「有給」と「年休」、これらの言葉を聞いたことはありますか?どちらも働く私たちにとって大切な「お休み」のことですが、実は「有給」と「年休」の違いは、ほとんどありません。この二つの言葉は、同じ「年次有給休暇」のことを指す場合がほとんどなんです。では、なぜ二つの言葉があるのでしょうか?そして、その違いや、知っておくべきポイントを、わかりやすく解説していきますね!
「年次有給休暇」という正式名称と、その意味
「年休」や「有給」と呼ばれるお休みの正式名称は、「年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)」といいます。これは、労働基準法という法律で定められている、働く人にもらえる権利なんです。つまり、働いている人が、お給料をもらいながら休むことができる、特別な休暇のことなんですよ。
この年次有給休暇は、
- 一定期間、会社で働いていること
- 定められた出勤率を満たしていること
という条件を満たせば、誰にでも与えられる権利です。 この権利をしっかりと理解し、活用することは、自分自身の心と体の健康を守る上でとても大切です。
取得できる日数は、勤続年数や勤務時間によって変わってきます。例えば、
- 週5日以上勤務している場合:入社半年で10日付与
- 週4日以下勤務している場合:取得日数に応じて比例付与
といったように、細かく定められています。会社によっては、さらに独自の休暇制度を設けている場合もありますが、基本となるのはこの法律で定められた年次有給休暇です。
「有給」と「年休」の呼び方の違い
では、なぜ「有給」と「年休」という二つの呼び方があるのでしょうか?これは、単に言葉の省略や、慣習によるものが多いのです。一般的に、「年次有給休暇」を短く言うときに、「年休」や「有給」という言葉が使われます。どちらを使っても、意味するところは同じ「年次有給休暇」を指していると考えてほぼ間違いありません。
例えば、
| 正式名称 | 一般的な呼び方 |
|---|---|
| 年次有給休暇 | 年休、有給 |
というような関係性です。どちらの言葉が使われても、「お給料が出ながら休める日」のことだと理解しておけば大丈夫です。
有給休暇の取得義務について
実は、2019年4月から、年次有給休暇の取得が、一部の会社では義務化されました。これは、せっかくの有給休暇を、労働者がちゃんと使えるようにするための制度なんです。
具体的には、
- 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者
に対して、
- 年5日
- 付与された有給休暇のうち、5日
このどちらか少ない日数について、会社が計画的に取得させる必要があります。これは、会社側が「いつ休んでもらおうか」を決め、労働者に通知して取得させる方法です。例えば、
- 会社があらかじめ定めた休業日
- 特別な研修期間
- リフレッシュ休暇
など、様々な方法が考えられます。
有給休暇の繰り越しについて
もし、その年に使いきれなかった有給休暇はどうなるのでしょうか?心配いりません。年次有給休暇は、最大で2年間繰り越すことができます。
つまり、
- 1年目に10日付与され、5日使った場合
- 残りの5日は、2年目に繰り越されます。
さらに、2年目にも10日付与されたとすると、合計15日の有給休暇が使えることになります。ただし、繰り越せるのは2年間なので、3年目には繰り越した分は消滅してしまいます。 計画的に有給休暇を取得することは、本来の権利を最大限に活かすために重要です。
有給休暇の時効について
「時効」という言葉を聞いたことがありますか?これは、ある期間が過ぎると、その権利がなくなってしまうことです。年次有給休暇にも、時効があります。
先ほども触れましたが、
- 1年目に付与された有給休暇
- 2年目に繰り越された有給休暇
これらの休暇は、2年間の繰り越し期間が過ぎると、消滅してしまいます。つまり、
- 2023年4月1日に付与された有給休暇は、2025年4月1日には使えなくなります。
なので、いつまでに何日使えるのか、しっかりと把握しておくことが大切です。
有給休暇の買い取りについて
「有給休暇を買い取ってもらえませんか?」と考える人もいるかもしれません。しかし、原則として、年次有給休暇は買い取ってもらうことはできません。
これは、
- 年次有給休暇は、労働者の休息やリフレッシュのために与えられる権利
- お金で換算できるものではない
という考え方に基づいています。ただし、例外として、
- 会社を退職するとき
- 退職時に残っている有給休暇
この場合は、会社と合意があれば、買い取ってもらえることがあります。しかし、これもあくまで「例外」であり、普段から有給休暇はきちんと取得することが推奨されています。
有給休暇の付与日数と計算方法
年次有給休暇が何日もらえるかは、働く日数によって決まります。一般的なフルタイム勤務の場合、
- 入社半年で10日付与
- 1年ごとに1日ずつ増え、最大で20日
となります。パートやアルバイトなど、週の勤務日数が少ない場合は、勤務日数に応じて比例して付与されます。
計算方法の例として、
| 週の所定労働日数 | 年間の所定労働日数 | 付与日数(入社半年) |
|---|---|---|
| 5日 | 217日〜244日 | 10日 |
| 4日 | 169日〜216日 | 8日 |
| 3日 | 121日〜168日 | 6日 |
このように、細かい計算があります。 自分の正確な付与日数を知っておくことは、計画的に休暇を取る上で非常に役立ちます。
「有給」と「年休」は、ほとんどの場合同じ「年次有給休暇」を指しており、どちらの言葉を使っても意味は通じます。法律で定められた大切な権利ですので、しっかりと理解して、上手に活用してくださいね!