業務 請負 と 業務 委託 の 違いをスッキリ解説!どっちがお得?

「業務請負」と「業務委託」、似ているようで実は違うこの二つの契約形態。それぞれの違いを理解しないと、思わぬトラブルに巻き込まれることも?今回は、この「業務請負と業務委託の違い」を、わかりやすく、そしてためになるように解説していきますね。

【ここが違う!】成果物か、プロセスか?

まず、一番わかりやすい違いは、契約の「目的」にあります。「業務請負」は、特定の「成果物」を完成させることを約束する契約です。例えば、「このソフトウェアを開発して納品する」「このウェブサイトをデザインして公開する」といった具合です。請負側は、指定された成果物を期限までに納品すれば、契約は完了します。

一方、「業務委託」は、業務を「遂行すること」自体を約束する契約です。成果物の有無ではなく、定められた期間や時間の中で、一定の業務を行ってもらうことを目的とします。例えば、「経理業務を月次で処理してもらう」「システム運用・保守を年間契約で行ってもらう」といったケースがこれにあたります。 この「成果物」か「業務遂行」かという点が、両者の最も重要な違いと言えるでしょう。

具体的に、それぞれの特徴をまとめた表を見てみましょう。

契約形態 主な目的 指揮命令 責任範囲
業務請負 成果物の完成・納品 原則なし(ただし、成果に影響を与える場合はありうる) 成果物に関する責任
業務委託 業務の遂行 あり(委託元が指示できる) 業務遂行に関する責任

指揮命令権の有無で変わる、両者の関係性

次に、両者の関係性を大きく左右する「指揮命令権」について考えてみましょう。「業務委託」の場合、委託元(依頼する側)には、受託元(依頼される側)に対して指揮命令権があります。これは、業務の進め方や内容について、具体的に指示を出すことができるということです。

例えば、委託元は「この作業は午前中に終わらせてください」「この資料はこのような形式でまとめてください」といった指示を出すことができます。これは、業務委託が「業務を遂行すること」を目的としているため、その遂行プロセスを管理する必要があるからです。

しかし、「業務請負」には、原則として指揮命令権はありません。請負側は、決められた成果物を完成させる責任は負いますが、その業務をどのように進めるかについては、請負側の裁量に委ねられます。もちろん、成果物の品質に影響が出るような場合は、別途協議が行われることはありますが、日々の細かい指示を出すことは一般的ではありません。

ここで、指揮命令権の有無を整理してみましょう。

  • 業務委託:委託元に指揮命令権がある
  • 業務請負:原則として指揮命令権はない

報酬の支払い方にも、こんな違いが!

契約の目的が異なれば、当然、報酬の支払い方にも違いが出てきます。「業務請負」では、主に「成果物」に対して報酬が支払われます。つまり、成果物が完成し、納品されて初めて、報酬が発生するという考え方です。

例えば、ソフトウェア開発の請負契約であれば、開発が完了し、テストをクリアして納品された時点で、契約で定められた報酬が支払われます。途中で作業を中止したり、成果物が納品されなかったりした場合は、報酬の支払いがされない、あるいは減額される可能性があります。

一方、「業務委託」では、業務の「遂行」に対して報酬が支払われます。これは、作業時間や期間、あるいは業務の完了度合いなど、契約内容によって様々な支払い方が考えられます。例えば、時給制で月々支払ったり、月額固定で一定の業務を依頼したりといった形です。

報酬の支払い方について、いくつか例を挙げてみましょう。

  1. 業務請負:成果物納品時の一括払い、あるいは成果物納品段階に応じた分割払い
  2. 業務委託:月給制、時給制、プロジェクト完了ごとの支払いなど

「偽装請負」に注意!法律的な見解とは?

「業務請負」と「業務委託」の違いを理解することは、法律的な問題を防ぐためにも非常に重要です。特に注意したいのが、「偽装請負」です。これは、実質的には指揮命令権があるにも関わらず、形式上は「業務請負」として契約を結び、本来負うべき責任を逃れようとする行為です。

偽装請負は、労働者派遣法などの法律に違反する可能性があり、発覚した場合には罰則が科されることもあります。委託元と受託元、双方にとってリスクのある行為ですので、契約内容と実態が一致しているか、常に注意が必要です。

偽装請負について、さらに掘り下げてみましょう。

  • 実態が業務委託なのに、請負契約を結んでいる。
  • 委託元が、受託元の従業員に対して直接指示を出している。
  • 受託元が、業務遂行に関するリスクをほとんど負っていない。

このような状況が見られる場合は、偽装請負の可能性が考えられます。契約を結ぶ際は、その契約が本当に「業務請負」としての要件を満たしているのか、慎重に確認することが大切です。

どちらの契約を選ぶべき?ケーススタディ

では、具体的にどのような場合に「業務請負」が適していて、どのような場合に「業務委託」が適しているのでしょうか。いくつかのケースを見てみましょう。

ケース1:新しいソフトウェアを開発して、完成品が欲しい!

この場合、明確な「成果物」であるソフトウェアの完成が目的ですから、「業務請負」が適しています。請負側は、納期までに仕様通りのソフトウェアを納品する責任を負います。

ケース2:毎月の経理業務を、専門家に丸投げしたい。

経理業務を「遂行すること」が目的であり、日々の業務の進め方について指示を出すこともあるでしょう。この場合は、「業務委託」が適しています。業務委託契約を結び、月次で経理業務を依頼することになります。

ケース3:イベントの企画・運営を、まるっと任せたい!

イベントの成功という「成果」を期待するのであれば、「業務請負」として契約するのが一般的です。イベントの企画、準備、当日の運営、後片付けまで、一連の業務を請け負ってもらい、最終的なイベントの成功という成果に対して報酬が支払われます。

ケース4:ウェブサイトの更新作業を、定期的に依頼したい。

ウェブサイトの更新作業を「遂行すること」が目的で、更新頻度や内容について指示を出す場合は、「業務委託」となります。月額固定で、週に数回の更新作業を依頼するといった契約が考えられます。

まとめ:賢く使い分けて、ビジネスを成功させよう!

「業務請負」と「業務委託」は、それぞれ目的や責任範囲、指揮命令権の有無が異なります。どちらの契約形態が適しているかは、依頼したい業務の内容や、期待する成果によって変わってきます。

「成果物」を明確に定義できる場合は「業務請負」、業務の「遂行」を依頼したい場合は「業務委託」を検討すると良いでしょう。契約を結ぶ際には、両者の違いをしっかり理解し、自社の状況に合った最適な契約形態を選択することが、ビジネスを円滑に進めるための第一歩となります。偽装請負にはくれぐれも注意し、健全な取引を心がけましょう!

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