「療育手帳」と「障害者手帳」、名前が似ているけれど、一体何が違うのだろう？ この二つの手帳の「療育手帳と障害者手帳の違い」を、皆さんに分かりやすく、そして、それぞれの役割やメリットをしっかり理解していただけるように、丁寧に解説していきますね。
療育手帳と障害者手帳の「目的」と「対象者」の違い
まず、一番根本的な「療育手帳と障害者手帳の違い」は、その「目的」と「対象者」にあります。療育手帳は、主に知的発達に遅れがある子どもたちが、成長の過程で必要な支援を受けやすくするために発行されるものです。一方、障害者手帳は、身体、精神、知的、発達などの様々な障害を持つ人々が、社会生活を送る上で受けられる福祉サービスや支援の対象であることを証明するためのものです。ですから、対象となる年齢や障害の種類が異なります。
具体的に、療育手帳は、児童相談所や知的障害者更生相談所などの判定に基づき、おおむね18歳未満で知的発達に遅れがあると診断された方に発行されます。障害者手帳は、障害の種類や程度によって、18歳以上の方も、あるいは生まれつきの障害で18歳未満の方も取得できます。 この「いつから、どのような障害で」という点が、両者の大きな違いと言えるでしょう。
- 療育手帳の主な対象者： 知的発達に遅れがある児童
- 障害者手帳の主な対象者： 身体、精神、知的、発達など様々な障害を持つ方
このように、目的や対象者が違うため、それぞれで受けられるサービスにも違いが出てきます。
「取得できる機関」で見る療育手帳と障害者手帳の違い
次に、「療育手帳と障害者手帳の違い」を、それぞれがどこで取得できるかという視点から見てみましょう。療育手帳は、お住まいの市町村の担当窓口に相談し、専門機関（児童相談所や知的障害者更生相談所など）での判定を経て発行されます。これは、子どもの発達状況を専門家が丁寧に評価する必要があるためです。
一方、障害者手帳（身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳など）は、それぞれ管轄する機関が異なります。身体障害者手帳は、お住まいの市町村の福祉担当窓口から申請し、指定された医療機関での身体障害者福祉法に基づく指定医の診断書が必要となります。精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉センターや保健所、または医療機関で相談し、精神保健指定医の診断書が必要です。
まとめると、以下のようになります。
| 手帳の種類 | 主な取得機関 |
|---|---|
| 療育手帳 | 市町村窓口 → 児童相談所・知的障害者更生相談所 |
| 身体障害者手帳 | 市町村窓口 → 指定医（医療機関） |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 保健所・精神保健福祉センター・医療機関 → 精神保健指定医 |
このように、取得までの流れや関わる専門機関にも違いがあります。
「受けられるサービス」で比較する療育手帳と障害者手帳の違い
「療育手帳と障害者手帳の違い」は、それに伴って受けられるサービスにも影響します。療育手帳を持っていることで、児童発達支援センターの利用、特別支援学校の就学支援、療育プログラムへの参加などがスムーズになります。これは、子どもの発達を早期からサポートし、健やかな成長を促すことを目的としているからです。
障害者手帳を持っていると、障害の種類や等級に応じて、様々な福祉サービスや支援を受けることができます。例えば、日常生活での支援（移動支援、ホームヘルプサービスなど）、就労支援（就労移行支援事業所、障害者雇用枠での就職など）、税金の減免、公共交通機関の割引など、多岐にわたります。これは、障害のある方が社会で自立し、自分らしく生活していくためのサポートを目的としているためです。
具体的には、以下のようなサービスが考えられます。
-
療育手帳
- 児童発達支援事業所の利用
- 特別支援学校への就学支援
- 療育プログラムの利用
-
障害者手帳
- 移動支援、ホームヘルプサービス
- 就労支援事業所の利用
- 税金の減免（所得税、住民税など）
- 公共交通機関の割引
このように、手帳の種類によって、支援の方向性や内容が異なります。
「障害の定義」における療育手帳と障害者手帳のニュアンスの違い
「療育手帳と障害者手帳の違い」は、障害をどのように捉えるかというニュアンスにも関係しています。療育手帳が重視するのは、「知的発達の遅れ」という側面です。これは、発達の過程にある子どもが、その年齢相応の発達に達していない状態を指します。
一方、障害者手帳は、より広範な「障害」を定義します。身体的な機能の欠損や低下（身体障害）、精神的な機能の不調（精神障害）、知的発達の遅れ（知的障害）、そして発達の特性による困難（発達障害）など、多岐にわたります。障害者手帳においては、その障害によって「継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける」という点が重要視されます。
したがって、療育手帳は、知的発達の遅れに特化した支援の入り口として機能し、障害者手帳は、より多様な障害特性を持つ人々への包括的な支援を目的としていると言えます。
「更新の有無」に着目した療育手帳と障害者手帳の違い
「療育手帳と障害者手帳の違い」について、更新の有無も意外と知られていないポイントです。一般的に、療育手帳は、子どもの成長とともに発達状況が変化する可能性があるため、定期的な更新や再判定が必要となる場合があります。これは、その時点での子どもの発達段階に合った支援を提供するためです。
対して、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳は、一度認定されるとその障害が恒久的であると見なされる場合が多く、更新が不要なケースも少なくありません。ただし、状態が変化する可能性のある精神障害者保健福祉手帳などは、有効期限が設定されており、更新が必要な場合もあります。 この更新の有無は、手帳の性質や対象となる障害の特性に基づいています。
以下に、更新に関する一般的な傾向をまとめました。
- 療育手帳： 定期的な更新・再判定が必要な場合が多い
- 身体障害者手帳： 基本的に更新は不要（ただし、例外あり）
- 精神障害者保健福祉手帳： 有効期限があり、更新が必要な場合が多い
「発行される等級」における療育手帳と障害者手帳の違い
「療育手帳と障害者手帳の違い」を語る上で、発行される「等級」についても触れておきましょう。療育手帳には、知的発達の程度に応じて、おおよそ「A」と「B」のような区分が設けられています。Aは重度、Bはそれ以外の区分といった形で、支援の必要度を示します。この区分によって、受けられるサービスの内容や程度が変わってきます。
一方、障害者手帳は、障害の種類によってさらに細かく等級が定められています。例えば、身体障害者手帳では、障害の部位や程度によって1級から7級まで（一部6級まで）の等級があります。精神障害者保健福祉手帳も、障害の重さによって1級、2級、3級といった等級があります。これらの等級は、障害の程度を客観的に示すものであり、受けられる福祉サービスや支援の幅に直結します。 つまり、等級制度は、一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかな支援を実現するために不可欠なのです。
例えば、障害者手帳の等級によって、以下のような違いが生じます。
-
等級が高いほど（重度と判定されるほど）：
- 受けられる支援の種類が増える
- 支援の量や手厚さが増す
- 所得税や住民税などの軽減額が大きくなる
このように、等級は、支援の度合いを判断する上で重要な指標となります。
まとめ：それぞれの特性を理解して、適切な支援につなげよう
ここまで、「療育手帳と障害者手帳の違い」について、目的、対象者、取得機関、受けられるサービス、障害の定義、更新の有無、そして等級という様々な側面から解説してきました。どちらの手帳も、障害のある方やそのご家族が、より暮らしやすくなるための大切なサポートツールです。それぞれの特性をよく理解し、ご自身の状況に合った手帳の種類や、それに伴う支援について、ぜひ役立ててくださいね。