知っておきたい! 叙勲 と 褒章 の 違いとは?

「叙勲(じょくん)」と「褒章(ほうしょう)」、どちらも国から功績をたたえられた人へ贈られるものですが、その「叙勲 と 褒章 の 違い」について、実はよく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、叙勲は国の発展に貢献した人へ、褒章は社会のさまざまな分野で優れた行いをした人へ贈られる、という違いがあります。この二つについて、詳しく見ていきましょう。

叙勲 と 褒章 の 根本的な違い:対象と目的

まず、叙勲と褒章の最も大きな違いは、その「対象」と「目的」にあります。叙勲は、国の政治や経済、文化などの分野で、長年にわたり多大な功績を挙げ、国の発展に貢献した方々に対して贈られるものです。例えば、長く国会議員を務めた方や、科学技術の発展に大きく貢献した研究者などが叙勲の対象となることがあります。 叙勲は、まさに国という大きな舞台での活躍を称えるものと言えるでしょう。

一方、褒章は、叙勲ほど国の発展に直接的・大規模な貢献をしたわけではないけれど、社会をより良くするために、それぞれの分野で目覚ましい活躍をしたり、人々の模範となるような善行を行ったりした方々に対して贈られます。例えば、長年地域のためにボランティア活動を続けた方や、危険を顧みずに人命を救った方などが褒章の対象となり得ます。

  • 叙勲
    • 対象:国の発展に多大な貢献をした人物
    • 目的:国家への貢献を公に称える
  • 褒章
    • 対象:社会の各分野で優れた行いをした人物
    • 目的:社会への貢献や善行を称える

叙勲の具体的な種類と象徴するもの

叙勲には、その功績の度合いや分野に応じて、いくつかの種類があります。代表的なものとしては、旭日章(きょくじつしょう)、瑞宝章(ずいほうしょう)、文化勲章(ぶんかくんしょう)などがあります。旭日章は、政治、経済、社会の分野で功労のあった方に、瑞宝章は、公務等に長年従事し、功績を挙げた方に贈られます。文化勲章は、学術、芸術などの分野で顕著な功績を挙げた方に贈られる、特に権威のある勲章です。

これらの勲章は、単に「すごいね」と拍手するだけでなく、その方の長年の努力や献身を形にして示すものです。勲章を授与されるということは、その方の功績が国によって正式に認められ、社会全体に知れ渡るということです。これは、授与された本人だけでなく、そのご家族にとっても大変名誉なことです。

叙勲における勲章の種類は、以下のように分けられます。

勲章の種類 主な対象
旭日章 政治、経済、社会の分野
瑞宝章 公務、教育、医療などの分野
文化勲章 学術、芸術、文学などの分野

褒章の多様な姿:どんな人が対象になる?

褒章は、叙勲と比べると、より身近で多様な分野での活躍を称えるものです。そのため、褒章の種類も細かく分かれています。例えば、社会に貢献したことに対して贈られる「藍綬褒章(らんじゅほうしょう)」、学術や芸術、スポーツなどで優れた成果を上げた人に贈られる「紫綬褒章(しじゅほうしょう)」、長年にわたり地域社会の発展に尽くした人に贈られる「緑綬褒章(りょくじゅほうしょう)」などがあります。

「紫綬褒章」は、例えば有名な作家さんがその作品で、あるいはスポーツ選手が記録を達成した際に授与されることがあります。また、「緑綬褒章」は、地域のボランティア活動を長年続け、地域の人々から感謝されている方などが対象になることが多いです。このように、褒章は、私たちの生活のすぐそばにあるような、さまざまな善行や努力を称えるためのものなのです。

  1. 藍綬褒章:社会に貢献したこと
  2. 紫綬褒章:学術、芸術、スポーツなどの分野での優れた成果
  3. 緑綬褒章:地域社会の発展への尽力

叙勲と褒章の申請・決定プロセス:誰がどう決めるの?

叙勲や褒章は、自動的にもらえるものではありません。当然、どのような功績が評価されるのか、厳密な基準があります。まず、叙勲の候補者は、各省庁や団体の長などからの推薦に基づいて選ばれます。そして、内閣府にある「賞勲局(しょうくんきょく)」というところで、その功績が審査されます。最終的には、内閣の閣議で決定され、天皇陛下が認証されるという流れになります。

褒章の場合も、同様に推薦に基づいて選ばれます。推薦元は、叙勲よりもさらに幅広く、各界の有力者や団体、場合によっては一般の人からの推薦も受け付けることがあります。褒章についても、賞勲局が審査を行い、内閣で決定されます。このように、どちらも非常に厳格なプロセスを経て、功績が認められた人に贈られるのです。

申請・決定プロセスの主な流れは以下の通りです。

  • 推薦(各省庁、団体、個人など)
  • 賞勲局での審査
  • 内閣での決定
  • 天皇陛下による認証

叙勲と褒章の儀式:授与の場

叙勲や褒章を受けることになった場合、その授与の儀式も重要なポイントです。叙勲は、基本的には皇居で行われる「勲章親授式(くんしょうしんじゅしき)」で、天皇陛下から直接勲章を授与されます。これは、天皇陛下が国の最高代表として、その功績を称えるという、非常に光栄な儀式です。

一方、褒章の授与は、叙勲ほど頻繁に天皇陛下が直接行われるわけではありません。多くの場合、内閣総理大臣や関係大臣などが授与を行います。ただし、紫綬褒章など、特に功績が顕著な場合には、天皇陛下が親授されることもあります。どちらにしても、公にその功績が称えられる、厳粛な場となります。

授与の場所や方法についてまとめると、以下のようになります。

叙勲 褒章
主な授与者 天皇陛下 内閣総理大臣、大臣など(顕著な場合は天皇陛下)
主な場所 皇居 関係省庁など

叙勲と褒章、それぞれの意義

叙勲と褒章は、どちらも国が国民の功績を称えるための制度ですが、その意義は少し異なります。叙勲は、国の歴史や発展という大きな流れの中で、その方にどれだけ貢献があったのか、という点を重視します。そのため、叙勲を受けた方は、まさに国の礎を築いた、あるいは国の発展に欠かせない役割を果たした人物として、社会に認識されることになります。

褒章は、より広範な社会貢献や、個人の持つ優れた資質、道徳的な行為などを称えることを目的としています。これは、社会全体が「こういう素晴らしい行動をしよう」「こんな努力をしよう」と目指す、お手本となるような行動を奨励する効果もあります。つまり、叙勲が「国家への貢献」に重きを置くのに対し、褒章は「社会への貢献」や「個人の美徳」に光を当てる、と言えるでしょう。

叙勲と褒章、まとめると

さて、ここまで「叙勲 と 褒章 の 違い」について、色々な角度から見てきました。おさらいすると、叙勲は国の発展に大きく貢献した人に贈られ、褒章は社会のさまざまな分野で優れた行いをした人に贈られる、という違いがあります。どちらも大変名誉なことであり、その方の功績が国によって認められた証です。

どちらも、その方の努力や献身、そして社会への貢献が、目に見える形で称えられる素晴らしい制度です。これらの制度があることで、人々はより一層、社会のために頑張ろう、という気持ちになるのではないでしょうか。

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