「雇用保険」と「健康保険」、どちらも働く上でとっても大切な社会保険ですが、一体何が違うのでしょうか? 雇用保険 と 健康 保険 の 違い を知っておくことは、もしもの時に役立つだけでなく、日々の安心につながります。この二つの保険の目的や、どんな時にどんな保障が受けられるのか、一緒に見ていきましょう!
保険の目的と加入する人:誰のための保険?
まず、一番大きな違いはその「目的」にあります。雇用保険は、働いている人が「もしも職を失ってしまった」という時に、生活を支えるための保険です。失業した際の給付金(いわゆる失業保険)が有名ですよね。また、スキルアップのための教育訓練給付金や、育児休業・介護休業中の給付金なども、雇用保険から支給されます。 この保険は、働く人々のセーフティネットとしての役割が非常に大きいのです。
一方、健康保険は、病気やケガをした時に、医療費の負担を軽減するための保険です。病気になった時、病院にかかると結構な医療費がかかりますが、健康保険に加入していれば、その一部(通常は3割)だけを負担すれば済むようになります。これにより、安心して医療を受けられるようになります。
加入している人も少し異なります。雇用保険は、原則として1週間の所定労働時間が20時間以上の雇用保険の一般被保険者が加入します。健康保険は、会社員や公務員などの被用者保険と、自営業者やフリーターなどが加入する国民健康保険などがあります。どちらの保険も、働く上では加入が義務付けられている場合がほとんどです。
- 雇用保険 :失業時の生活保障、スキルアップ支援、育児・介護休業中の支援
- 健康保険 :病気やケガをした際の医療費負担軽減
給付内容:どんな時に、いくらもらえるの?
次に、具体的にどんな給付が受けられるのかを見てみましょう。
雇用保険の代表的な給付は「基本手当(失業給付)」です。これは、会社都合や自己都合で退職し、再就職を目指す人が、一定期間、生活費として受け取れるものです。金額や期間は、雇用保険の加入期間や離職理由によって変わります。
他にも、キャリアアップのために講座を受講した際の費用を一部負担してくれる「教育訓練給付金」や、育児や介護のために仕事を休む際に、所得の一部を補填してくれる「育児休業給付金」「介護休業給付金」などもあります。
健康保険では、病気やケガで病院にかかった際の「医療費の自己負担額の軽減」が最も一般的です。さらに、病気やケガで働けなくなった場合に、一定期間「傷病手当金」が支給されたり、出産した際に「出産育児一時金」が支給されたりすることもあります。また、死亡した際には「埋葬料」などが支給されることもあります。
| 保険の種類 | 主な給付内容 |
|---|---|
| 雇用保険 | 基本手当(失業給付)、教育訓練給付金、育児休業給付金、介護休業給付金 |
| 健康保険 | 医療費の自己負担額軽減、傷病手当金、出産育児一時金、埋葬料 |
保険料の負担:誰が、いくら払うの?
雇用保険と健康保険、どちらも保険料がかかりますが、その負担の仕方に違いがあります。原則として、どちらの保険料も「会社」と「被保険者(あなた)」が負担します。
雇用保険の保険料率は、業種によって少しずつ異なりますが、一般的には給与の一定割合(例:0.5%~1.3%程度)で、そのうちの大部分を会社が負担し、被保険者の負担はそれより少なくなっています。
健康保険の保険料率は、健康保険組合などによって異なりますが、これも給与の一定割合(例:8%~10%程度)で、会社と被保険者が折半(半分ずつ)して負担するのが一般的です。つまり、健康保険料は雇用保険料よりも、被保険者側の負担が大きくなる傾向があります。
これらの保険料は、毎月の給与から天引きされるので、手取り額が計算される上で必ず考慮する必要があります。
- 毎月の給与明細で、雇用保険料と健康保険料の項目を確認しましょう。
- それぞれの保険料率がどのように計算されているか、会社の総務担当者や社労士さんに聞いてみると理解が深まります。
- 手取り額を把握するために、保険料の負担割合を把握しておくことは重要です。
手続きの窓口:どこに相談すればいいの?
もし、失業してしまった場合や、病気・ケガで医療機関にかかった場合、どちらの保険にどのような手続きをすれば良いのでしょうか?
雇用保険に関する手続きや相談は、主に「ハローワーク(公共職業安定所)」で行います。失業給付金の申請や、求職活動の相談、職業訓練の案内などもハローワークが窓口となります。
健康保険に関する手続きは、加入している健康保険の種類によって窓口が異なります。会社員や公務員の場合は、所属する会社や共済組合が窓口となります。一方、国民健康保険の場合は、お住まいの市区町村の役所が窓口となります。医療機関にかかる際には、保険証を提示するだけで、自己負担分のみを支払えば良いので、特別な手続きは不要です。
- 雇用保険関連 :ハローワーク
-
健康保険関連
:
- 会社員・公務員:所属する会社・共済組合
- 自営業・フリーターなど:お住まいの市区町村の役所
保険料の納付方法:どうやって払うの?
保険料の納付方法も、それぞれの保険で特徴があります。どちらの保険料も、原則として「給与からの天引き」という形で、会社がまとめて納付してくれます。
会社員や公務員の場合、毎月の給与から、雇用保険料と健康保険料が差し引かれる形で納付が完了しています。これが、社会保険料の納付方法としては最も一般的です。
ただし、健康保険には、自営業者などが加入する「国民健康保険」もあります。国民健康保険の保険料は、前年の所得などに基づいて計算され、ご自身で市区町村に納付する必要があります。納付方法は、口座振替や、金融機関・コンビニでの現金納付などがあります。
この給与からの天引きは、私たちが直接保険料を納める手間を省いてくれる、とても便利な仕組みと言えます。
保険の対象となる期間:いつからいつまで適用される?
雇用保険と健康保険、それぞれ保険が適用される期間についても知っておきましょう。
雇用保険は、原則として「雇用されている期間」に加入し、保険給付を受ける権利が発生します。退職後も、一定期間は雇用保険の給付を受けることができますが、これはあくまで「失業して再就職を目指す期間」を支援するためのものです。
健康保険は、加入資格を失った場合(例えば退職した場合)でも、一定の条件を満たせば、任意継続といって、引き続き健康保険に加入できる制度があります。また、扶養に入っている家族なども、被保険者の健康保険証で医療を受けることができます。
このように、どちらの保険も、加入している間だけでなく、その後の一定期間においても、何らかの形で恩恵を受けられる仕組みがあるのです。
雇用保険と健康保険は、それぞれ異なる目的を持っていますが、どちらも働く人々の生活を支え、安心を提供する上で欠かせない社会保険です。それぞれの違いを理解しておくことで、いざという時に慌てず、適切な手続きを取ることができます。日頃から、これらの保険について少しずつ知識を深めていくことが、将来への備えにつながるでしょう。