食品添加物 日本と海外の違い:知っておきたいポイント

食品添加物、これって日本と海外でどう違うんだろう?そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれませんね。今回は、 食品添加物 日本と海外の違い に焦点を当て、皆さんが普段何気なく口にしている食品について、ちょっと詳しく見ていきましょう。

安全性への考え方の違い

まず、一番大きいのは、安全性に対する考え方でしょう。日本は「ポジティブリスト方式」という考え方を採用しています。これは、「許可されたものだけ使える」という考え方で、国が安全性を確認した添加物だけがリストに載り、使用が認められています。海外、特にEUなどでは「ネガティブリスト方式」が主流で、「禁止されているもの以外は基本的に使える」という考え方です。もちろん、どちらの方式でも一定の安全基準はありますが、アプローチが異なるため、使える添加物の種類や量に違いが出てくることがあります。

この「ポジティブリスト方式」は、消費者が安心して食品を選べるように、 厳格な管理体制のもとで運用されています 。厚生労働省などが中心となり、科学的根拠に基づいた評価を行い、安全性が確認されたものだけをリストに掲載しているのです。

一方、海外の「ネガティブリスト方式」でも、禁止されている添加物リストは存在し、それに該当しないものは使用が可能です。しかし、日本のように「これだけがOK」という明確なリストがあるわけではないので、消費者が個々の製品に含まれる添加物の安全性を判断するのが少し難しく感じるかもしれません。食の安全を守る上で、 それぞれの国の基準を理解することは非常に重要です

方式 概要 特徴
ポジティブリスト 許可された添加物のみ使用可能 厳格な審査、消費者が安心しやすい
ネガティブリスト 禁止された添加物以外は使用可能 自由度が高いが、消費者の判断が必要

使用が認められている添加物の種類

「ポジティブリスト」と「ネガティブリスト」という考え方の違いから、実際に日本と海外で使われている食品添加物の種類にも違いが見られます。例えば、日本では一般的に使われていても、海外では使用が認められていない添加物や、その逆のケースも存在します。これは、それぞれの国が持つ食文化や、食の安全に対する優先順位の違いなどが影響していると考えられます。

具体的には、以下のような違いが挙げられます。

  • 甘味料: 日本では認められている一部の人工甘味料が、海外では使用禁止されていることがあります。
  • 着色料: 天然着色料の使用は世界的に広がっていますが、一部の合成着色料については、国によって使用可否や許容量が異なります。
  • 保存料: 保存効果の高い添加物の中にも、国によって安全性の評価が分かれ、使用できるものが異なる場合があります。

こうした違いがあるため、海外で「これは普通に入っているよ」という添加物が、日本では使われていなかったり、逆に日本の製品でよく見かける添加物が、海外の製品ではあまり見かけなかったりするのです。 食品の選択肢を広げる上で、こうした知識は役立ちます

それぞれの国がどのような添加物を「安全」と判断し、どのような目的で使っているのかを知ることは、食のグローバル化が進む現代において、ますます重要になってきています。

表示義務と情報開示

食品添加物の表示についても、国によってルールが異なります。日本では、使用した添加物は「原材料名」の欄に表示することが義務付けられています。ただし、食品衛生法で定められた一定の要件を満たす場合、表示が免除される添加物もあります。また、「一括表示」として、原材料名とは別に「添加物」としてまとめて表示されることもあります。

海外、特にEUでは、添加物にはE番号と呼ばれる共通の識別番号が付与されており、それを使って表示されることが多いです。このE番号は、添加物の安全性評価に基づいて付けられており、消費者が添加物の情報をより分かりやすく把握できるように工夫されています。

また、アメリカでは、添加物に関する表示義務が日本やEUとは少し異なり、例えば「香料」や「着色料」といった広いカテゴリーで表示されることもあります。 消費者が食品に含まれる添加物を正確に知ることができるかどうかが、各国の表示制度の重要なポイントです

情報開示のレベルや、消費者がどの程度詳細な情報を得られるかは、国によって様々です。これは、各国の消費者保護の考え方や、食品安全に対するアプローチの違いを反映していると言えるでしょう。

日本においては、近年、消費者の食の安全に対する関心の高まりを受けて、より詳細な情報提供が求められる傾向にあります。企業側も、自主的な情報開示を進めることで、消費者の信頼を得ようとしています。

以下は、表示義務に関する簡単な比較です。

  1. 日本: 原材料名への表示義務、一部免除あり。「添加物」としての表示も
  2. EU: E番号による表示が一般的
  3. アメリカ: カテゴリー表示の場合もある

遺伝子組換え食品との関連性

食品添加物と直接関係があるわけではありませんが、遺伝子組換え(GM)食品に対する考え方の違いも、食品全体を見る上で知っておくと役立つ情報です。日本は、遺伝子組換え食品についても、安全性審査をクリアしたものが流通していますが、表示義務は「原材料として使用され、かつ、その割合が5%を超える場合」とされています。つまり、遺伝子組換えられた作物を原料とした食品添加物であっても、それが最終製品の5%以下であれば、表示義務がない場合があります。

海外では、EUのように遺伝子組換え食品に対する表示義務が非常に厳格な国もあります。一部の国では、遺伝子組換え食品の栽培自体が原則禁止されている場合もあります。 食の選択肢を考える上で、遺伝子組換え技術の利用と、それに対する各国のスタンスを理解することは、食品添加物の違いと併せて考慮すべき点です

遺伝子組換え技術は、食料生産の効率化や栄養価の向上といったメリットがある一方で、環境への影響や、人体への長期的な影響について懸念の声も上がっています。これらの懸念に対する各国の規制や表示のあり方も、食品添加物の違いと同様に、多様な考え方が存在することを示しています。

遺伝子組換え技術の利用状況と、それに対する各国の規制をまとめると、以下のようになります。

  • 日本: 安全性審査後、一定条件で表示義務
  • EU: 原則表示義務、厳格な規制
  • 一部の国: 原則禁止

「ナチュラル」や「オーガニック」の捉え方

「ナチュラル」や「オーガニック」といった言葉は、消費者に健康的なイメージを与えますが、これらの定義も国によって大きく異なります。食品添加物も、この「ナチュラル」「オーガニック」の概念と密接に関わってきます。例えば、オーガニック認証を受けている食品は、使用できる食品添加物が厳しく制限されていたり、そもそも禁止されていたりすることが一般的です。

日本におけるオーガニック認証では、一定の基準を満たした食品添加物であれば使用が認められている場合もあります。しかし、海外のオーガニック認証、特にEUのオーガニック基準では、日本よりもさらに厳しい制限が設けられていることがあります。 「何が『自然』で、何が『人工的』か」という基準が、国によって異なるため、消費者は認証マークなどを注意深く確認する必要があります

「ナチュラル」という言葉については、世界的に見ても明確な法的な定義がない場合が多く、企業が独自に表示しているケースがほとんどです。そのため、「ナチュラル」と書かれていても、実際には多くの食品添加物が使用されている可能性もあります。これに対して、「オーガニック」はある程度の法的な定義や認証制度が存在するため、より信頼性の高い情報源と言えるでしょう。

「ナチュラル」と「オーガニック」の食品添加物に関する主な違いをまとめると、以下のようになります。

区分 日本での一般的な考え方 海外(EUなど)での一般的な考え方
ナチュラル 法的な定義は曖昧、企業判断が多い 法的な定義は曖昧、企業判断が多い
オーガニック 一定の基準を満たした添加物は使用可 より厳しい基準、使用できる添加物が限定的

アレルギー表示とコンタミネーション

食品添加物とは少し異なりますが、アレルギー物質の表示義務や、意図せず混入してしまう「コンタミネーション」への対応も、日本と海外で違いが見られます。日本では、特定原材料7品目と、それに準ずる21品目について表示が義務付けられています。これは、アレルギーを持つ人が安全に食品を選べるようにするための重要なルールです。

海外でもアレルギー表示の制度はありますが、表示義務のある品目数や、表示方法が異なる場合があります。また、コンタミネーションについても、日本は「意図しない混入」を最小限にするための努力義務を企業に求めていますが、その具体的な対応レベルは企業によって差があります。 消費者がアレルギーに関する情報を正確に得られるかどうかは、食品安全の観点から非常に重要です

コンタミネーションは、製造ラインでの共有や、製造過程での飛散など、様々な要因で発生します。アレルギーを持つ人にとっては、たとえ微量であっても、深刻な健康被害につながる可能性があるため、各国の規制や企業の自主的な取り組みが注目されています。

アレルギー表示とコンタミネーション対応に関する主な違いは以下の通りです。

  • 日本: 特定原材料7品目+準ずる21品目の表示義務、コンタミネーションは努力義務
  • 海外: 品目数や表示方法が国によって異なる、コンタミネーションへの対応も様々

まとめ

このように、食品添加物には日本と海外で様々な違いがあります。安全性への考え方、使用できる添加物の種類、表示義務、さらにはオーガニックの定義に至るまで、それぞれの国が独自の基準を持っています。これらの違いを知ることは、私たちがより賢く、そして安全に食品を選び、楽しむために役立つはずです。

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