心拍 と 脈拍 の 違い をスッキリ解説!知っておきたい体のサイン

「心拍」と「脈拍」、なんとなく似ているけれど、具体的に何が違うのか、あなたは説明できますか?今回は、この「心拍 と 脈拍 の 違い」を、誰にでも分かりやすいように、そして、なぜそれが大切なのかも踏まえて、詳しく解説していきます。

心臓の鼓動と血潮の波:心拍 と 脈拍 の 違いの核心

まず、心拍と脈拍の最も大きな違いは、その「発生源」と「観測場所」にあります。心拍は、文字通り、心臓が血液を送り出すために収縮・拡張する動きそのものを指します。これは心臓の中で起こっている現象なので、直接感じることはできません。一方、脈拍は、心臓が送り出した血液が血管を伝わって全身に広がる際に生じる「波」であり、手首や首などで触れることができる「拍動」のことです。 この二つは密接に関連していますが、厳密には異なる現象なのです。

例えるなら、心拍は「ポンプの稼働音」で、脈拍は「水道管を流れる水の勢い」のようなものです。ポンプが動けば、水道管に水の流れが生じ、それが壁を振動させて「トントン」と伝わるような感覚が脈拍として感じられるわけです。本来、心臓が1回拍動すれば、それに合わせて1回脈拍が生じるはずなのですが、実際にはいくつかの要因でズレが生じることもあります。

  • 心拍: 心臓の収縮・拡張の動き。
  • 脈拍: 心臓が送り出した血液によって血管が拍動する感覚。

心拍が生まれる仕組み

心拍は、私たちの心臓という驚くべきポンプが、電気信号によってコントロールされ、規則正しく動くことで生まれます。この電気信号は、心臓の中に特別な細胞があって、これが「スタートボタン」のような役割をしています。このスタートボタンが押されると、電気信号が心臓全体に伝わり、心臓の筋肉が順番に縮んで、血液を全身に送り出すのです。

心臓は、主に以下の4つの部屋(心房と心室)に分かれていて、この部屋がリズミカルに収縮することで、血液を効率よく送り出します。まるで、オーケストラの指揮者のように、電気信号が正確なタイミングで各楽器(心臓の筋肉)に指示を出しているイメージです。

  1. 右心房に血液が戻ってくる
  2. 右心房が収縮して、右心室に血液を送る
  3. 右心室が収縮して、肺に血液を送る(酸素を取り込むため)
  4. 肺から戻ってきた酸素の多い血液が左心房へ
  5. 左心房が収縮して、左心室に血液を送る
  6. 左心室が収縮して、全身に血液を送り出す

脈拍をキャッチ!どこで感じられる?

脈拍は、心臓から送り出された血液が、硬い血管(動脈)を勢いよく流れるときに、その血管の壁が内側からの圧力で膨らんだり戻ったりするのを、体の表面近くで触れることで感じられます。一番分かりやすいのは、手首の内側にある「橈骨(とうこつ)動脈」という血管です。人差し指、中指、薬指の3本を軽く当てて、トントンというリズムを感じてみてください。

他にも、首の横にある「頸動脈(けいどうみゃく)」や、足の甲の動脈でも脈拍を感じることができます。これらの場所は、比較的太い動脈が皮膚の近くを通っているため、触れやすいのです。運動した後などは、心臓がたくさんの血液を送り出そうとするので、脈拍が速くなるのがよく分かります。

脈拍を感じやすい場所 主な血管
手首の内側 橈骨動脈
首の横 頸動脈
足の甲 足背動脈

心拍と脈拍の「数」に違いはあるの?

通常、健康な状態であれば、心臓が1回拍動すると、それに合わせて1回脈拍が生じます。つまり、心拍数と脈拍数はほとんど同じになります。しかし、例外もあります。例えば、心臓の動きが弱かったり、不整脈があったりすると、心臓は拍動しているのに、その拍動が末梢の血管までしっかりと血液を送り出せず、脈拍として感じられないことがあります。これを「欠損(けっそん)」と言います。

これは、心臓のポンプ機能が弱くなっているサインかもしれません。なので、時々、自分で脈を測ってみて、心拍数と脈拍数の間に大きなズレがないか確認することも大切です。もし、いつもと違うなと感じたら、専門家に相談するのが良いでしょう。

  • 通常時:心拍数 ≒ 脈拍数
  • 例外(欠損):心拍数 > 脈拍数

心拍と脈拍の「リズム」にも注目!

心拍も脈拍も、一定のリズムで刻まれるのが正常です。ですが、これもまた、体調や精神状態によって変化します。例えば、運動をしたり、驚いたり、興奮したりすると、心臓はたくさんの血液を送り出そうとして、拍動する間隔が短くなります。これが「ドキドキする」という状態です。逆に、リラックスしているときや、寝ているときなどは、心拍も脈拍もゆっくりになります。

ただし、このリズムが極端に速くなったり、遅くなったり、不規則になったりする場合は、何らかの心臓のトラブルのサインかもしれません。特に、これまで経験したことのないような不規則なリズムや、強い動悸を感じる場合は、注意が必要です。

  1. 正常なリズム: 規則的で一定の速さ。
  2. 速くなる要因: 運動、興奮、ストレス、発熱など。
  3. 遅くなる要因: リラックス、睡眠、一部の薬の影響など。
  4. 不規則なリズム: 不整脈の可能性。

心拍と脈拍の「計測方法」の違い

心拍を直接計測するのは、医療機関などで行われる心電図検査が一般的です。これは、心臓の電気信号を記録して、心臓の動きを詳しく調べる方法です。一般の人が手軽に心拍を計測するのは難しいです。一方、脈拍は、先ほど説明したように、手首や首などで指を当てて、その拍動を数えることで簡単に計測できます。最近では、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスでも、脈拍をリアルタイムで計測できるものが増えています。

このように、計測できる対象や方法が異なることも、心拍と脈拍の大きな違いの一つと言えます。脈拍は、私たちの体の状態を知るための、身近で手軽なバロメーターなのです。

心拍と脈拍の「意味合い」の違い

心拍は、文字通り「心臓がどれだけ頑張っているか」という、心臓自体の活動量を示します。心臓がどれだけ一生懸命に血液を送り出しているか、その「力強さ」や「テンポ」を表していると言えるでしょう。私たちが生きている限り、心臓は休むことなく動き続けており、その鼓動こそが生命活動の根源です。

対して脈拍は、「血液が血管をどれだけスムーズに流れているか」という、全身の循環状態を反映する指標となります。心臓からの血液の流れが、体の末端までしっかり届いているか、その「伝達」の具合を見ることができます。脈拍が乱れているということは、心臓からの信号がうまく全身に伝わっていない、あるいは血管のどこかに問題がある可能性を示唆します。

心拍と脈拍の「異常」が示すこと

心拍と脈拍の異常は、様々な体のサインとして現れます。例えば、心拍数が極端に速い(頻脈)場合、心臓に負担がかかっている、あるいは貧血などの原因が考えられます。逆に、心拍数が極端に遅い(徐脈)場合は、心臓の機能低下や、神経系の問題が疑われることがあります。

脈拍も同様です。脈拍が乱れる、飛ぶ(欠損)、あるいは脈拍が極端に速い・遅いといった状態は、心臓病、高血圧、甲状腺の病気、さらにはストレスや疲労など、様々な原因が考えられます。これらの異常に気づくことは、早期に病気を見つけ、適切な対処をするための第一歩となります。

  • 頻脈: 心臓への負担、貧血、甲状腺機能亢進症など。
  • 徐脈: 心臓機能低下、神経系異常、薬の影響など。
  • 脈拍の乱れ: 不整脈、心臓弁膜症、ストレス、疲労など。

いかがでしたか?心拍と脈拍の違い、そしてそれぞれが私たちの体にとってどれだけ大切なのか、ご理解いただけたでしょうか。普段から自分の心拍や脈拍に少しだけ意識を向けてみることで、体のちょっとした変化に気づき、健康維持に繋げることができます。ぜひ、今日からあなたの体との対話を楽しんでみてください。

関連記事: