「戸籍謄本」と「戸籍抄本」、どちらも戸籍に関する証明書ですが、一体何が違うのでしょうか?実は、戸籍謄本と抄本の違いは、記載されている情報量にあります。どちらが必要になるかは、手続きによって変わってくるので、その違いを理解しておくことはとても大切です。
戸籍謄本と抄本の基本!何が違うの?
まず、一番大きな違いは、記載されている範囲です。戸籍謄本は、その戸籍に記載されている「全員」の情報がすべて記載されています。これは、いわば「戸籍の全部入り」のようなものです。一方、戸籍抄本は、その戸籍に記載されている「一部の人」の情報だけが記載されたものです。どちらも同じ戸籍から発行されますが、必要な情報だけを取り出せるのが抄本、戸籍そのものを見たいのが謄本、というイメージですね。
具体的に、どのような場面でどちらが必要になるかというと、例えば:
- 相続手続き : 亡くなった方の財産を相続する際など、戸籍に記載されている関係者全員の情報を確認する必要がある場合は、戸籍謄本が必要になることが多いです。
- 婚姻・離婚届 : 自分自身の身分関係を証明するだけであれば、戸籍抄本で足りる場合がほとんどです。
- パスポート申請 : 国籍を証明するため、戸籍謄本が必要になることがあります。
戸籍謄本と抄本のどちらが必要になるかを事前に確認しておくことは、手続きをスムーズに進める上で非常に重要です。
| 証明書の種類 | 記載内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 戸籍に記載されている全員の情報 | 相続、国籍証明など |
| 戸籍抄本 | 戸籍に記載されている一部の人(個人)の情報 | 婚姻、離婚、就職など |
戸籍謄本でわかること:家族全員の記録
戸籍謄本には、その戸籍に属するすべての人の情報が網羅されています。具体的には、氏名、生年月日、父母の氏名、出生地、婚姻日、離婚日、死亡日、養子縁組などの事項が、戸籍の変動があった順に記録されています。
例えば、ある家族の戸籍謄本を取得した場合、その戸籍に入っている親、子、孫、そして結婚や養子縁組によって新しく入ってきた人、亡くなって除籍された人など、その戸籍における「歴史」がすべてわかるようになっています。
この戸籍謄本は、以下のような場合に必要となることがあります:
- 家系図を作成したいとき
- 親族関係を証明する必要があるとき(例:長年の友人でも、戸籍上は関係がないことを証明する場合など)
- 過去の婚姻歴や離婚歴などをすべて確認したいとき
このように、戸籍謄本は、その戸籍における「過去から現在までのすべて」を証明する強力な書類と言えるでしょう。
戸籍抄本でわかること:あなたの情報にフォーカス
戸籍抄本は、戸籍謄本から必要な情報だけを抜き出したものです。そのため、通常は「あなた」や「あなたの配偶者」「あなたの子供」など、特定の個人に焦点を当てた情報が記載されています。例えば、あなたの戸籍抄本には、あなたの氏名、生年月日、父母の氏名、そしてあなたが結婚している場合は配偶者の氏名などが記載されます。
戸籍抄本は、以下のような日常生活でよくある手続きで利用されることが多いです:
- 婚姻届の提出 : あなたと相手が婚姻の意思があることを証明するために、それぞれ戸籍抄本を提出します。
- 運転免許証の更新 : 氏名に変更があった場合などに、身分を証明するために使われることがあります。
- 就職や転職 : 履歴書に記載した情報と一致するかどうかを確認するために、企業から提示を求められることがあります。
要するに、戸籍抄本は「あなた」という個人が、どのような家族構成で、どのような身分関係にあるのかを証明するための、より身近な証明書なのです。
取得方法の違い:どこで、どうやって?
戸籍謄本も戸籍抄本も、取得する方法は基本的に同じです。本籍地の市区町村役場に「戸籍証明書交付申請書」を提出することで取得できます。申請時には、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)が必要です。
申請できる人は、原則として戸籍に記載されている本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)です。それ以外の方が取得するには、委任状など特別な理由が必要になります。
また、最近では郵送での申請や、一部の自治体ではオンラインでの申請も可能になってきています。お住まいの地域の役所のウェブサイトなどで、最新の情報を確認してみましょう。
取得にかかる手数料は、戸籍謄本も戸籍抄本も同じで、1通あたり450円(令和5年4月1日現在)です。ただし、役所によっては条例で異なる場合がありますので、事前に確認しておくと安心です。
どちらを選ぶべきか:手続きによって変わる!
「結局、どちらを選べばいいの?」という疑問に答えるなら、それは「なぜ戸籍が必要なのか」という目的によって決まります。先ほども触れましたが、手続きごとに求められる書類が異なります。
例えば、
- 相続手続き : 遺産分割協議書を作成したり、不動産の名義を変更したりする際には、亡くなった方だけでなく、その相続人全員の関係を証明する必要があります。この場合、戸籍謄本で「戸籍のつながり」をすべて確認できる方が適しています。
- 婚姻届 : あなた自身の婚姻の事実を証明できればよいので、戸籍抄本で十分な場合が多いです。
- パスポート申請 : 国籍を証明するために、戸籍謄本が必要とされることがあります。
不明な場合は、申請先の窓口に「戸籍謄本と抄本のどちらが必要ですか?」と確認するのが一番確実です。
取得時の注意点:知っておくと便利なこと
戸籍謄本や抄本を取得する際に、いくつか知っておくと便利な注意点があります。まず、本籍地が遠方にある場合、役所に出向くのが難しいことがあります。その際は、郵送での申請を検討しましょう。必要書類や切手、返信用封筒などを準備する必要があります。
また、戸籍はコンピューター化されている場合と、されていない場合があります。コンピューター化されている場合、戸籍謄本は「全部事項証明書」、戸籍抄本は「個人事項証明書」という名称で発行されます。名称が変わっても、記載されている内容は基本的に同じですので、安心してください。
さらに、戸籍には有効期限がありません。しかし、各種手続きにおいては、発行から一定期間内(例えば3ヶ月以内)のものを求められることがあります。必要な時に、最新のものを取得するように心がけましょう。
最後に、戸籍謄本と抄本の違いは、記載されている情報量にあります。戸籍謄本は「全員」、戸籍抄本は「一部の人」の情報です。どちらが必要かは、手続きの目的によって異なりますので、事前に確認し、スムーズな手続きを目指しましょう。もし迷ったときは、申請先に問い合わせるのが一番確実です。