知っておくべき!雑所得と事業所得の違いを徹底解説

「雑所得」と「事業所得」、この二つの言葉を聞いたことはありますか?所得税を計算する上で、これらの違いを理解しておくことはとても大切です。なぜなら、 雑所得と事業所得の違い によって、税金の計算方法や適用されるルールが変わってくるからです。今回は、この二つの所得の違いを、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。

所得の種類で決まる!雑所得と事業所得の基本

まず、所得税の世界では、所得は10種類に分けられています。その中で、「雑所得」と「事業所得」は、それぞれ性質が異なります。簡単に言うと、事業所得は、継続的に事業活動を行って得られる収入。一方、雑所得は、それ以外の様々な所得をまとめたものです。この「継続性」や「事業性」があるかないかが、一番大きなポイントになります。

例えば、フリーランスでWebサイト制作の仕事をしている人は、一般的に事業所得として扱われます。なぜなら、Webサイト制作という事業を継続して行い、収入を得ているからです。対して、フリマアプリで使わなくなった服を売って得た収入は、一時的なものなので雑所得になることが多いです。 このように、所得の種類を正しく理解することは、正確な確定申告のために非常に重要です。

ここで、それぞれの特徴をまとめた表を見てみましょう。

所得の種類 主な特徴
事業所得 事業を営んで継続的に得られる収入 フリーランスのエンジニア、お店の経営
雑所得 上記以外の所得(一時的なものや、事業とは言えないもの) フリマアプリでの売上、副業のアルバイト収入、講演料

事業所得ってどんなもの?

事業所得とは、事業活動によって得られる所得のことです。具体的には、自分で事業を始めて、商品を作って売ったり、サービスを提供したりして、そこから得られる利益を指します。事業として成立するためには、「営利目的」「継続性」「独立性」といった要素が重要になってきます。

例えば、以下のようなものが事業所得に該当します。

  • 自分で作ったハンドメイド品をネットショップで販売
  • お店を開いて、お客様に商品やサービスを提供
  • プログラミングやデザインなどのスキルを活かして、企業から依頼を受けて仕事をする

事業所得の場合、事業を行う上でかかった経費を収入から差し引くことができます。これを「必要経費」と言います。例えば、材料費、事務所の家賃、広告宣伝費などが経費として認められることがあります。この必要経費を差し引いたものが、事業所得の金額となります。

雑所得の範囲を広げてみよう!

雑所得は、先ほども触れたように、事業所得などの他の所得に当てはまらない、様々な所得をまとめて呼ぶときのカテゴリーです。なので、その範囲はかなり広くなります。日常生活で「これって雑所得になるのかな?」と疑問に思うものも、実は雑所得に分類されることがあります。

雑所得に該当する可能性のあるものをいくつか見ていきましょう。

  1. 副業のアルバイト収入: 本業とは別に、アルバイトで得た収入。
  2. 一時的な印税や原稿料: 書籍の印税や、雑誌などに寄稿した原稿料。
  3. 懸賞や賞金: 懸賞に当選して得た賞金や、競馬などの払戻金。
  4. 仮想通貨の売買益: 仮想通貨(ビットコインなど)を売買して得た利益。
  5. 個人年金: 個人で契約している年金制度から受け取る年金。

これらの収入は、事業として継続的に行っているわけではない、あるいは事業所得の定義に当てはまらないため、雑所得として扱われることが多いのです。

事業所得と雑所得、税務上の違いとは?

雑所得と事業所得の最も大きな違いは、税務上の扱い、特に経費の計上方法にあります。事業所得の場合、事業を行うために「通常必要」と認められる経費を収入から差し引くことができます。しかし、雑所得の場合は、一部の例外を除いて、経費を差し引くことが認められにくい傾向があります。

例えば、フリマアプリでの売上を例に考えてみましょう。もし、売れた服が元々自分で使っていたものであれば、その服を購入したときの金額は経費として認められません。しかし、もし古着屋さんで仕入れて、それを販売しているのであれば、仕入れ費用は必要経費として認められる可能性があります。このように、収入を得るための活動が「事業」とみなされるかどうかが、経費計上の可否に大きく影響します。

事業所得が有利になるケース

一般的に、事業所得として認められる方が、税金面で有利になることが多いです。その理由の一つが、経費を差し引ける範囲が広いことです。事業に必要な様々な費用を経費として計上できるため、課税される所得金額を減らすことができます。これにより、結果として納める税金が少なくなる可能性があります。

また、事業所得には「青色申告」という制度があります。青色申告をすることで、一定の条件を満たせば、最大65万円の特別控除を受けることができます。これは、課税される所得金額からさらに差し引ける金額なので、節税効果が非常に大きいと言えます。

さらに、事業所得の場合、赤字になった場合にその赤字を他の所得と相殺して、税金を還付してもらう「損益通算」という制度や、赤字を翌年以降に繰り越して将来の税金を減らす「繰越控除」といった制度も利用できる場合があります。これらの制度は、雑所得では原則として利用できません。

雑所得の注意点

雑所得の場合、経費の計上が難しいという特徴があります。例えば、副業で得た収入の場合、その副業のために使った交通費や消耗品費などが経費として認められるかどうかは、ケースバイケースです。事業所得のように「事業を行うために通常必要」という基準が厳しく適用されるため、個人的な支出と事業上の支出の線引きが曖昧だと、経費として認められない可能性があります。

また、雑所得は、他の所得と合算して税金が計算されます。給与所得がある方が雑所得を得た場合、その雑所得の金額によっては、所得税の税率が上がったり、住民税の負担が増えたりする可能性があります。さらに、年間の雑所得が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要になります。

雑所得は、その性質上、収入の発生源や経費の範囲について、税務署から確認が入ることもあります。 ですので、収入があった場合は、その詳細を記録しておくことが大切です。

雑所得と事業所得の境界線

雑所得と事業所得の境界線は、時として曖昧になることがあります。特に、副業で得た収入や、趣味が高じて収入につながった場合などです。税務署は、その収入が「事業としての実態」があるかどうかを総合的に判断します。

判断のポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 継続性: その収入を得る活動が、一時的なものではなく、継続的に行われているか。
  • 営利目的: その収入を得る活動に、利益を得ようという意思があるか。
  • 反復性: 同じような取引が、繰り返し行われているか。
  • 事業としての規模: 収入を得るために、ある程度の設備投資や労力を使っているか。

例えば、フリマアプリでたまに不要品を売る程度であれば雑所得ですが、頻繁に商品を仕入れて販売し、利益を上げているようであれば、事業所得とみなされる可能性が高くなります。

まとめ:賢く税金と付き合うために

雑所得と事業所得の違いを理解することは、ご自身の収入を正しく把握し、適切な税金を納めるために不可欠です。事業所得であれば経費を差し引けたり、青色申告のメリットを受けられたりするなど、税金面で有利になるケースが多いですが、そのためには「事業」としての実態が求められます。

一方、雑所得は、手軽に始められる収入源となることもありますが、経費計上が限られたり、他の所得との合算で税金が高くなる可能性もあります。ご自身の収入がどちらに該当するか不明な場合や、税金について不安がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。賢く税金と付き合い、より良い収入活動に繋げましょう。

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