「mp4」と「mpeg4」という言葉、動画を扱う上でよく耳にしませんか?実は、このふたつは密接に関係していますが、全く同じものではありません。本記事では、mp4 と mpeg4 の 違いについて、わかりやすく、そして詳しく解説していきます。
mp4 と mpeg4 の 違い:基本を理解しよう!
mp4 と mpeg4 の 違いを理解するには、まず「mpeg」という大きな枠組みから説明する必要があります。MPEG(Moving Picture Experts Group)は、動画や音声の圧縮技術に関する国際的な標準規格を策定しているグループのことです。そして、「MPEG-4」はそのMPEGグループが策定した規格のシリーズの一つなのです。
一方、「MP4」というのは、MPEG-4規格で定義されている「コンテナフォーマット」の一つを指します。コンテナフォーマットというのは、動画データ、音声データ、字幕データなどをまとめて格納するための「箱」のようなものです。 このコンテナフォーマットであるMP4が、MPEG-4という規格の中で最も広く使われるようになったため、しばしば混同されることがあるのです。
まとめると、以下のようになります。
- MPEG-4: 動画や音声の圧縮方法やデータ構造などを定めた 規格全体
- MP4: MPEG-4規格で使われる コンテナフォーマットの一つ (拡張子は.mp4)
MP4コンテナの中身:何が格納されているの?
MP4コンテナは、非常に柔軟性の高い「箱」です。中には、様々な種類のデータを格納することができます。主なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 動画ストリーム: 映像そのもののデータ。MPEG-4 AVC (H.264) や HEVC (H.265) といった圧縮方式がよく使われます。
- 音声ストリーム: 音そのもののデータ。AAC (Advanced Audio Coding) が一般的です。
- 字幕ストリーム: 映像に表示される文字情報。
- メタデータ: ファイル名、作成者、タイトルなどの情報。
このように、MP4コンテナは、映像と音声だけでなく、字幕やその他の情報もまとめて管理できるため、利便性が高いのです。
MPEG-4の進化とMP4の普及
MPEG-4規格は、当初から単一の技術ではなく、様々な機能や圧縮方式を組み合わせたものとして設計されました。MPEG-4 Part 2 (Visual) や MPEG-4 Part 3 (Audio) など、細かく分かれています。
しかし、MPEG-4規格の中で特に重要視され、広く普及したのが「MPEG-4 Part 10, Advanced Video Coding (AVC)」、通称「H.264」です。そして、このH.264で圧縮された映像や音声を格納するコンテナフォーマットとして、MP4が最適なものとして選ばれ、普及していったのです。
つまり、 「MPEG-4規格」という大きな傘の下で、「H.264」という高圧縮な映像技術と、「MP4」という汎用性の高いコンテナフォーマットが組み合わさることで、今日の動画ファイルとして非常にポピュラーな存在になった と言えます。
MP4ファイルの特徴:なぜ便利なの?
MP4ファイルがこれほどまでに普及しているのには、いくつかの理由があります。その特徴を見ていきましょう。
まず、 高い圧縮率 が挙げられます。MPEG-4 AVC (H.264) などの技術を使うことで、画質をあまり落とさずにファイルサイズを小さくできます。これにより、インターネットでのストリーミング再生や、ストレージ容量の節約に貢献しています。
次に、 幅広い互換性 です。ほとんどのスマートフォン、タブレット、パソコン、テレビなどで再生できるため、様々なデバイスで動画を楽しめます。
さらに、 ストリーミング再生への適性 も高いです。ファイル全体をダウンロードする前に、冒頭部分から再生を開始できるため、待ち時間が少なく、快適に動画を視聴できます。これは、YouTubeなどの動画共有サイトでよく利用されている理由の一つです。
これらの特徴をまとめると、以下のようになります。
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 高い圧縮率 | 画質を維持しながらファイルサイズを小さくできる |
| 幅広い互換性 | 多くのデバイスで再生可能 |
| ストリーミング再生 | ダウンロード前に再生を開始できる |
MPEG-4と他の動画規格との関係
MPEG-4規格は、その後の動画技術の発展にも大きく影響を与えました。例えば、MPEG-4 AVC (H.264) は、現在でも非常に広く使われています。
また、MPEG-4規格をベースとして、さらに進化・派生した規格も存在します。例えば、MPEG-7やMPEG-21など、それぞれ異なる目的を持った規格が策定されています。
しかし、一般的に「MPEG-4」という言葉を聞いて、私たちが普段目にしたり、扱ったりする動画ファイルは、多くの場合MP4コンテナにMPEG-4 AVC (H.264) で圧縮された映像・音声が入っているものを指すことが多いでしょう。
MP4と「.mov」ファイルの違い
MP4ファイルと混同されやすいものに、「.mov」ファイルがあります。これは、Apple社が開発したQuickTimeフォーマットのコンテナです。
.movファイルもMP4ファイルと同様に、映像、音声、字幕などを格納できます。しかし、使用されるコーデック(圧縮・解凍の方式)や、内部のデータ構造に違いがあります。
かつてはMac環境での動画編集などでよく使われていましたが、現在ではMP4ファイルの方がより汎用的で、多くの環境で互換性があるため、主流となっています。
MP4と「.avi」ファイルの違い
次に、「.avi」ファイルについても触れておきましょう。AVI(Audio Video Interleave)は、Microsoft社が開発したコンテナフォーマットです。
.aviファイルは、比較的古い規格ですが、多くの動画プレーヤーで再生可能です。しかし、MP4ファイルと比較すると、圧縮効率が悪く、ファイルサイズが大きくなりがちです。また、最新の動画技術に対応していない場合もあります。
MP4ファイルは、より効率的な圧縮や、多種多様なコーデックへの対応、ストリーミング再生への適性など、多くの点でAVIファイルよりも優れていると言えます。
MP4と「.mkv」ファイルの違い
「.mkv」ファイル、またはMatroska(マトロスカ)は、近年人気が高まっているオープンソースのコンテナフォーマットです。
.mkvファイルは、MP4ファイルと同様に、映像、音声、字幕、チャプター情報など、非常に多くの種類のデータを格納できます。特に、複数の音声トラックや字幕トラックを同時に格納するのに適しています。
しかし、MP4ファイルと比較すると、一部の古いデバイスやソフトウェアでは再生できない場合があります。それでも、その柔軟性の高さから、高画質な動画ファイルや、多言語対応の動画ファイルとして利用されることが増えています。
まとめ:mp4 と mpeg4 の 違いを正しく理解しよう
mp4 と mpeg4 の 違いについて、基本から応用まで詳しく見てきました。簡単にまとめると、MPEG-4は規格全体を指し、MP4はその規格で使われる代表的なコンテナフォーマットです。このふたつの関係性を理解することで、動画ファイルに関する知識がより深まるはずです。