「もしかして、流産?」と不安になった経験はありませんか? 生理のような出血があったとしても、それが生理なのか、それとも流産なのか、見分けるのは難しいことがあります。このページでは、 流産と生理の違い について、わかりやすく解説していきます。
出血の時期と量:流産と生理の最もわかりやすい違い
流産と生理の最も大きな違いは、出血が起こる「時期」と「量」にあります。生理は、妊娠が成立しなかった場合に、子宮内膜が剥がれ落ちて起こる周期的な出血です。通常、月経周期が決まっており、出血量も予測しやすいのが特徴です。
一方、流産は妊娠が成立した後に、残念ながらお腹の赤ちゃんが育たなくなることです。そのため、流産による出血は、本来生理が来るはずの時期よりも前であったり、後であったりと、不規則なタイミングで起こることが多いのです。また、出血量も生理よりも多かったり、少なかったりと、変動が大きい傾向があります。
出血のタイミングと量、そしてそれに伴う体調の変化は、流産と生理を見分ける上で非常に重要な手がかりとなります。
- 生理の場合:
- 決まった周期で起こる
- 出血量がある程度安定している
- 腹痛などの症状も周期に合わせて予測しやすい
- 流産の場合:
- 妊娠の可能性がある時期(最終月経から数週間後など)に起こる
- 出血量が多い、または茶色っぽいおりもののような場合もある
- 腹痛が強く、生理痛とは異なる痛みを感じることがある
腹痛の性質:流産と生理、痛みの違い
出血だけでなく、腹痛の性質も、流産と生理の違いを知る上で参考になります。生理の時の腹痛は、子宮の収縮によるものが多いとされており、ズキズキとした痛みや、鈍い痛みとして感じられることが一般的です。人によっては、腰痛を伴うこともあります。
これに対し、流産による腹痛は、生理痛よりも強い痛みを感じることがあります。特に、子宮が収縮して内容物を排出しようとする際に起こる痛みは、波があるような激しい痛みを伴うことがあります。また、背中や下腹部全体に広がるような痛みを感じる人もいます。
| 症状 | 生理 | 流産 |
|---|---|---|
| 腹痛 | ズキズキ、鈍い痛み。比較的予測しやすい。 | 波がある激しい痛み、持続的な強い痛み。生理痛より強いことが多い。 |
痛みの強さや性質の変化は、注意が必要なサインかもしれません。
おりものの変化:流産と生理、見分けるポイント
おりものの状態も、流産と生理の違いを判断する上で役立ちます。生理前や生理中のおりものは、一般的に透明でサラサラしていたり、白っぽく粘り気のある状態であったりします。量も、生理周期によってある程度予測できます。
一方、流産の場合、出血だけでなく、おりものに変化が見られることがあります。例えば、粘り気のある茶色っぽいおりものや、肉のような塊が混じったおりものが出る場合は、流産の可能性があります。また、出血量が増えるにつれて、おりものも変化していくことがあります。
- 生理中のおりもの:
- 透明〜白っぽい
- 粘り気がある場合もある
- 比較的安定した状態
- 流産のおりもの(出血とともに出る場合):
- 茶色っぽい、または赤黒い
- 塊が混じることがある
- 粘り気や臭いが変化することがある
妊娠の兆候:流産と生理、時期による違い
妊娠が成立しているかどうかが、流産と生理を分ける最も根本的な違いです。生理は妊娠が成立しなかった場合に起こりますが、流産は妊娠が成立した後に起こります。
そのため、流産の場合、一般的には妊娠の兆候が見られることがあります。例えば、つわり(吐き気や食欲不振など)、胸の張り、頻尿といった症状です。これらの妊娠の兆候があった後に、出血や腹痛が起こった場合は、流産の可能性も考慮する必要があります。
- 妊娠の初期症状(流産の可能性を示唆する場合):
- つわり
- 胸の張りや痛み
- 眠気
- 頻尿
妊娠している可能性がある状況での出血や腹痛は、自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。
「化学流産」とは:生理と見分けがつきにくい場合
「化学流産(かがくりゅうざん)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは、妊娠検査薬で陽性が出たものの、その後すぐに生理のような出血が起こり、妊娠が継続しなかった状態を指します。化学流産は、妊娠のごく初期に起こるため、生理と見分けるのが非常に難しい場合があります。
化学流産の場合、出血量や腹痛の程度は生理とほとんど変わらないこともあります。そのため、「妊娠していたことに気づかず、生理だと思って過ごしていた」というケースも少なくありません。化学流産は、多くの女性が生涯のうちに経験する可能性のある、比較的よくある現象です。
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 化学流産 |
妊娠検査薬で陽性反応が出た後、生理のような出血が起こる。
妊娠が継続しない。 生理と見分けがつきにくいことが多い。 |
化学流産は、妊娠が成立した証拠でもあります。
兆候なしの出血:生理なのか、それとも?
妊娠の兆候が全くないのに、普段とは違う出血があった場合、それが生理なのか、それとも別の原因によるものなのか、判断に迷うことがあります。生理周期が乱れている、ストレスなどで体調が優れない、といった理由で、生理の時期や出血量が変わることもあります。
しかし、もし普段と明らかに違う出血(量が多い、色が違う、期間が長いなど)があったり、腹痛を伴う場合は、婦人科系の病気の可能性も考えられます。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症、または性感染症などが原因で不正出血が起こることもあります。 自己判断せず、早めに専門医の診察を受けることが大切です。
- 生理以外の出血の可能性:
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- ポリープ
- 性感染症
- ホルモンバランスの乱れ
こんな時はすぐに医療機関へ!
流産と生理の違いは、経験や体調によっても感じ方が異なります。もし、以下のような症状があった場合は、迷わずすぐに医療機関を受診しましょう。自己判断で様子を見るのは危険な場合もあります。
- 妊娠している可能性がある時期(最終月経から数週間〜数ヶ月)に、普段より多い出血があった場合。
- 強い腹痛、腰痛を伴う出血があった場合。
- 出血に塊が混じっていたり、普段とは明らかに違う色や臭いのおりものがあった場合。
- 妊娠の兆候があった後に、出血や腹痛が始まった場合。
- 出血が止まらない、または数日間以上続く場合。
医師に相談することで、正確な診断と適切な処置を受けることができます。
流産と生理の違いについて、ご理解いただけたでしょうか? 不安な気持ちを抱え込まず、気になる症状があれば、一人で悩まずに専門家である医師に相談することが大切です。あなたの心と体の健康を第一に考えてください。