「児童扶養手当」と「児童手当」、名前は似ているけれど、一体何が違うんだろう? と疑問に思っている方も多いかもしれません。この二つの手当は、どちらも子育て家庭を応援するための国の制度ですが、対象となる家庭や目的が異なります。今回は、 児童扶養手当と児童手当の違い を分かりやすく解説し、それぞれの制度を賢く活用する方法をご紹介します。
目的と対象家庭の違いを徹底解剖!
まず、一番大きな違いはその 目的 と 対象となる家庭 です。児童手当は、日本国内に住む0歳から中学校卒業までの子供を育てている全ての家庭が対象ですが、児童扶養手当は、ひとり親家庭など、経済的に困難な状況にある家庭を支援することを目的としています。
児童手当は、子どもの健やかな成長を応援するための「児童の健やかな成長のために」という広い目的を持っています。一方、児童扶養手当は、ひとり親家庭などの生活の安定と自立の促進を図るための「生活の安定と自立の促進」という、より具体的な目的があります。このように、 手当の根本的な考え方が異なる ことが、児童扶養手当と児童手当の大きな違いと言えるでしょう。
具体的に、どのような家庭が児童扶養手当の対象になるかというと、以下のようなケースが挙げられます。
- 親が死亡した
- 親が離婚して、親権を持たない親から養育費を受けていない
- 親が1年以上生死不明
- 親から遺棄されている
- 親が1年以上拘禁されている
- 親が裁判所からのDV保護命令を受けた
- 親が引き続き1年以上福祉施設に入所している
- 親が重度の障がいを有している
- 婚姻によらないで生まれた子を養育している
- その他、上記に準ずる状態にある場合
支給額と所得制限の比較
次に、気になる 支給額と所得制限 について見てみましょう。児童手当は、子供の年齢や所得に応じて支給額が決まります。基本的には所得制限がありますが、子供の数が増えるほど、または所得が一定額以下であれば、より多くの手当を受け取ることができます。
一方、児童扶養手当の支給額は、所得に応じて細かく設定されており、所得が低いほど支給額は多くなります。所得制限も設けてありますが、児童手当とは計算方法や基準が異なります。 所得制限の有無や計算方法の違い は、それぞれの家庭にとってどちらの手当がより有利になるかを左右する重要なポイントです。
参考までに、児童手当の支給額(令和6年度4月分以降)は以下のようになります。
| 所得制限限度額未満 |
3歳未満:月額15,000円
3歳以上小学校修了前まで:月額10,000円(第3子以降は月額15,000円) 中学校卒業まで:月額10,000円 |
|---|---|
| 所得制限限度額以上 | 一律月額5,000円 |
| 所得上限限度額以上 | 支給なし |
児童扶養手当の支給額は、受給資格者の所得や扶養親族の数によって変動します。詳細な金額については、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
申請方法と手続きの流れ
どちらの手当も、 申請しなければ受け取ることができません 。申請方法や手続きの流れにも違いがありますので、注意が必要です。
児童手当の申請は、子供が生まれたり、転入したりした市区町村の窓口で行います。申請期間は、子供が生まれた日の翌日から15日以内、または転入した日から1ヶ月以内が原則です。必要書類としては、本人確認書類、振込先口座の通帳やキャッシュカードなどが一般的です。
児童扶養手当の申請は、ひとり親になったなどの事由が発生した日から1ヶ月以内に行うことが推奨されています。申請窓口は、お住まいの市区町村の役所になります。必要書類は、戸籍謄本や住民票、所得証明書など、児童扶養手当の対象となる事由によって異なります。 必要書類を事前に確認し、漏れなく準備すること がスムーズな手続きの鍵となります。
併給の可否と注意点
「児童扶養手当と児童手当は、両方もらえるの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。結論から言うと、 両方の手当を併給することは可能 です。これは、それぞれの制度が異なる目的で設けられているためです。
児童手当は、子供のいる家庭全般への経済的支援であり、児童扶養手当は、ひとり親家庭などへの生活支援という位置づけです。そのため、児童扶養手当の受給資格がある家庭でも、児童手当の対象であれば、両方を受給することができます。
ただし、一点注意が必要です。児童扶養手当の所得制限は、児童手当の所得制限とは基準が異なります。そのため、児童手当は満額受け取れても、児童扶養手当は所得制限にかかってしまう、あるいはその逆のケースも考えられます。 ご自身の所得状況を正確に把握しておくこと が重要です。
受給期間と更新の手続き
受給できる期間にも、それぞれの制度で違いがあります。子供の成長に合わせて、 受給期間の確認は大切 です。
児童手当は、原則として子供が中学校を卒業する月(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)まで支給されます。児童扶養手当は、子供が18歳になった後の最初の3月31日まで支給されるのが基本ですが、一定の障がいがある子供の場合は20歳まで延長されることもあります。
また、児童扶養手当については、 毎年現況届の提出が必要 です。これは、受給資格があるかどうかを毎年確認するための手続きです。現況届を提出しないと、手当が一時的に差し止められることもありますので、忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ:賢く理解して子育てをサポート!
児童扶養手当と児童手当は、どちらも子育て家庭を力強くサポートしてくれる心強い味方です。 それぞれの制度の違いを正しく理解し、ご自身の状況に合わせて適切に活用すること で、より充実した子育て生活を送ることができるでしょう。ご不明な点があれば、迷わずお住まいの市区町村の窓口に相談してくださいね。