肺がんには、大きく分けて「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」という2つの種類があります。この二つの違いを理解することは、病気の進行や治療法を考える上でとても大切です。今回は、この非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い について、分かりやすく解説していきます。
種類によって広がり方や治療法が大きく変わる!
肺がんの「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」は、見た目や性質が全く異なる兄弟のようなものです。非小細胞肺がんは、肺がん全体の約85%を占める、比較的ゆっくりと進行するタイプです。一方、小細胞肺がんは、肺がん全体の約15%を占め、非常に速く広がる(転移する)性質を持っています。この進行の速さの違いが、治療法にも大きく影響してくるのです。
非小細胞肺がんには、さらにいくつかの種類があります。
- 腺がん:肺の分泌物を作る細胞から発生するタイプです。
- 扁平上皮がん:気管支の表面を覆う細胞から発生するタイプです。
- 大細胞がん:はっきりとした特徴を持たない、比較的大まかな細胞のタイプです。
これらの種類によって、がんの広がり方や、どの治療法が効きやすいかなどが変わってきます。 だからこそ、正確な診断が治療の第一歩となるのです。
一方、小細胞肺がんは、その名前の通り、細胞が小さく、ぎゅっと集まったような見た目をしています。このタイプは、発見された時にはすでに体のあちこちに広がっていることが多いのが特徴です。そのため、発見が遅れると、治療が難しくなることもあります。
非小細胞肺がんと小細胞肺がん、その特徴とは?
非小細胞肺がんと小細胞肺がんは、それぞれ異なる特徴を持っています。まず、発生する場所ですが、非小細胞肺がんは肺の太い気管支や、肺の端の方(肺胞)など、比較的広い範囲に発生することがあります。小細胞肺がんは、主に気管支の真ん中あたりから発生することが多いと言われています。
次に、がんの広がり方を見てみましょう。
- 非小細胞肺がん:比較的ゆっくりと進行し、周りの組織にじわじわと広がったり、リンパ節に転移したりすることが多いです。
- 小細胞肺がん:発見された時には、すでに脳や肝臓、骨など、体の離れた場所に転移していることが非常に多いです。
治療法についても、大きく異なります。
| 種類 | 主な治療法 |
|---|---|
| 非小細胞肺がん | 手術、放射線療法、抗がん剤、分子標的薬、免疫療法 |
| 小細胞肺がん | 抗がん剤、放射線療法(手術はあまり行われない) |
このように、非小細胞肺がんは、がんの進行具合や場所によっては手術で取り切れることもありますが、小細胞肺がんは、早期に全身に広がるため、抗がん剤や放射線療法が中心となります。
診断方法の違い
非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い を見つけるためには、いくつかの検査が行われます。まず、レントゲン写真やCT検査で、肺に影がないか、がんがあるとしたらどのくらいの大きさか、どこにあるかなどを調べます。これはどちらのタイプのがんでも最初に行われる検査です。
次に、がんの組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」が非常に重要です。これにより、がんの種類(非小細胞肺がんか小細胞肺がんか、そして非小細胞肺がんの中でもどのタイプか)を確定します。この病理検査の結果が、その後の治療方針を決定する上で、最も大切な情報となるのです。
- CT検査:肺の断面図を見ることができ、がんの広がりや転移の有無を詳しく調べられます。
- 気管支鏡検査:細いカメラを気管支の中に入れ、がんのできている場所から組織を採取します。
- 生検:肺の表面に近いがんであれば、皮膚から針を刺して組織を採取することもあります。
また、小細胞肺がんの場合は、脳への転移が起こりやすいため、脳のCTやMRI検査を行うこともあります。これにより、早期に転移を発見し、適切な治療につなげることができます。
進行のスピードとその影響
非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い を語る上で、進行のスピードは避けて通れません。非小細胞肺がんは、一般的に進行が比較的ゆっくりです。そのため、早期に発見できれば、手術でがんを取り除くことで、治癒を目指せる可能性もあります。しかし、発見が遅れると、他の臓器に転移し、治療が難しくなることもあります。
一方、小細胞肺がんは、非常に進行が速いのが特徴です。発見された時には、すでに他の臓器に転移していることがほとんどです。そのため、治療の開始が遅れると、あっという間に病状が悪化してしまうことがあります。
この進行スピードの違いは、患者さんが感じる症状にも影響を与えます。
- 非小細胞肺がん:初期は自覚症状がほとんどないことが多いですが、進行すると咳、痰、血痰、胸の痛みなどが現れます。
- 小細胞肺がん:進行が速いため、初期から咳や息切れなどの症状が強く現れることがあります。
進行スピードの違いを理解することは、病気と向き合う上で、冷静な判断を下すために不可欠です。
治療法の選択
非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い を踏まえた上で、治療法は大きく異なります。非小細胞肺がんの場合、がんの進行度や場所、患者さんの全身状態などを考慮して、以下のような治療法を組み合わせて行います。
- 手術:がんを直接取り除く治療法で、早期発見できた場合に最も効果が期待できます。
- 放射線療法:高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を攻撃します。
- 化学療法(抗がん剤):全身に広がったがん細胞を攻撃します。
- 分子標的薬:がん細胞の増殖に必要な特定の分子の働きを抑える薬です。
- 免疫療法:患者さん自身の免疫の力を使ってがんを攻撃します。
小細胞肺がんの場合は、進行が速く、すでに全身に広がっていることが多いため、基本的には化学療法(抗がん剤)や放射線療法が中心となります。手術は、ごく早期で限定的な場合を除いて、あまり行われません。
治療の目標も、非小細胞肺がんでは「治癒」を目指せる場合があるのに対し、小細胞肺がんでは「がんの進行を抑え、症状を和らげ、できるだけ長く良い状態を保つ(延命)」ことを目指す場合が多くなります。
予後(病気の将来の見通し)
非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い は、予後(病気が今後どうなるかという見通し)にも影響します。非小細胞肺がんは、早期に発見され、適切に治療されれば、治癒する可能性も十分にあります。しかし、進行して転移が広がってしまうと、予後は厳しくなります。
一方、小細胞肺がんは、進行が速いため、発見された時点ですでに全身に広がっていることが多く、予後は一般的に非小細胞肺がんに比べて良くない傾向があります。ただし、近年では新しい治療法の開発も進んでおり、予後が改善されるケースも出てきています。
| 種類 | 予後(一般的な傾向) |
|---|---|
| 非小細胞肺がん | 早期発見・治療で治癒の可能性あり。進行度により大きく変動。 |
| 小細胞肺がん | 進行が速く、予後は厳しめだが、治療の進歩により改善傾向。 |
予後を知ることは、患者さんやご家族が今後の生活について考え、準備をする上で非常に重要です。 医師とよく相談し、最新の情報を得ることが大切です。
肺がんの種類が違うだけで、病気の性質や治療法、そして将来の見通しまで大きく変わってくることがお分かりいただけたかと思います。非小細胞肺がん と 小 細胞 肺癌 の 違い を正しく理解することは、病気と向き合う第一歩です。ご自身の体調に不安を感じたら、迷わず専門医に相談しましょう。