「源泉徴収」と「所得税」、なんだか似ているようで、ちょっとよく分からない…という方も多いのではないでしょうか？ 実は、この二つの言葉の「源泉徴収 と 所得税 の 違い」を理解することは、自分の給料明細や税金について知る上でとっても大切なんです。
給料から引かれている「源泉徴収」って何？
まず、皆さんが一番身近に感じるのが「源泉徴収」だと思います。これは、会社がお給料を支払うときに、あらかじめ所得税などを差し引いて、残りを皆さんに渡してくれる制度のことです。つまり、会社が皆さんの代わりに、国や自治体に税金を先に納めてくれているんです。 この仕組みがあるおかげで、私たち一人ひとりが自分で税金を計算して納める手間が省けて、とても便利なんですよ。
- 毎月の給料から、所得税や社会保険料などが天引きされます。
- 会社は、従業員に代わってこれらの税金などを国に納付します。
- 年末調整で、最終的な税額の過不足を調整します。
源泉徴収は、所得税だけでなく、住民税や社会保険料なども含めて行われることが多いです。給料明細を見ると、「控除」という項目に色々なものが引かれているのが分かりますよね。あれが源泉徴収されているものの一部です。
| 源泉徴収されるもの | 概要 |
|---|---|
| 所得税 | 国に納める税金 |
| 住民税 | 住んでいる市区町村に納める税金 |
| 社会保険料 | 健康保険料、厚生年金保険料など |
「所得税」の全体像を掴もう
一方、「所得税」というのは、個人が得た所得（収入から経費などを差し引いたもの）に対してかかる税金のことです。会社員の方なら、毎月の給料から源泉徴収されている所得税は、この所得税の一部なんです。
所得税は、一年間の所得全体を合計して計算され、その金額に応じて税率が決まります。源泉徴収は、あくまで「概算」として毎月先に納めているもの。年末調整で、一年間の最終的な所得税額が確定し、源泉徴収した額との差額が返金されたり、追加で納めたりすることになるわけです。
- 一年間のすべての収入から、必要経費や控除を差し引いて「課税所得」を計算します。
- 課税所得に所得税の税率をかけて、本来納めるべき所得税額を算出します。
- すでに源泉徴収されている所得税額と比較し、過不足を調整します。
所得税の計算は、収入や家族構成、加入している保険などによって、控除の種類や金額が変わってくるため、少し複雑に感じるかもしれません。でも、基本的な考え方は、働いて得たお金に税金がかかる、ということです。
源泉徴収と所得税、それぞれの役割
源泉徴収と所得税は、それぞれ違う役割を持っています。源泉徴収は、税金の徴収をスムーズに行うための「手段」であり、所得税は、国が国民から集める「税金そのもの」と言えます。この二つを混同しないようにしましょう。
例えば、給料明細で「所得税」と書かれている項目は、源泉徴収された所得税額を示しています。これは、あなたが一年間で納めるべき所得税の一部なんです。
- 源泉徴収： 納税の便宜を図るための制度
- 所得税： 所得に対して課される税金
源泉徴収がないと、一人ひとりが自分で所得税の計算をして、納める手続きをしなければならず、大変な手間がかかります。会社が代わりにやってくれることで、私たちの負担が軽くなっているのです。
年末調整の重要性
先ほども少し触れましたが、「年末調整」は源泉徴収と所得税の関係を理解する上で非常に重要なプロセスです。年末調整は、一年間の所得税額を確定させ、源泉徴収で納めすぎた分を返金してもらったり、足りない分を追加で納めたりする手続きです。
年末調整では、扶養家族の状況や生命保険料、地震保険料、医療費などの控除を申告することで、最終的な所得税額を計算し直します。きちんと申告することで、本来納めるべき税金以上の額を納めることを防ぐことができます。
- 年末調整の書類（扶養控除等申告書など）を会社に提出します。
- 生命保険料控除証明書や医療費の領収書などを提出します。
- 会社がこれらの情報をもとに、一年間の所得税額を計算します。
- 計算結果に基づき、過不足分を調整した金額が給料に反映されます。
年末調整をしっかり行うことで、払いすぎた税金が戻ってくる可能性もありますので、忘れずに手続きを行いましょう。
確定申告との違い
源泉徴収や年末調整で完結しない場合、私たち自身で「確定申告」を行う必要があります。確定申告は、一年間の所得とそれにかかる税金を自分で計算し、税務署に申告・納税する手続きです。副業で収入があったり、医療費控除などを年末調整で受けられなかったりした場合に必要になります。
確定申告は、源泉徴収や年末調整よりも、より正確に自分の所得と税金を把握するための手続きと言えます。もし、自分自身で確定申告をする必要があるかどうか分からない場合は、税務署や税理士に相談してみるのが良いでしょう。
| 手続き | 誰がやる？ | いつ？ | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 源泉徴収 | 会社（雇用主） | 毎月（給料支払い時） | 所得税などの天引き・前払い |
| 年末調整 | 会社（雇用主） | 年末 | 一年間の所得税額の確定・過不足調整 |
| 確定申告 | 個人（納税者） | 翌年2月16日～3月15日 | 一年間の所得と税金の最終的な申告・納税 |
フリーランスや個人事業主の場合
会社員と異なり、フリーランスや個人事業主の場合、所得税は原則として自分で計算して確定申告で納めることになります。源泉徴収という形で先に税金が引かれることがほとんどありません。
そのため、日頃から収入と支出をしっかり記録し、税金計算の準備をしておくことが重要です。また、予定納税といって、前年の税額に基づいて、あらかじめ一定額を分割で納めておく制度もあります。これは、所得税の負担を分散させるための仕組みです。
- 収入から必要経費を差し引いて、所得を計算します。
- 所得税の税率をかけて、納めるべき所得税額を算出します。
- 毎年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、納税します。
フリーランスや個人事業主にとっては、税金の知識をしっかり身につけることが、事業を継続していく上で非常に大切になります。
まとめ：源泉徴収と所得税、違いを理解して賢く税金と付き合おう！
「源泉徴収」は、会社が毎月、皆さんの給料から所得税などをあらかじめ差し引いて、国に納めてくれる「制度」のこと。「所得税」は、個人が得た所得にかかる「税金そのもの」です。この二つの違いを理解しておけば、給料明細の見方も変わってくるはずです。年末調整や確定申告も、自分の所得税を正しく把握し、納めるための大切な手続きです。これらの知識を身につけて、賢く税金と付き合っていきましょう！