InDesign と Illustrator の 違い、これでスッキリ!デザイン制作の基本をマスターしよう

デザインの世界には、たくさんの便利なツールがありますが、特に「InDesign(インデザイン)」と「Illustrator(イラストレーター)」は、どちらもAdobe(アドビ)が出している有名なソフトですよね。でも、「何が違うの?」「どっちを使えばいいの?」と迷っている人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな InDesign と Illustrator の 違い を、分かりやすく、そして楽しく解説していきます。この違いを理解すれば、あなたのデザイン制作がもっとスムーズに進むはずですよ!

InDesign と Illustrator の 主な違い:何のためにあるの?

まず、一番大切なのは、それぞれのソフトが「何のために作られたのか」という目的の違いです。InDesign は、主に 「ページもの」のデザイン を得意としています。例えば、雑誌、書籍、パンフレット、カタログ、プレゼン資料など、たくさんのページをまとめてレイアウトしたいときに大活躍します。文字をきれいに配置したり、写真やイラストを効果的に並べたりすることに特化しているんです。

一方、Illustrator は、 「イラストやロゴ、アイコンなどのグラフィック作成」 に特化したソフトです。ベクター形式という、拡大・縮小しても画質が劣化しないデータを作れるのが最大の特徴。だから、ロゴマークのようにどんなサイズでもきれいに見せたいものや、色鮮やかなイラストを描くのにぴったりなんです。Webサイトで使うアイコンや、Tシャツにプリントするデザインなんかにもよく使われます。

これらの違いをまとめると、以下のようになります。

  • InDesign: ページレイアウト、DTP(デスクトップパブリッシング)
  • Illustrator: グラフィックデザイン、ロゴ、イラスト、アイコン作成

InDesign の 得意なこと・Illustrator の 得意なこと

さらに詳しく見ていきましょう。InDesign は、たくさんのテキスト(文字)を扱うのが得意です。文字の大きさや行間、文字と文字の間隔などを細かく調整でき、大量の文章でも読みやすく、美しく組むことができます。また、表組みも作りやすく、デザインの一部として組み込むことも簡単です。

InDesign でできることの例をいくつか挙げますね。

  1. 雑誌や書籍のページデザイン
  2. パンフレットやカタログのレイアウト
  3. プレゼンテーション資料の作成
  4. 電子書籍(EPUB)の作成

一方、Illustrator は、絵を描いたり、図形を組み合わせたりするのが得意です。ペンツールを使えば、滑らかな曲線を描くことができますし、パスファインダー機能を使えば、図形を組み合わせて複雑な形を作ることも自由自在。色を塗るのも、グラデーションや複雑な色の表現が可能です。

Illustrator でよく使われる機能:

機能名 できること
ペンツール 自由な線や図形を描く
パスファインダー 図形を結合したり、切り抜いたりする
ブラシツール 手書き風の線やテクスチャを表現する

写真の扱い:InDesign vs Illustrator

写真の扱いも、両者の違いが表れる部分です。InDesign は、写真などの画像データを「配置」して、レイアウトの中に組み込むのが得意です。写真のサイズを変えたり、トリミング(切り抜き)したり、枠をつけたりする作業は簡単に行えます。

InDesign での写真配置のメリット:

  • 大量の写真を効率的に配置できる
  • 写真の周りに文字を流し込む(回り込み)設定がしやすい
  • 写真の明るさやコントラストなどを簡単に調整できる(ただし、本格的な編集はPhotoshopがおすすめ)

Illustrator でも写真の配置は可能ですが、InDesign ほどページレイアウトに特化しているわけではありません。Illustrator は、写真そのものを加工するというよりは、写真にイラストを重ねたり、写真の一部を切り抜いてデザインの一部として使ったりするような、グラフィックの一部として扱うことが多いです。写真の編集・加工がメインであれば、Photoshop(フォトショップ)という別のソフトを使うのが一般的です。

文字の扱い:InDesign vs Illustrator

文字を扱う点でも、両者には明確な違いがあります。InDesign は、前述したように、文字組(文章をきれいに並べること)に非常に優れています。段落スタイルや文字スタイルといった機能を使えば、デザイン全体で統一感のある文字組みを効率的に実現できます。長文を扱う際の、読みやすさへの配慮が随所に感じられる設計になっています。

InDesign における文字組のポイント:

  1. 禁則処理: 行末の句読点や、行頭の閉じ括弧などを適切に処理し、見た目を美しくします。
  2. ベースラインシフト: 文字の行揃えを、文字のベースライン(文字が並ぶ基準線)に合わせることができます。
  3. 文字間隔・行間隔の調整: 細かい部分まで調整して、文章の読みやすさを向上させます。

一方、Illustrator も文字を扱うことができますが、InDesign ほどの高度な文字組機能はありません。ロゴタイプ(文字をデザイン化したもの)や、短いキャッチコピー、見出しなどのデザインには向いています。文字をオブジェクト(図形のようなもの)として扱えるので、文字を変形させたり、複雑な装飾を施したりするのに適しています。

データ形式と出力:InDesign vs Illustrator

作成したデザインをどのような形式で出力するのか、という点でも違いがあります。InDesign は、印刷用のPDFや、Web用のEPUBなど、最終的な成果物として形にするための出力機能が充実しています。

InDesign での主な出力形式:

  • 印刷用PDF(高解像度、トンボ付きなど)
  • Web用PDF
  • EPUB(電子書籍フォーマット)
  • HTML

Illustrator で作成したデータは、主にベクター形式(.ai ファイル)として保存されます。このベクター形式は、前述したように、拡大・縮小しても画質が劣化しないという大きなメリットがあります。そのため、ロゴやイラストを様々なサイズで使いたい場合に最適です。もちろん、Illustrator からもPDFやJPEG、PNGなどの形式で書き出すことは可能ですが、InDesign のようなページレイアウトソフトとしての出力機能とは、少し方向性が異なります。

ソフト名 得意なデータ形式 出力の強み
InDesign indd (InDesignネイティブ形式) 印刷用PDF、電子書籍
Illustrator ai (Illustratorネイティブ形式), eps, svg ベクターデータ(拡大縮小に強い)、Web用画像

結局、どっちを使えばいいの?

ここまで、InDesign と Illustrator の違いを見てきましたが、「じゃあ、結局どっちを選べばいいの?」というのが一番知りたいところですよね。これは、あなたが「何を作りたいか」によって決まります。

もし、あなたが:

  • 雑誌、本、パンフレット、カタログなどのページものを作りたい
  • たくさんの文章をきれいに配置したい
  • プレゼン資料やレポートなど、情報伝達を目的とした資料を作りたい

という場合は、 InDesign を使うのがおすすめです。

一方、もしあなたが:

  1. ロゴマークやアイコンを作りたい
  2. イラストやキャラクターを描きたい
  3. Webサイトやアプリで使うグラフィック要素を作りたい
  4. 色鮮やかな図形やデザインパーツを作りたい

という場合は、 Illustrator が適しています。

もちろん、実際には、これらのソフトを組み合わせて使うこともよくあります。例えば、Illustrator でロゴやイラストを作成し、その素材をInDesign に配置して、最終的なページデザインを完成させる、といった具合です。それぞれのソフトの得意なことを理解し、目的に合わせて使い分けることが、効率的でクオリティの高いデザイン制作につながります。

これで、InDesign と Illustrator の違いが、少しはクリアになったのではないでしょうか。どちらのソフトも、使いこなせればデザインの可能性がぐっと広がるはずです。ぜひ、色々な機能に触れて、あなただけの素敵なデザインを生み出してくださいね!

関連記事: