「潰瘍(かいよう)」と「腫瘍(しゅよう)」、どちらも体の異常を示す言葉として耳にすることがありますが、この二つは根本的に異なります。 潰瘍 と 腫瘍 の 違い を理解することは、私たちの健康を守る上で非常に大切です。簡単に言うと、潰瘍は「傷」、腫瘍は「できもの」と考えると分かりやすいでしょう。
潰瘍と腫瘍:基本的な定義と原因
潰瘍とは、体の表面や内臓の粘膜が傷つき、ただれたり穴があいたりした状態を指します。例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は胃や十二指腸の粘膜が荒れてしまうことで起こります。これらは、ピロリ菌感染やストレス、痛み止め薬の副作用などが原因となることが多いです。潰瘍は、その場所の組織が失われているのが特徴です。
一方、腫瘍とは、体の細胞が異常に増殖してできた「できもの」のことです。これは良性のものと悪性のもの(がん)に分けられます。細胞が勝手に増え続けることで、塊(かたまり)となって大きくなっていきます。腫瘍は、細胞の増殖異常が原因です。
潰瘍と腫瘍の主な違いは、その性質にあります。
- 潰瘍: 組織の欠損(傷)
- 腫瘍: 細胞の過剰な増殖(できもの)
原因も異なり、潰瘍は炎症や外傷、薬の副作用などが関わることが多いのに対し、腫瘍は遺伝子の変化などが関わっています。
潰瘍の症状と進行
潰瘍ができると、その場所や深さによって様々な症状が現れます。例えば、胃潰瘍であれば、みぞおちの痛み、吐き気、食欲不振などが挙げられます。皮膚の潰瘍なら、痛みやかゆみ、出血などが起こり得ます。
潰瘍が進行すると、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 出血:傷口から出血が止まらなくなることがあります。
- 穿孔(せんこう):潰瘍が深くなり、臓器に穴があいてしまうことがあります。
- 狭窄(きょうさく):潰瘍が治る過程で組織が硬くなり、通り道が狭くなってしまうことがあります。
腫瘍の性質:良性と悪性
腫瘍は、その細胞の性質によって大きく二つに分けられます。それが「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」です。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 良性腫瘍 | ゆっくり増殖し、周りの組織を破壊したり、他の場所に転移したりしません。手術で取り除けば、基本的には再発しません。 |
| 悪性腫瘍(がん) | 速く増殖し、周りの組織を破壊したり、血液やリンパの流れに乗って体の他の場所に「転移」したりします。生命に関わる危険性があります。 |
腫瘍ができる場所や大きさによって、症状は異なります。例えば、皮膚にできた腫瘍は見た目で気づきやすいですが、体の奥深くにある腫瘍は、大きくなるまで自覚症状がないこともあります。
潰瘍と腫瘍の診断方法
潰瘍と腫瘍を見分けるためには、専門的な検査が必要です。症状を聞き取る問診はもちろん、以下のような検査が行われます。
- 内視鏡検査:胃カメラや大腸カメラで、体の内部を直接観察します。
- 画像検査:レントゲン、CT、MRIなどで、体の内部の様子を画像にします。
- 生検(せいけん):組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。これにより、良性か悪性か、炎症なのかなどを確定診断します。
これらの検査を組み合わせることで、医師は潰瘍なのか腫瘍なのか、そして腫瘍であればその種類を正確に判断します。
治療法:潰瘍と腫瘍でどう違う?
潰瘍と腫瘍では、治療法も大きく異なります。潰瘍の治療は、原因を取り除き、傷を治すことが中心となります。
- 薬物療法:胃酸を抑える薬や、ピロリ菌を退治する薬などを使用します。
- 生活習慣の改善:食事療法や禁煙、ストレス管理なども重要です。
一方、腫瘍の治療は、腫瘍の種類や進行度によって様々です。
- 手術療法:腫瘍を切除します。
- 化学療法(抗がん剤):がん細胞を攻撃する薬を使います。
- 放射線療法:放射線を使ってがん細胞を破壊します。
良性腫瘍でも、大きくなって症状が出たり、悪性化する可能性がある場合は手術で取り除くことがあります。
潰瘍と腫瘍、早期発見の重要性
「潰瘍 と 腫瘍 の 違い」を理解することは、早期発見、早期治療につながります。潰瘍も、放置すると出血や穿孔といった重篤な状態になり得ますが、腫瘍、特に悪性腫瘍(がん)は、早期に発見できれば、治療の選択肢も増え、治癒の可能性も高まります。
普段から自分の体の変化に注意を払い、気になる症状があれば、自己判断せず、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期発見は、健康寿命を延ばすための鍵となります。
潰瘍と腫瘍は、体のSOSサインです。それぞれの違いを理解し、体の声に耳を傾けることで、健康な毎日を送ることができるでしょう。