事前審査と本審査の違いを徹底解説!住宅ローン通るためのロードマップ

住宅ローンを組む際、「事前審査」と「本審査」という言葉をよく耳にするかと思います。この二つ、名前は似ていますが、実は目的や内容が大きく異なります。今回は、そんな 事前審査と本審査の違い を分かりやすく解説し、住宅ローン審査をスムーズに進めるためのポイントをお伝えします。

事前審査と本審査の根本的な違い

まず、一番大切なのは、事前審査は「おおよその借入可能額を知るため」、本審査は「実際に融資を受けるため」の審査であるという点です。事前審査は、あくまで「この人なら、いくらくらいまで貸せそうか」という目安を知るためのものです。そのため、提出書類も比較的少なく、手続きもスピーディーに進みます。

一方、本審査は、金融機関が実際にあなたにお金を貸すかどうかを最終決定するための、より詳細で厳格な審査です。ここをクリアしないと、住宅ローンは実行されません。 事前審査を通過したからといって、本審査も必ず通るとは限らない ので注意が必要です。

具体的に、両者の違いをまとめると以下のようになります。

項目 事前審査 本審査
目的 借入可能額の目安把握 融資実行の最終決定
提出書類 比較的少ない(源泉徴収票、本人確認書類など) 詳細・網羅的(住民票、印鑑証明書、物件資料など)
審査期間 数日~1週間程度 2週間~1ヶ月程度
結果 「承認」「条件付き承認」「否承認」 「承認」「否承認」

事前審査でチェックされること

事前審査では、あなたの「信用力」と「返済能力」の基本的な部分がチェックされます。これは、住宅ローンを組む上で最も重要な要素だからです。具体的には、以下のような項目が確認されます。

  • 過去の延滞履歴
  • 現在の借入状況(カードローンや他のローンなど)
  • 勤務先の安定性
  • 年収
  • 年齢

ここで重要なのは、これらの情報がある程度正確に把握されているか、ということです。例えば、過去にクレジットカードの支払いを数日遅れただけで、必ずしも否承認になるわけではありません。しかし、度重なる延滞や、現在高額な借入がある場合は、審査に響く可能性があります。 信用情報機関の情報を照会される ため、ご自身の状況を把握しておくことが大切です。

また、事前審査は、一般的に金融機関や保証会社が行います。金融機関によって審査基準が若干異なるため、複数の金融機関に申し込んでみるのも良いでしょう。ただし、あまりにも多くの金融機関に同時に申し込むと、かえって信用情報に影響を与える可能性もあるので、慎重に行いましょう。

本審査でより厳しくチェックされること

本審査では、事前審査で確認された内容に加えて、より詳細で多角的なチェックが行われます。つまり、事前審査をクリアしたからといって油断は禁物ということです。ここでは、特に念入りに確認されるポイントを見ていきましょう。

まず、 物件自体の担保価値 が重要視されます。購入しようとしている物件の立地、築年数、構造、周辺環境などを専門家が評価し、万が一返済ができなくなった場合に、その物件を売却してどれくらいの金額が回収できるかを判断します。この評価額が、融資額の上限に影響を与えることもあります。

次に、 健康状態 も確認されます。これは、団体信用生命保険(団信)に加入するためです。団信は、ローンの返済中に万が一、契約者が亡くなったり高度障害になったりした場合に、保険金でローンが完済されるというものです。そのため、加入には健康状態の告知や、場合によっては医師の診察が必要になります。過去に大きな病気をしたことがある場合などは、告知義務があるので正直に伝えましょう。

さらに、 自己資金の額や、勤続年数、雇用形態 なども、より厳密に評価されます。例えば、勤続年数が短い場合や、非正規雇用の場合、安定した収入があると見なされにくいことがあります。また、物件購入にかかる諸費用(登記費用、仲介手数料、印紙税など)を支払うための自己資金が十分にあるかどうかも、返済能力を測る上で重要な要素となります。

最後に、 購入する物件の契約内容 も確認されます。売買契約書の内容に不備がないか、法的な問題はないかなども、金融機関の担当者がチェックします。もし、契約内容に疑義が生じた場合、融資が受けられない可能性もあります。

事前審査のメリット・デメリット

事前審査を受けることには、いくつかのメリットとデメリットがあります。まず、メリットとしては、

  • 借入可能額の目安がわかる: これにより、無理のない資金計画を立てやすくなります。
  • 物件探しがスムーズになる: 予算の上限が分かっているので、効率的に物件を選べます。
  • 本審査通過の可能性が高まる: 事前審査で問題がないことが確認できれば、本審査も通りやすくなります。

次に、デメリットとしては、

  1. 審査に落ちる可能性もある: 事前審査で否承認となると、精神的なショックを受けたり、その後の金融機関選びに影響が出たりする可能性があります。
  2. 信用情報に記録される: 事前審査を申し込むと、一定期間、信用情報機関に記録が残ります。

これらのメリット・デメリットを理解した上で、計画的に事前審査を受けることが大切です。

本審査のメリット・デメリット

一方、本審査にもメリットとデメリットがあります。メリットとしては、

  • 正式に融資が受けられる: 本審査に通過すれば、住宅購入に向けた最後のハードルを越えたことになります。
  • 融資条件が確定する: 金利や返済期間など、具体的な融資条件が確定します。

デメリットとしては、

  1. 審査期間が長い: 事前審査に比べて時間がかかるため、焦らず待つ必要があります。
  2. 提出書類が多い: 細かい書類の準備が必要となり、手間がかかります。

本審査は、最終的な契約に進むための重要なステップです。

事前審査と本審査で必要になる書類の違い

必要書類の違いは、両者の目的の違いを如実に表しています。事前審査では、主にあなたの「属性」を確認するための書類が中心となります。例えば、

  • 源泉徴収票(直近数年分)
  • 確定申告書(自営業者の場合)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 健康保険証

といった、収入や身元を証明するものが中心です。これらの書類は、あなたの返済能力を大まかに把握するために使われます。

対して、本審査では、事前審査で確認した内容をより詳細に裏付け、さらに「物件」に関する情報も詳細に確認するための書類が必要になります。具体的には、

  1. 住民票
  2. 印鑑証明書
  3. 物件の売買契約書
  4. 重要事項説明書
  5. 建築確認済証(新築の場合)
  6. 登記簿謄本
  7. 公図
  8. 固定資産税評価証明書

などが挙げられます。これらの書類は、物件の権利関係や法的な問題がないか、そして物件の担保価値などを正確に評価するために不可欠なものです。

このように、必要書類の量や種類が異なるのは、それぞれの審査が担う役割が違うからなのです。

事前審査と本審査の審査基準の違い

審査基準においても、両者には明確な違いがあります。事前審査の基準は、比較的「緩やか」と言えます。これは、あくまで「おおよその目安」を知ることが目的なため、多少の不利な情報があっても、総合的な判断で「この人なら貸せそう」と判断されることがあるからです。例えば、

  • 過去の軽微な延滞
  • 比較的短い勤続年数

などが、必ずしも否承認に直結しない場合があります。金融機関によっては、AIなどを使ってスピーディーに審査を行う場合もあります。

一方、本審査の審査基準は、より「厳格」になります。金融機関は、実際に多額のお金を貸し付けるため、リスクを徹底的に排除しようとします。そのため、

  1. 信用情報の詳細な確認: 過去の延滞状況や借入履歴などを、より細かくチェックします。
  2. 返済比率の厳密な計算: 年収に対して、年間返済額が占める割合(返済比率)が、基準値を超えていないか厳密に確認されます。
  3. 物件の担保評価: 購入する物件の市場価値や将来性なども含めて、慎重に評価されます。

これらの基準により、事前審査を通過しても、本審査で否承認となるケースも少なくありません。

事前審査で落ちてしまった場合の対処法

もし、残念ながら事前審査で否承認となってしまった場合でも、落ち込む必要はありません。いくつかの対処法があります。まず、

  • 原因を把握する: なぜ否承認になったのか、金融機関に理由を尋ねてみましょう。信用情報に問題があったのか、年収が原因だったのかなど、原因が分かれば対策も立てやすくなります。
  • 他の金融機関に申し込む: 金融機関によって審査基準は異なります。今回は縁がなかったと考えて、別の金融機関に改めて申し込んでみましょう。

さらに、

  1. 条件を改善してから再挑戦する: 例えば、借入残高を減らす、頭金を増やす、配偶者の収入を合算するなどの方法で、ご自身の返済能力を高めてから再挑戦することも有効です。
  2. フラット35などの公的ローンを検討する: 民間の金融機関よりも審査基準が緩やかな場合があります。

諦めずに、ご自身の状況に合わせて最適な方法を見つけることが大切です。

まとめ:事前審査と本審査の違いを理解して、住宅ローンを成功させよう!

ここまで、事前審査と本審査の違いについて詳しく解説してきました。お分かりいただけたでしょうか? 事前審査と本審査の違い は、その目的、内容、そして厳しさの度合いにあります。事前審査は「準備運動」、本審査は「本番」と考えるとイメージしやすいかもしれません。これらの違いをしっかり理解し、それぞれの段階で必要な準備を丁寧に行うことが、住宅ローン審査をスムーズに、そして成功させるための鍵となります。ご自身の状況を把握し、計画的に進めていきましょう!

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