知っておきたい!厚生年金と基礎年金、その違いとあなたの将来

「厚生年金と基礎年金、何が違うの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。日本の公的年金制度は、大きく分けて「基礎年金」と「厚生年金」の二階建て構造になっています。それぞれの役割や受け取れる金額が異なるため、この 厚生年金と基礎年金の違い を理解しておくことは、将来の生活設計を考える上で非常に重要です。

制度の基本:似て非なる二つの年金

まず、基礎年金は「国民皆年金」の考え方に基づき、日本に住む20歳から60歳までの全ての人が加入する、いわば年金制度の土台となるものです。一方、厚生年金は、会社員や公務員といった「被用者」が加入する、基礎年金に上乗せされる年金です。つまり、 厚生年金と基礎年金の違い は、加入対象者と、その給付内容にあります。

具体的に見ていきましょう。

  • 基礎年金:
    • 加入対象:20歳~60歳の全ての国民
    • 主な財源:保険料(所得に関係なく一律)と税金
    • 目的:全ての国民に最低限の所得保障を提供
  • 厚生年金:
    • 加入対象:会社員、公務員など(一定の条件を満たす事業所に勤務する人)
    • 主な財源:加入者の給与から天引きされる保険料(所得に応じて変動)
    • 目的:基礎年金に上乗せして、より豊かな生活を保障

この二つの年金制度の仕組みを理解することが、 厚生年金と基礎年金の違い を把握する第一歩となります。それぞれの年金で、毎月いくら保険料を払っているのか、そして将来どれくらいもらえるのかを知ることは、未来の自分への大切な準備なのです。

加入方法と保険料の違い

厚生年金と基礎年金の違い を理解する上で、加入方法と保険料のかかり方はとても大きなポイントです。国民年金(基礎年金)は、日本国内に住んでいれば、原則として20歳から60歳までの全ての人が加入義務があります。保険料は、所得に関わらず、全国一律の金額です。一方、厚生年金は、会社や官公庁などに勤めている人が、その事業所を通じて加入します。厚生年金の保険料は、給与(標準報酬月額)に応じて決まるため、所得が高い人ほど保険料も高くなります。

保険料の負担についても、確認しておきましょう。

年金の種類 保険料の決まり方 負担者
基礎年金(国民年金) 所得に関係なく全国一律 加入者本人
厚生年金 給与(標準報酬月額)に応じて変動 加入者本人と会社(折半)

このように、 厚生年金と基礎年金の違い は、保険料の徴収方法や負担額にも表れています。会社員や公務員の方は、厚生年金保険料を給与から天引きされているはずですが、その中には基礎年金保険料も含まれているのです。

では、具体的に保険料がどのように計算されるのか、見てみましょう。

  1. 基礎年金保険料: 月額16,590円(2023年度)です。
  2. 厚生年金保険料: 標準報酬月額の18.3%(2023年度)です。このうち、半分(9.15%)を会社が負担します。

受け取れる年金額の仕組み

厚生年金と基礎年金の違い が最も顕著に現れるのは、やはり受け取れる年金額です。基礎年金は、加入期間に応じて、国民年金法で定められた金額が支給されます。これは、日本国民全員に最低限の生活を保障するための「最低保障年金」としての役割が大きいです。対して、厚生年金は、加入期間中の給与(所得)や保険料の納付額に応じて、より多くの年金が上乗せされる仕組みになっています。

年金額の計算には、それぞれ以下の要素が関わってきます。

  • 基礎年金:
    • 「老齢基礎年金」は、原則として65歳から受け取れます。
    • 過去の保険料納付期間や免除期間によって、金額が変わります。
    • 満額(40年全て納付した場合)で、年額約77万円(2023年度)です。
  • 厚生年金:
    • 「老齢厚生年金」は、原則として65歳から受け取れます(ただし、経過措置で60歳や61歳から受け取れる場合もあります)。
    • 加入期間中の「報酬比例部分」と「定額部分」で計算されます。
    • 報酬比例部分は、給与が高いほど、また納付期間が長いほど増えます。

このように、 厚生年金と基礎年金の違い は、将来の老後の生活をどれだけ豊かにできるか、という点にも大きく影響します。会社員や公務員の方は、基礎年金に加えて厚生年金も受け取れるため、より手厚い保障が期待できるのです。

加入期間と受給資格

厚生年金と基礎年金の違い は、受給資格を得るための加入期間にも関係してきます。基礎年金(国民年金)を受け取るためには、原則として保険料を納めた期間、免除された期間、合算対象期間などを合わせた「受給資格期間」が10年以上必要です。一方、厚生年金を受け取るためには、最低限、基礎年金と同じ10年以上の加入期間(被保険者期間)が必要となります。さらに、厚生年金に加入している期間が1ヶ月以上あれば、老齢厚生年金を受け取ることができます。

受給資格期間について、まとめてみましょう。

  1. 基礎年金(国民年金):
    • 受給資格期間:10年以上
    • 対象期間:保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)など
  2. 厚生年金:
    • 受給資格期間:10年以上(基礎年金と同じ)
    • 被保険者期間:1ヶ月以上(厚生年金に加入していた期間)

厚生年金と基礎年金の違い を理解する上で、この加入期間の要件は非常に重要です。もし、将来年金を受け取れるかどうか不安な場合は、ご自身の加入状況を年金事務所などで確認することをおすすめします。

障害給付と遺族給付の違い

厚生年金と基礎年金の違い は、老齢になった時の年金だけではありません。万が一、病気やケガで障害を負ったり、亡くなったりした場合に、本人やその家族を支える「障害給付」や「遺族給付」にも違いがあります。

障害給付について、それぞれの特徴を見てみましょう。

  • 基礎年金(国民年金): 「障害基礎年金」が支給されます。これは、障害の等級(1級・2級)によって金額が決まります。
  • 厚生年金: 「障害厚生年金」が支給されます。障害の等級(1級~3級)と、加入期間中の給与水準によって金額が決まるため、基礎年金よりも手厚い保障となる場合があります。

また、遺族給付についても、 厚生年金と基礎年金の違い があります。

年金の種類 遺族給付 支給される人
基礎年金(国民年金) 遺族基礎年金 亡くなった方の生計を維持していた「子のある配偶者」または「子」
厚生年金 遺族厚生年金 亡くなった方の配偶者、子、父母、孫、祖父母など(優先順位あり)

このように、 厚生年金と基礎年金の違い は、万が一の際のセーフティネットの厚さにも現れます。会社員や公務員の方が、厚生年金に加入していることで、より幅広い状況で、より手厚い保障を受けられる可能性があるのです。

免除・猶予制度との関係

厚生年金と基礎年金の違い は、保険料の納付が困難な場合の「免除・猶予制度」との関わり方にも影響します。基礎年金(国民年金)には、所得が低い場合などに保険料の納付が免除されたり、支払いが猶予されたりする制度があります。これらの期間も、将来の年金受給資格期間に含まれるため、納付が難しい場合でも、制度を利用することが大切です。

免除・猶予制度について、整理しておきましょう。

  1. 国民年金保険料の免除・猶予:
    • 全額免除:所得が一定基準以下の場合、保険料の全額が免除されます。
    • 一部免除:所得が一定基準以下の場合、保険料の一部が免除されます。
    • 学生納付特例:学生で、所得が一定基準以下の場合、在学中の保険料の支払いが猶予されます。
    • 産前産後期間の免除:出産予定日または出産日から4ヶ月間の国民年金保険料が免除されます。
  2. 厚生年金: 厚生年金の保険料は、給与から天引きされるため、原則として免除や猶予の制度はありません。ただし、失業などで収入がなくなった場合、国民年金に「任意加入」することで、基礎年金部分の保険料を自分で納付することは可能です。

厚生年金と基礎年金の違い を理解すると、会社員や公務員の方でも、もしもの時に国民年金部分の保険料納付に困った場合、どうすれば良いかが見えてきます。ご自身の状況に合わせて、適切な制度を確認することが重要です。

付加保険料とは?

厚生年金と基礎年金の違い に加えて、知っておきたいのが「付加保険料」という制度です。これは、基礎年金(国民年金)に加入している人が、毎月の保険料に400円を上乗せして納めることで、将来受け取れる年金額を増やすことができる制度です。厚生年金に加入している人は、すでに厚生年金によって年金額が増える仕組みがあるため、付加保険料に加入することはできません。

付加保険料について、ポイントをまとめます。

  • 対象者: 基礎年金(国民年金)の1号被保険者(自営業者、フリーター、学生など)。
  • 保険料: 月額400円。
  • メリット: 将来、年金受給額に「付加年金」として上乗せされます。計算式は「付加保険料納付月数 × 200円」です。例えば、40年間(480ヶ月)納付した場合、月200円 × 480ヶ月 = 96,000円が、毎年年金に上乗せされます。

厚生年金と基礎年金の違い を考えると、付加保険料は、自営業者など、厚生年金に加入できない方にとって、老後の年金額を増やすための有効な手段と言えるでしょう。

ねんきん定期便で現状を確認しよう

ここまで、 厚生年金と基礎年金の違い について詳しく見てきましたが、ご自身の年金加入状況や将来受け取れる年金額がどうなっているのか、気になりませんか?そこで活用したいのが、「ねんきん定期便」です。

ねんきん定期便は、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくるハガキで、これまでの年金加入履歴や、現時点での見込み年金額などを確認できます。もし、届いていない場合や、内容に不明な点がある場合は、お近くの年金事務所に相談してみましょう。

ねんきん定期便で確認できること:

  1. これまでの年金加入期間
  2. 国民年金保険料の納付状況
  3. 厚生年金保険料の納付状況
  4. 将来受け取れる年金の見込み額

厚生年金と基礎年金の違い を理解した上で、ねんきん定期便を確認することで、ご自身の将来設計に役立つ情報が得られます。早めに確認して、安心できる老後を迎えましょう。

日本の年金制度は、基礎年金と厚生年金の二階建て構造で、それぞれ異なる役割と特徴を持っています。 厚生年金と基礎年金の違い をしっかり理解し、ご自身の年金加入状況を把握することは、将来の経済的な安定のために非常に大切です。もし疑問な点があれば、年金事務所に相談するなど、積極的に情報を集めて、賢く年金制度を活用していきましょう。

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