「弊社」と「御社」の違いとは?ビジネスシーンで迷わないための徹底解説

ビジネスの場面でよく耳にする「弊社」と「御社」。これらはどちらも会社を指す言葉ですが、誰が誰に対して使っているかによって意味が変わります。 「弊社」と「御社」の違いを正しく理解することは、円滑なコミュニケーションのために非常に重要です。 この記事では、それぞれの言葉の意味、使い方、そして具体的な例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。

1. 基本的な意味と使い分け

まずは、それぞれの言葉の基本的な意味から見ていきましょう。「弊社(へいしゃ)」は、自分たちの会社をへりくだって言う言葉です。例えば、自分がA社に勤めている場合、A社のことを「弊社」と言います。これは、相手への敬意を示すための謙譲語にあたります。

一方、「御社(おんしゃ)」は、相手の会社を敬って言う言葉です。こちらも、相手への敬意を示すための尊敬語にあたります。例えば、A社に勤めている人がB社の人と話す場合、B社のことを「御社」と言います。つまり、 「弊社」は「自分の会社」、「御社」は「相手の会社」 を指す、という基本的な違いをまず押さえましょう。

これらの使い分けを間違えると、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性があります。特に、ビジネスの初期段階や、まだ関係性が浅い相手とのやり取りでは、正確な言葉遣いが信頼関係の構築に繋がります。

  • 弊社 :自分の会社のこと(謙譲語)
  • 御社 :相手の会社のこと(尊敬語)

2. 誰が誰に対して使うのか?

「弊社」と「御社」の使い分けは、話している「立場」と「相手」によって決まります。自分がA社の人間として、B社の人間と話す場合を考えてみましょう。この場合、A社の人間である自分は、自分の会社であるA社を「弊社」と言います。

そして、話している相手であるB社のことは、敬意を込めて「御社」と言います。例えば、「弊社の製品は、御社のニーズに合致すると考えております。」といった具合です。ここで、「弊社の製品は、弊社のニーズに合致すると考えております。」と言ってしまうと、自分の会社のことばかり話しているように聞こえ、相手への配慮が足りない印象を与えてしまいます。

逆に、B社の人間がA社の人間と話す場合は、B社のことを「弊社」と言い、A社のことを「御社」と言います。つまり、 常に「自分たちの会社」を「弊社」、「相手の会社」を「御社」 と呼ぶのが基本となります。

3. 具体的な場面での例文

では、実際のビジネスシーンでどのように使われるのか、具体的な例文を見ていきましょう。

【A社(自社)の担当者がB社(相手)に話す場合】

  1. 「弊社の〇〇(製品名)について、ご説明させていただけますでしょうか。」
  2. 「御社の△△(事業内容)に大変興味を持っております。」
  3. 「もしよろしければ、弊社と御社で協力できる点について、意見交換させてください。」

【B社(自社)の担当者がA社(相手)に話す場合】

この場合は、B社の担当者はB社のことを「弊社」、A社のことを「御社」と言います。例えば、「弊社の最新技術は、御社の〇〇(課題)の解決に貢献できると考えております。」といった表現になります。

話している人(会社) 指している会社 使う言葉
A社 A社 弊社
A社 B社 御社
B社 B社 弊社
B社 A社 御社

4. メールや電話での注意点

メールや電話で「弊社」と「御社」を使う際にも、いくつか注意点があります。まず、メールの件名で「【〇〇株式会社】弊社サービスのご提案」のように、自分の会社名を名乗るのは一般的ですが、本文中で相手の会社を指す場合は必ず「御社」を使用します。

電話の場合も同様で、相手の会社名を尋ねる際に「御社はどちら様でしょうか?」のように、相手を敬う言葉遣いを心がけましょう。また、自分の会社について話す際は「弊社の担当者が…」のように、「弊社」を使います。 相手の会社名が分かっている場合は、相手の会社名を直接呼ぶこともできますが、その場合でも「御社」という言葉を添えることで、より丁寧な印象 になります。

  • メールの件名:自分の会社名を明記
  • メール本文:相手の会社は「御社」
  • 電話:相手への敬意として「御社」を使用

5. 言い換え表現とニュアンスの違い

「弊社」と「御社」以外にも、会社を指す言葉はいくつか存在します。例えば、自分の会社を指す言葉としては、「当方(とうほう)」や「小社(しょうしゃ)」などがあります。「当方」は、やや事務的な響きがあり、「小社」は「弊社」よりもさらに謙譲の度合いが強い表現です。

相手の会社を指す言葉としては、「貴社(きしゃ)」があります。「貴社」は「御社」と同様に相手の会社を敬って言う言葉ですが、一般的には書き言葉(メールや文書など)で使われることが多いです。話し言葉では「御社」がより自然に聞こえます。 それぞれの言葉に微妙なニュアンスの違いがある ことを理解しておくと、より状況に応じた適切な言葉遣いができます。

  1. 当方 :自分の会社(やや事務的)
  2. 小社 :自分の会社(さらに謙譲の度合いが強い)
  3. 貴社 :相手の会社(主に書き言葉)

6. 相手との関係性による使い分け

「弊社」と「御社」の使い分けは、相手との関係性によっても少し意識すると良いでしょう。一般的には、初対面やビジネスの初期段階では、丁寧さを重視して「御社」を使うのが基本です。

しかし、取引が長くなり、相手との関係が深まった場合でも、改まった場面では「御社」を使うのが失礼にあたるわけではありません。むしろ、 常に相手を敬う姿勢を示すことは、良好な関係を維持するために重要 です。ただし、あまりにもくだけた会話の中で、頻繁に「御社」を連呼すると、かえって距離を感じさせてしまう可能性もゼロではありません。状況に応じて、自然な言葉遣いを心がけましょう。

関係性 推奨される言葉遣い 補足
初対面・初期段階 御社(丁寧さ重視)
関係が深い 御社(改まった場面)/ 〇〇様(親しみを込めて) 状況により使い分ける

7. 言い間違えたときの対処法

もし、「弊社」と「御社」を言い間違えてしまったとしても、過度に心配する必要はありません。多くのビジネスパーソンは、相手の意図を汲み取ってくれます。

もし間違いに気づいたら、すぐに訂正するのではなく、まずは落ち着いて会話を続けましょう。そして、もし相手がその間違いに気づいていないようであれば、そのまま進めるのが自然な場合もあります。しかし、あまりにも頻繁に間違えたり、相手を不快にさせるような言い間違いをしてしまった場合は、タイミングを見て「失礼いたしました、〇〇(正しい言葉)でした。」のように、簡潔に訂正するのが良いでしょう。 大切なのは、間違いを犯したことよりも、その後の誠実な対応 です。

  • 間違いに気づいても、まずは落ち着いて会話を続ける。
  • 相手が気づいていない場合は、そのまま進めることも検討。
  • 必要であれば、簡潔に訂正する。

8. まとめ

「弊社」と「御社」の違いについて、ここまで詳しく解説してきました。基本的な使い分けは「弊社=自分の会社」「御社=相手の会社」ですが、その背景には相手への敬意が込められています。これらの言葉を正しく使い分けることは、ビジネスシーンでの円滑なコミュニケーションや、相手との信頼関係構築に不可欠です。

今回学んだことを参考に、ぜひ自信を持ってビジネスシーンで「弊社」と「御社」を使い分けてみてください。

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