ペアンとコッヘルの違いを徹底解説！知っておきたい基本知識

医療現場でよく耳にする「ペアン」と「コッヘル」。どちらも止血や組織の把持に用いられる鉗子（かんし）ですが、その形状や用途には明確な違いがあります。今回は、この「ペアンとコッヘルの違い」について、分かりやすく解説していきましょう。

ペアンとコッヘル、見た目の違いと使い分け

ペアンとコッヘルを初めて見る人は、ぱっと見で「似ているな」と感じるかもしれません。しかし、その微妙な違いが、実際の使い心地や適した状況を大きく左右します。 この違いを理解することは、安全で確実な医療処置を行う上で非常に重要です。

まず、ペアンは先端が細く、ギザギザとした「鋸歯（きょし）」が内側に並んでいるのが特徴です。このギザギザのおかげで、細い血管や繊細な組織をしっかりと掴むことができます。手術中に細かい作業をする際などに活躍します。

一方、コッヘルはペアンよりも先端が太く、先端部分に歯のような突起が2本、上下にかみ合うように付いています。この歯があることで、より強固に組織を掴むことができます。たとえば、出血の多い部分を一時的に止血したり、厚みのある組織を把持したりするのに適しています。

ペアンの先端をよく見てみると、細かく平行に並んだギザギザがあることに気づくでしょう。この鋸歯は、組織を傷つけずに、しかし滑り落ちないようにしっかりと固定するための工夫です。まるで、細い糸を掴むために、指先に細かい凹凸があるようなイメージです。

この繊細な構造により、ペアンは以下のような場面で重宝されます。

また、ペアンには先端がまっすぐな「直（ちょく）」タイプと、カーブしている「曲（きょく）」タイプがあります。カーブしているものは、見えにくい場所や奥の方にあるものを掴むのに便利です。

コッヘルを特徴づけるのは、その先端に付いている「歯」です。この歯は、ペアンの鋸歯とは異なり、鋭く、上下でしっかりと噛み合うように設計されています。まるで、ハサミの刃が噛み合うようなイメージですね。

この歯があることで、コッヘルは以下のような状況で強力な力を発揮します。

コッヘルもペアンと同様に、直タイプと曲タイプがありますが、その用途によって使い分けられます。

ペアンとコッヘルは、どちらも主にステンレス鋼などの金属で作られています。これは、医療現場で繰り返し洗浄・滅菌されるため、耐久性や衛生面が重視されるからです。しかし、細部の構造や設計が異なるため、当然ながら耐久性にも若干の違いが出てきます。

一般的に、コッヘルの方がより頑丈な構造になっていることが多いです。これは、太い血管を止血する際などに、強い力で挟む必要があるためです。一方、ペアンは繊細な操作が求められるため、細部の造りが精緻になっています。

ペアンもコッヘルも、医療現場で使用されるため、厳格な衛生管理が必要です。そのため、オートクレーブ（高圧蒸気滅菌器）による滅菌が一般的です。どちらの鉗子も、この滅菌方法に耐えられるように作られています。

ただし、長期間の使用や不適切な取り扱いによって、金属疲労やサビが生じる可能性はゼロではありません。使用後は速やかに洗浄・乾燥させ、適切に保管することが、これらの医療器具の寿命を延ばす上で大切です。

ペアンとコッヘルは、手術室だけでなく、救急外来や病棟での処置でも頻繁に登場します。例えば、

このように、それぞれの特性を活かして、多岐にわたる場面で活躍しています。

ここまで、ペアンとコッヘルそれぞれの特徴、そして「ペアンとコッヘルの違い」について詳しく見てきました。まとめると、

この違いを理解しておけば、それぞれの鉗子がどのような目的で使われているのかが、より深く理解できるようになるはずです。医療の現場では、こうした細やかな道具の使い分けが、安全で円滑な処置を支えているのです。

「ペアンとコッヘルの違い」を知ることは、医療に興味を持つ皆さんにとって、きっと役立つ知識となるでしょう。