやすいポイントを徹底解明

「肺気腫」と「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」、この二つの言葉を聞いたことはありますか?なんだか似ていて、どちらがどう違うのか、あるいは同じものなのか、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。実は、 肺気腫 と copd の 違い は、単なる言葉の違いではなく、病気の捉え方にも関わる大切なポイントなのです。

肺気腫 と COPD の関係性:包含と一部の関係

まず、一番重要な 肺気腫 と copd の 違い は、COPDという大きな枠組みの中に、肺気腫という病気が含まれている、ということです。例えるなら、COPDが「果物」という大きなカテゴリーだとすると、肺気腫は「りんご」や「みかん」のような、その中の特定の種類、というイメージです。つまり、肺気腫はCOPDの一種ではありますが、COPDがすべて肺気腫というわけではないのです。

COPDは、タバコの煙などを長年吸い込むことによって、肺に炎症が起こり、空気の通り道である気管支や、酸素のやり取りをする肺胞が傷つき、息をするのが苦しくなる病気の総称です。このCOPDという病気には、主に二つのタイプがあります。

  • 気管支炎型: 空気の通り道である気管支に炎症が起こり、痰が多く出たり、咳が長引いたりするのが特徴です。
  • 肺気腫型: 酸素のやり取りをする肺胞という小さな袋が壊れてしまい、肺が「しぼんで」しまうような状態になるのが特徴です。

この「肺気腫型」のCOPDのことを、単に「肺気腫」と呼ぶことが多いのです。だから、肺気腫とCOPDは完全に同じものではないけれど、とても近い関係にある、と理解しておくと良いでしょう。

肺気腫 の特徴:肺胞が壊れるということ

肺気腫についてもう少し詳しく見ていきましょう。肺気腫は、肺の中にある、風船のように小さな「肺胞」が壊れてしまう状態を指します。健康な肺では、この肺胞がたくさん集まって、酸素を血液に取り込んだり、二酸化炭素を外に出したりする大切な役割を担っています。しかし、肺気腫になると、これらの肺胞が壊れてしまい、その数が減ってしまうのです。

肺胞が壊れると、どうなるのでしょうか?

  1. 酸素の取り込みが悪くなる: 肺胞が減ることで、体に必要な酸素を十分に体に取り込めなくなります。
  2. 息が吐き出しにくくなる: 壊れた肺胞は弾力を失い、しぼんでしまうため、息を吐き出すのが難しくなります。
  3. 空気がたまりやすくなる: 肺の中に空気がたまりやすくなり、常に息苦しさを感じることがあります。

これらの変化は、長年の喫煙などによって、肺に「炎症」が起こることが原因で進行します。タバコの煙に含まれる有害物質が、肺の組織を少しずつ破壊していくイメージです。

以下に、肺気腫になった肺と健康な肺のイメージを比較してみましょう。

健康な肺 肺気腫の肺
たくさんの小さな肺胞があり、弾力に富む 肺胞が壊れて数が減り、大きくなっている箇所もある

COPD の原因と症状:気管支炎型との違い

次に、COPD全体、特に肺気腫型ではない「気管支炎型」のCOPDについて考えてみましょう。COPDの主な原因は、先ほども触れたように、タバコの煙などの有害物質を長期間吸い込むことです。しかし、その影響が主に気管支に出るのか、肺胞に出るのかで、症状の現れ方が少し変わってきます。

気管支炎型のCOPDでは、以下のような特徴が見られます。

  • 慢性の咳: 特に朝方にひどい咳が出ることが多いです。
  • 痰(たん): 粘り気のある痰が、一年を通して多く出ます。
  • 息切れ: 初期は階段を上ったり、重いものを持ったりしたときに息切れを感じますが、進行すると安静時にも息切れを感じるようになります。

これらの症状は、気管支の粘膜が炎症を起こし、過剰に痰を作り出したり、気管支が狭くなったりすることによって起こります。肺気腫型のように肺胞が大きく壊れるわけではありませんが、空気の通りが悪くなるため、やはり呼吸が苦しくなるのです。

COPDの症状をまとめると、以下のようになります。

  1. 初期: 咳、痰、軽い息切れ
  2. 中期: 咳や痰が増え、運動時の息切れが顕著になる
  3. 後期: 安静時にも息切れを感じ、日常生活に支障が出る

診断のポイント:どのように見分けるのか

「肺気腫」と「COPD」の診断は、どのように行われるのでしょうか?医師は、患者さんの症状や、これまでどのような生活を送ってきたか(特に喫煙歴)を詳しく聞き取ります。そして、いくつかの検査を行い、病気の原因や状態を特定していきます。

主な検査方法には、以下のようなものがあります。

  • スパイロメトリー(肺機能検査): 息をどれだけ吸って、どれだけ勢いよく吐き出せるかなどを調べる検査です。これで、肺の空気の通り具合などを評価します。
  • 胸部X線検査・CT検査: 肺の形や、肺胞の壊れ具合などを画像で確認します。
  • 動脈血ガス分析: 血液中の酸素や二酸化炭素の濃度を測り、肺がどれだけうまく酸素を取り込めているかなどを調べます。

これらの検査結果と、患者さんの症状を総合的に判断することで、COPDと診断され、その中でも肺気腫の要素が強いのか、気管支炎の要素が強いのか、あるいは両方の要素があるのか、といったことが判断されます。

治療法:共通点と違い

肺気腫とCOPDの治療法には、共通する部分もあれば、病気の種類によって少し異なるアプローチが取られることもあります。どちらの病気も、一度壊れてしまった肺の組織を元に戻すことはできません。そのため、治療の目的は、症状を和らげ、病気の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を維持・向上させることにあります。

主な治療法には、以下のようなものがあります。

  • 禁煙: これが最も重要です。タバコを吸い続けると、病気は悪化する一方です。
  • 薬物療法: 気管支を広げる薬(気管支拡張薬)や、痰を出しやすくする薬、炎症を抑える薬などを使用します。
  • 呼吸リハビリテーション: 運動療法や呼吸訓練を行い、息切れを軽減させ、体力向上を目指します。
  • 在宅酸素療法: 重症の場合、自宅で酸素を吸入する治療を行います。

肺気腫型の場合は、肺胞の機能低下を補うための治療がより重視される傾向があり、気管支炎型の場合は、気道の炎症や痰の管理がより重要になることがあります。しかし、多くのCOPD患者さんは、両方の要素を併せ持っているため、個々の患者さんの状態に合わせて、これらの治療法を組み合わせて行います。

日常生活での注意点:患者さんができること

肺気腫やCOPDと診断された方が、日常生活で気をつけるべきことはたくさんあります。病気と上手に付き合っていくために、日頃から意識することが大切です。

具体的には、以下のような点が挙げられます。

  • 禁煙を続ける: これは何度でも強調したい最重要事項です。
  • 感染症の予防: 風邪やインフルエンザにかかると、症状が悪化しやすいため、手洗いやうがい、予防接種などを心がけましょう。
  • 適度な運動: 無理のない範囲で体を動かすことは、体力維持や息切れの軽減につながります。
  • バランスの取れた食事: 栄養バランスの良い食事は、体の抵抗力を高めます。
  • 排気ガスや粉塵を避ける: タバコの煙だけでなく、大気汚染やホコリなども肺に負担をかけます。
  • 医師との連携: 定期的に医師の診察を受け、指示を守り、気になることはすぐに相談しましょう。

これらの注意点を守ることで、病気の悪化を防ぎ、より快適な生活を送ることができるようになります。

肺気腫とCOPDは、どちらも呼吸に関わる深刻な病気ですが、その関係性を理解し、適切な知識を持つことが、早期発見や治療、そして病気と向き合っていく上で非常に大切です。もし、ご自身や周りの方に気になる症状がある場合は、迷わず専門医に相談してください。

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