「厚生年金」と「社会保険」、どちらも私たちの生活に深く関わる言葉ですが、具体的に何が違うのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。 厚生年金と社会保険の違い を理解することは、将来の安心につながる大切な一歩です。
「社会保険」は大きな枠組み、その中の一つが「厚生年金」!
まず、皆さんが「社会保険」という言葉を聞いたときに思い浮かべるのは、きっと健康保険や年金、介護保険、雇用保険、労災保険など、いくつかの種類があることだと思います。実は、この「社会保険」というのは、みんなが病気やケガ、高齢、失業などで困ったときに、みんなで助け合うための大きな仕組み全体のことを指すんです。
そして、その大きな「社会保険」という枠組みの中に、いくつか種類があるのですが、その一つが「厚生年金」なんです。つまり、 厚生年金は社会保険の一部 ということになります。健康保険も社会保険の一部ですし、雇用保険も社会保険の一部なんですよ。
例えるなら、こんな感じです。
- 大きな箱: 社会保険
- 箱の中のアイテム: 健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険
厚生年金とは?
厚生年金は、私たちが働いている間に保険料を納めて、将来、年を取って働けなくなったり、障害を負ってしまったり、亡くなってしまったりしたときに、本人や家族に年金として給付される制度です。これは、国民年金という、日本に住む20歳から60歳までの全ての人が加入する年金制度に上乗せされる形で、会社員や公務員など、特定の働き方をしている人が加入するものです。
厚生年金の保険料は、給料から天引きされることがほとんどなので、自分で意識して納めているという感覚は少ないかもしれませんが、将来の自分への大切な投資なんですよ。
- 対象者: 会社員、公務員など(会社等に常時雇用されている人)
- 給付内容: 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金
健康保険とは?
健康保険は、私たちが病気やケガをしたときに、医療費の負担を軽くしてくれる保険です。病院に行ったときに、「〇〇円で済みました!」とか「一部負担で済んだ!」という経験があると思いますが、あれは健康保険のおかげなんです。
健康保険には、大きく分けて「協会けんぽ」(中小企業などの会社員が加入)と「組合健保」(大企業などの会社員が加入)、そして「国民健康保険」(自営業者や無職の人などが加入)があります。いずれも、病気やケガで働けなくなったときの「傷病手当金」や、出産したときの「出産育児一時金」など、医療費の負担以外にも様々な給付があります。
| 種類 | 主な加入者 | 主な給付 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ | 中小企業の会社員 | 医療費の自己負担軽減、傷病手当金、出産育児一時金など |
| 組合健保 | 大企業の会社員 | 医療費の自己負担軽減、傷病手当金、出産育児一時金など |
| 国民健康保険 | 自営業者、無職、年金受給者など | 医療費の自己負担軽減、傷病手当金、出産育児一時金など |
雇用保険とは?
雇用保険は、働いている人が、予期せぬ理由で失業してしまったときに、生活を支えるための「失業手当(基本手当)」などを給付する保険です。また、スキルアップのための「教育訓練給付金」や、育児や介護のために休業したときに給付される「育児休業給付金」「介護休業給付金」なども、雇用保険から支払われます。
これは、働く人の生活の安定と、就職の促進を目的としています。
- 失業時の生活保障
- スキルアップの支援
- 育児・介護との両立支援
労災保険とは?
労災保険(労働者災害補償保険)は、仕事中や通勤途中でケガをしたり、病気になったり、亡くなったりした場合に、本人や遺族に保険給付を行う制度です。これは、会社が加入する保険で、従業員は保険料を負担する必要はありません。 万が一の事故に備えるための、とても大切な保険 なのです。
労災保険からは、治療費だけでなく、働けなくなった期間の所得を補償する「休業(補償)給付」や、障害が残った場合の「障害(補償)給付」など、様々な給付があります。
- 対象: 仕事中または通勤途中のケガ、病気、障害、死亡
- 保険料: 事業主負担
- 給付例: 療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付など
このように、厚生年金も社会保険も、私たちの生活を守るための大切な仕組みです。それぞれ役割は違いますが、どちらも将来の安心のために、しっかりと理解しておきたいものですね。