脳卒中という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、その中でも特に注意が必要なのが「脳梗塞」と「くも膜下出血」です。この二つは、どちらも脳の血管に関わる病気ですが、発生するメカニズムや症状、治療法などが大きく異なります。今回は、この 脳 梗塞 と くも膜 下 出血 の 違い を分かりやすく解説し、それぞれの危険性についてお伝えします。
原因とメカニズムの違い
まず、脳梗塞とくも膜下出血の最も大きな違いは、その原因とメカニズムにあります。脳梗塞は、脳の血管が詰まることによって、脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなり、細胞が壊死してしまう病気です。これは、血管の動脈硬化が進んだり、心臓の病気でできた血の塊が脳に運ばれたりすることが原因で起こります。
一方、くも膜下出血は、脳の血管が破れて出血することが原因です。多くの場合、脳動脈瘤という、血管が風船のように膨らんだ部分が破裂することによって起こります。この出血が、脳を覆っている「くも膜」と「軟膜」の間にある「くも膜下腔」という空間に広がります。
これらの違いをまとめると以下のようになります。
- 脳梗塞 :血管が「詰まる」
- くも膜下出血 :血管が「破れる」
この根本的な違いを理解することが、脳 梗塞 と くも膜 下 出血 の 違い を把握する上で非常に重要です。
症状の出方の違い
次に、症状の出方にも違いがあります。脳梗塞の場合、血管が詰まった場所や範囲によって、様々な症状が現れます。例えば、体の片側の手足が動かしにくくなったり、しびれたり、言葉が出にくくなったり、顔がゆがんだりすることがあります。これらの症状は、突然現れることが多いです。
くも膜下出血の最も特徴的な症状は、「突然の激しい頭痛」です。今まで経験したことのないような、ハンマーで殴られたような痛みと表現されることもあります。吐き気や嘔吐、意識が遠のくといった症状を伴うこともあります。
症状を比較してみましょう。
| 脳梗塞 | 手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない、顔面神経麻痺など |
|---|---|
| くも膜下出血 | 突然の激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害など |
診断方法の違い
病気を診断するためにも、それぞれ異なる検査が行われます。脳梗塞の診断には、CT検査やMRI検査が主に用いられます。これらの検査で、脳のどの部分に血流が悪くなっているか、あるいは梗塞が起きているかを確認します。また、心臓の病気などが原因の場合は、心電図や心臓超音波検査なども行われます。
くも膜下出血の診断には、まずCT検査が重要です。くも膜下腔に出血があるかどうかを迅速に確認できます。出血が確認された場合は、くも膜下出血の原因となっている脳動脈瘤などを特定するために、脳血管造影検査が行われることがあります。
診断の流れを簡単にまとめると以下のようになります。
- 脳梗塞 :CT/MRI → 原因特定のための追加検査
- くも膜下出血 :CT → 脳血管造影(必要に応じて)
治療法のアプローチの違い
脳 梗塞 と くも膜 下 出血 の 違い は、治療法にも大きく影響します。脳梗塞の治療では、詰まった血栓を溶かす薬(血栓溶解療法)を使ったり、カテーテルを使って血栓を取り除いたりする方法があります。発症から時間が経ちすぎるとこれらの治療ができなくなるため、早期発見・早期治療が非常に大切です。
くも膜下出血の治療は、出血した血管を再び破れないように処置することが中心となります。脳動脈瘤が原因の場合は、開頭手術でクリップを挟む方法や、カテーテルを使ってコイルを詰める方法などがあります。出血そのものを止めることと、再出血を防ぐことが目的です。
治療の主な目的は以下の通りです。
- 脳梗塞 :血栓を溶かす、取り除く
- くも膜下出血 :出血部位の処置、再出血の予防
後遺症の可能性
どちらの病気も、脳の細胞がダメージを受けるため、後遺症が残る可能性があります。脳梗塞の場合、梗塞が起きた場所や範囲によって、手足の麻痺、言語障害、嚥下障害、高次脳機能障害(記憶力や注意力の低下など)などが残ることがあります。
くも膜下出血の場合も、頭痛、めまい、吐き気、集中力の低下、感情の不安定さ、記憶障害など、様々な後遺症が出ることがあります。また、くも膜下出血は再出血のリスクもあるため、その後の経過も注意が必要です。
後遺症の例をいくつか挙げます。
- 脳梗塞 :運動機能障害、言語障害、高次脳機能障害
- くも膜下出血 :慢性頭痛、認知機能障害、感情の起伏
危険なサインを見逃さないために
脳 梗塞 と くも膜 下 出血 の 違い を理解した上で、それぞれの病気が疑われるサインを知っておくことは、命を救うために非常に重要です。脳梗塞のサインとしては、「FAST」という言葉がよく使われます。これは、Face(顔の麻痺)、Arm(腕の麻痺)、Speech(言葉の障害)、Time(発症時刻)の頭文字をとったもので、これらの症状が一つでも見られたら、すぐに救急車を呼ぶべきです。
くも膜下出血のサインは、何よりも「突然の激しい頭痛」です。特に、これまで経験したことのないような強烈な痛みを感じた場合は、迷わず救急車を呼んでください。吐き気や嘔吐、意識が朦朧とするなどの症状も伴うことがあります。
危険なサインをまとめると以下のようになります。
| 脳梗塞 | 顔のゆがみ、片方の腕が上がらない、ろれつが回らない |
|---|---|
| くも膜下出血 | 突然のバットで殴られたような激しい頭痛、吐き気 |
予防策について
脳 梗塞 と くも膜 下 出血 の 違いはあれど、どちらの病気も予防することが大切です。生活習慣を見直すことで、リスクを減らすことができます。具体的には、バランスの取れた食事を心がけ、塩分や脂肪分の摂りすぎに注意すること、適度な運動を習慣にすること、禁煙・節酒をすることなどが挙げられます。
また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある場合は、しっかりと治療を受け、数値をコントロールすることが重要です。定期的な健康診断を受け、自分の体の状態を把握することも予防につながります。
予防のためにできることは多岐にわたります。
- 健康的な食生活
- 適度な運動
- 禁煙・節酒
- 生活習慣病の管理
- 定期的な健康診断
脳梗塞やくも膜下出血は、突然私たちの命を脅かす怖い病気ですが、その違いを理解し、早期発見・早期治療、そして日頃からの予防に努めることで、リスクを減らすことができます。もし、ご自身や周りの人にこれらの病気を疑う症状が現れた場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。